ヌーソの皿の上

福祉とpc関係の記事です

居酒屋けんざん(29)ハラスメント2

 

「はりえさん、風邪辛そうですね?」(収録時8月上旬)

 

「ほんとだよ、これから書き入れ時だっていうのに、咳をして客相手してたら嫌がられるから何としても治さないと。」

 

「ちょっと前なら、コロナハラスメント、インフルエンザハラスメントですね。」

 

「夏バテ気味もあるし、しんどいよ。今日は早めに終わらせてよ。」

「それで今日は何?(お題)」

 

「今日はまたハラスメントです。」

 

「またハラスメントかい?ヌーソさん好きだね。

 あ、おらの風邪っぽいの見て、決めたのかい?嫌だねー。」

 

「いやいや、違いますよ~。福祉業界は人と人が接する仕事ですから、どうしてもハラスメントと隣り合わせなんですよ。」

「今日も例から話しますが、女性介護職員の胸を利用者が触ったらなんというハラスメントですか?」

 

「セクハラだろうさ。」

 

「そうですよね。セクシャルハラスメントです。」

「では、実際に触らなくても、女性介護職員の胸を触るような卑猥なそぶりを見せたらなんというか知っていますか?」

 

「スケベじじい」

 

「いや、あの、罵倒はしなくていいんですよ。そうじゃなくて・・・」

 

「やめろ、じじい」

 

「うん、はい、話進めます。(きっと調子悪いんだ)」

「これをカスハラというんですよ。カスタマーハラスメントっていうんですよ。聞いたことありますか?」

 

「全然聞いたことないね。」

 

「この言葉は、厚生労働省から企業向けにマニュアルもできていて、もう市民権も得た言葉だと思うんです。でも、知っている人と知らない人に差があるように感じています。」

参照元厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf

 

「特に、パワハラとセクハラに関しては、同じ厚生労働省にしっかり定義も載せてあるんですが、カスタマーハラスメントについてはまだ事例の紹介やマニュアル止まりなことも、その理由の一つなのかもしれませんね。」

パワーハラスメント:職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。

なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。

 

 

セクシャルハラスメント:「職場」において行われる「労働者」の意に反する「性的な言動」により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されることをいいます。

 

引用元:厚生労働省 明るい職場応援団 ハラスメントの定義

https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/definition/about

 

「定義って難しい言葉だね。」

 

「多分はりえさんなら、そういうだろうなと思ってました。」

「でも定義されるからこそ、それに適合する、しないに線引きができるんですよ。」

「例えばパワハラは、その対象になる・ならないの事例も出ていますよ。」

パワハラに当たらない事例

・誤って相手にぶつかる行為(身体的攻撃にあたらない)

・強く注意する行為でも、マナーに欠ける言動や行動を何度注意しても改善しない場合の行為(精神的攻撃にあたらない)

・新規採用者の育成で短期集中研修を個室で行った(人間関係からの切り離しに当たらない)

 

 

引用元:厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000611025.pdf

 

「うん、何でもかんでもパワハラにはならないということか。」

 

「そうですね。多分、なるならいという線引きがされていくと、このカスハラの認知度も上がるんだろうなと感じています。」

 

「そんなに線引きできるものかい?相手が不快に感じたら全部ハラスメントなんだろ?」

 

「そうなんですよ、だからハラスメントのグレーゾーンという部分も見えてきました。受け取り側の違いで、その問題が増減してしまうんですよね。」

「2者間だからこそ、余計に証明が難しい部分もあるんですよね。」

「私、この話をするにあたって、福祉業界らしい問題も隠れていると感じているんです。」

 

「どんなことだい?」

 

「セクハラって、何歳でも問題になりますよね?要するにどんなお年寄りでも、セクハラは適用されてしまう。」

 

「スケベじじい」

 

「それは分かりましたよ(溜息)、男性はみんな気を付けましょう。」

「終わりがないのなら、いつから始まるのかって考えたことありますか?」

 

「いくつ?20歳でいいじゃないの?」

 

「いやいや、そういう時だけ乱暴なんだから。」

「赤ちゃんが保育士の胸を触るのはセクハラだと思いませんよね?」

 

「それはならないね。不可抗力に近いだろう。わざとじゃないんだから」

 

「となった時に、いくつからセクハラになるのかって、考えたことありますか?」

 

「うーん、思春期のあたりかい?」

 

「また、ざっくりと。赤ちゃんの美醜に関する研究から言えば、生後3カ月の赤ちゃんでも美人を見分けるそうですよ。」

参照元

https://ddnavi.com/news/234138/a/

 

「ちょっと前までは2歳前だといわれていたんですが、早まりました。」

「『この保育士は美人だ』と認識して胸を触ったら、これはセクハラとは言わないんですかね?」

 

「生後3カ月の赤ちゃんまでセクハラだといったらきりがないだろうさ。」

「その変な「定義」とやらを決めるからこうなるんだろうさ。赤ちゃんまでハラスメントに巻き込んじゃだめだよ。」

「おら、福祉の人まで巻き込むのはどうかと思うんだけど、おらのような水商売やら介護やらの人って、接客業で人と触れ合う仕事だから、そこの取り決めみたいなもの(ハラスメント)がゆるいんだと思うんだよね」

「おらの若い頃なんて、今ならセクハラになるようなことも『それくらい我慢しろ』といわれたこともあるし」

 

「あーその相手が、スケベなおじいさんだったんですね。」

「福祉業界こそ、このハラスメント問題と密接な関係があると私も思っています。でも福祉業界だけではこの問題って処理しきれないんですよ。高齢者から赤ちゃんまで対象の業界ですからね。」

「一番の問題は、その相手への攻撃的な感情など、個人的感情の帳尻合わせにハラスメントを持ち出したり、利用をしてはいけないとおもうんですよ。」

「そのうえで、はりえさんのように強い線引きはいらないと考えるか、もっとみんなで考えなければならない問題だと思います。」