“密室”で横行するハラスメント 訪問在宅ケアからのSOS
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ケアする人への在宅ケアハラスメントが深刻になっています。具体的には「家族の分の食事も作って」など、契約以外の要求をされたり、必要なケアが終わっても「出口をふさいで帰らせないようにされる」。さらには「髪の毛を引っ張られて転倒させられた」。「反社会的勢力の名前で脅された」など、犯罪といえるようなものまであります。
2022年、埼玉県では訪問した医師らが、死後1日以上経過した患者に心臓マッサージをするよう要求された末、散弾銃で殺傷される事件まで起きました。
第三者の目が届きにくい密室で起こる、在宅ケアハラスメント。その実態に迫ります。
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1.顕在化
当ブログでも何度かハラスメントについては取り扱ってきました。
今回もはりえさんに協力を求めたんですが、
「むずかしいからいい(注:やだという意味)」
と言われてしまいました(笑)
この問題は、近年厚生労働省でも政策の一環として、介護現場におけるハラスメント対策を打ち出しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05120.html
つまり、最近になって問題・話題にはなっているものの、もともとは内在していたことであり、顕在化してきたという方が正しい表現なんだと感じています。
2.強い立場
マーケティングの言葉でいえば、「ペルソナ」※
※ペルソナ:自社の製品・サービスを利用する典型的・理想的な顧客像
となれば、福祉業界においての顧客と職員の関係というのは特殊なんだと思います。特に業種によってもパワーバランスは、一定していないことはご存じでしょうか?
保育園
園児<保育士 ※
※保護者との関係でいえば、保護者>保育士 になるので、保育園の顧客は保護者
障がい者施設
利用者=支援者
高齢者
利用者>介護
といえると思うんです。
※こちらもご覧ください
保育園でいえば、園児は「先生」と呼びますし、圧倒的なパワーバランスから保育士が優位な立場にあります。一方障がい者福祉事業でいえば、昔のような指導員という呼称は無くなったものの、必ず利用者側が強い立場にあるわけではないと思います。また、保育や高齢の様に大きな年齢の離れがなく、互いに就労している年齢層のため、お互いが同等に近い立場にあるように感じられます。
以上から言えば、顧客という正しい意味の関係図なのは、福祉業界でいえば高齢者福祉事業だけだとは思わないでしょうか?
今回話題になった訪問介護においても、利用者は支援に対して、強い拒否権を持ち、気に入らないことがあれば簡単に拒否ができる立場にあります。
そして構成数としても
保育園園児数は 300万人
障がい者数は、15万人~20万人
一方高齢者福祉においていえば、要支援認定者も含めれば400万人以上とされています。
高齢者はマイノリティ(少数派)という立場にはなく、政治上の優先度も高い福祉事業だといえます。
3.自分のハラスメント体験
私は訪問介護はやったことはありません。でも、介護職員の新人だったころは、今思えばハラスメントの連続でした。
利用者に暴言、否定的な言葉に、顔を蹴り飛ばされる、ひっかかれるなどは日常茶飯事過ぎて回数など数えられません。新人ということもあり、かかわり方が必ずしも正しいなど、自分からは絶対に言えませんでした。なので、そのような事態になることそのものを、上司・先輩からいつも叱責を受けていました。その割に、そのようなハラスメントをする利用者対応は、私がせざるを得ない状況にいつもあったと感じています。
介護をしようとこの業界に入った人間ですから、私の場合利用者に蹴っ飛ばされること事態はあまり腹が立たなかったですね。それよりもうまい具合にハラスメントから逃げる先輩たちが、会議ではいつも偉そうに話すことのほうに腹が立ったくらいです(笑)
でも、介護者が高齢者の虐待をする気持ちもわかります。一度や二度のことなら、この業界のあるあるですから我慢はできます。ですがその蓄積が、耐えられなくなるほどに積み重なることが、暴力に走らせるのだと、経験者として理解ができてしまいます。
でも、介護側からの虐待に対しては、はじめから利用者を殴ろう、罵ろうと思ってこの業界の門をたたいた人は一人もいないと信じています。それよりも、利用者からのハラスメントに耐えた先の「あやまち」だとは言えないでしょうか?
ただ言えることは、どこまで行きついても感情労働な仕事なんですよ、介護は。
4.介護現場で起きる高齢者のハラスメントのメカニズム
私のつたない体験からいえるのは、利用者がハラスメントをするのは介護者側のハラスメントが先にあったからではないということです。施設内においても高齢者は強い立場にあると思っています。
では、高齢者が介護者にハラスメントをするメカニズムの原因はなんでしょうか?
私が考える一つの答えとして、利用者のハラスメントというのは、利用者側からのサンクション(刑罰・処遇)なのではないかということです。
利用者側から見た介護者というのは
・自分より年齢が低く
・それなのに自分への敬意を感じられない
だから、私(利用者)が強く叱責し、体罰を行うことは、これまでの社会通例上正しい行動だと、シンキングエラーを起こしている状態なのではないでしょうか?
今回の取り上げた記事内にも、利用者の「怒りに対しての理解度」が介護者側に足りないような表現がありました。確かに理解を深めるという探求心は職務上必要ですが、ハラスメントそのものを理解できるものではありません。ハラスメントというのは非倫理的行動です。私が新人時代に先輩たちからいわれてきた「介護者の身から出たさび」などという表現でまとめてしまえば、余計に介護者の負担を増やしかねません。そのような負担を増やすというのは、詰まるところの介護者側からの虐待につながりかねない問題だと私は思うのです。
私たちは、そのようなハラスメントをする高齢者にならないためにも、いつも申し上げていますが善悪の二極論で考えるのはやめるべきだと思います。個人がサンクションをしていいような悪い人間は、社会に一人もいないのですから。
はりえさん、やっぱり小難しい話になってるんでしょ?もどってきてー。