2010年頃、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの
『マネジメント』を読んだら」が流行ったことをご存じでしょうか?
当時私は、上司に読んでおくようにと言われ、「ドラッカーのマネジメントについては暗記しておけ」とまで言われました。
ドラッカーとは?
ピーター・ファーディナンド・ドラッカー 1909年11月~2005年11月
オーストリア・ウィーン生まれのユダヤ系オーストリア人[1]経営学者。「現代経営学」あるいは「マネジメント」(management) の発明者
著書:マネジメント・経営者の条件 など
引用元:
ドラッカーの言葉
ドラッカーの有名な言葉に、
「
第1の質問 われわれの使命は何か
第2の質問 われわれの顧客は誰か
第3の質問 顧客にとっての価値は何か
第4の質問 われわれの成果は何か
第5の質問 われわれの計画は何か
」
という質問があるそうです。
第1の質問 使命、これは福祉事業であれば、利用者の必要とするサービス提供でしょうね。
第3~5の質問も、利用者への安心安全なサービス提供なのであろうと思います。
さて、問題です。では福祉事業においての顧客とは誰なんでしょうか?
顧客とは?
「対象とするお客様をはっきりさせれば何をやるべきで、何をやるべきでないのか、何をどのように行うべきかが、それらがいやがおうにもが浮き彫りになる」
と言ったそうです。
まず、福祉業界の高齢者・障がい者事業について考えてみます。
高齢者事業・肢体不自由・知的障がい者事業においての、顧客は利用者本人でしょうね。もちろん、支援すべき対象には家族も入ります。ご家族のご意向をアセスメントする必要はありますよね。
さて問題は、保育です。保育の顧客は、利用する園児?それとも預ける保護者でしょうか?
著者が言いたいのは、預けられたくないと泣き叫ぶ園児の話は含まれません。
「安心安全とは」でも書きましたが、
保育園を利用する園児にとって、一番安心安全な場所は親元に違いありませんが、
その次に安心安全な場所は保育園や幼稚園であり、園児の成長を自助できるものと思っています。
その上で保育園の顧客とは?
たどり着く答えとして、顧客は保護者ではないでしょうか?サービス事業所(園)の選定、サービス(預かり)内容の選択、契約と利用。これらはすべて保護者が行うからです。では、園児は何になるのでしょう?無理やり当てはめるとすれば「商品」という言葉が近いのかもしれません。
お客様という保護者のお手元まで、安全な保管と適切な品質保持は、保育に通ずるところがあるとは思います。
でも全てが合点のいく言葉ではありませんね。
顧客=利用者だとしたら
もう一つ合点がいかないことがあります。保育園を利用する保護者を顧客とした場合、保護者が支援する対象になるわけです。ですが、保育園で保護者自身の直接支援は行いませんよね。支援を行うのは園児だけです。
しかし、昨今の事件やニュースを見ていると、保護者自身の支援がもっと必要になってきたと感じるんです。大阪の3歳児虐待死事件でも、保育園がコロナのため休園していたことが問題視されました。
子どもの安心安全を守ることが保育園だとすれば、保護者自身の支援もできる機能が保育園に必要となってきたのではないでしょうか?
そう考えると、保育園の顧客は、園児や保護者というより、「世帯」と考えるべきなのだと思うのです。
事業の目的は喜ぶ人を増やすこと
ドラッカーの名言には、「事業の目的は喜ぶ人を増やすこと」という言葉があります。
ですが、上記に出てきた上司は、「裁判・消防・警察と福祉は、必要になるまでは疎まれやすい。そして、必要になっても喜ばれることは少ない事業だ。」
とも言っていました。
福祉をビジネスやサービスと言うのはあまり好きではないんですが、福祉事業の拡大が、「喜ぶ人を増やすこと」であってほしいとは思っています。