ヌーソの皿の上

福祉とpc関係の記事です

全国社会福祉法人経営者協議会が着服事件で声明 について

全国社会福祉法人経営者協議会が着服事件で声明「福祉法人は売買できない」

https://news.yahoo.co.jp/articles/c6ba23ac3983b302d92691009f9c5b8a4f454c74

“声明は「社会福祉法人に売買可能な経営権など存在しない」と強調し、悪質な犯罪を撲滅するために全力で取り組む姿勢を示している。

 

~中略~

 

「医師と元公認会計士が結託し、社会福祉法人の厳しいガバナンスをないがしろにして私腹を肥やした」と指摘。改めて、社会福祉法人には売買可能な経営権はなく、法人外への資金流出も禁止されている点を訴えている。

 

 さらにこうした事件が再び起こることを危惧し「安心安全な社会保障制度の根幹を揺るがすことにつながりかねない」と強調した

 

~中略~

 

経営協は「本来、社会福祉法人には厳しいガバナンスが定められており、事件は社会福祉法人を舞台にした特殊で悪質な犯罪だ。早く全国の利用者や家族の不安を払拭できれば」と話した。“

 

 

声明に対しての印象

 

まず「厳しいガバナンス」ってなんのことでしょうか?そもそもがばがばのガバナンスだからこんなことが起きたんじゃないでしょうか?

 

私のこの記事内で書いていますが、

nu-so.hatenablog.com

 

特に社会福祉法人の理事長や理事の皆さんは、ガバナンスという言葉を好きすぎるきらいがあります。法令遵守コンプライアンス)をするための統治(ガバナンス)であり、理事たちが権威をしめすため、肩で風を切るためにガバナンスがあるわけではありません。

正しい言葉でいうのであれば、「社会福祉法人には厳しいガバナンスが定められて」ではなくて、「厳しいコンプライアンスが求められて」が正しい発言になるはずです。

 

コンプライアンスもガバナンスも混合させ、好きな言葉が先に出た印象を感じています。

 

つづいて、社会福祉法人サンフェニックスの問題は確かに「安心安全な社会保障制度の根幹を揺るがす」問題だったと思います。ですが、問題を起こしたのは「医師」や「公認会計士」という枠組みではなく、社会福祉法人の理事長たちです。まさしく全国社会福祉法人経営者協議会の会員になられている皆さん方と同じ方々ですよね?

 

指を指す方向も違いますよ。

 

 

法人の事業譲渡は違法ではない

 

この記事にコメントされている方もおっしゃっている通り、厚生労働省は事業譲渡について推奨はしています。

 

(1) 事業展開の主な手法

社会福祉法人が行う主な事業展開として、以下のような手法が考えられる。

 

~中略~

 

○ 事業譲渡等

事業譲渡等とは、事業の譲渡と事業の譲受けを総称したものである。通常、特定の事業を継続していくため、当該事業に関する組織的な財産を他の法人に譲渡・譲受けすることであり、土地・建物など単なる物質的な財産だけではなく、事業に必要な有形的・無形的な財産のすべての譲渡・譲受けを指している。

 

引用元:社会福祉法人の事業展開に係るガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000651582.pdf

 

 

また、留意点として

 

“(イ) 相手方法人に関する留意点

社会福祉法第 27 条の特別の利益供与の禁止の対象となる評議員、理事、監事、職員などの社会福祉法人の関係者が、事業譲渡等の相手方となる法人の関係者である場合には、特別の利益供与の禁止規定(社会福祉法第 27 条)や利益相反取引の制限規定(社会福祉法第 45 条の 16 第4項によって準用される一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第 84 条)に抵触することのないようにする必要がある。

(ウ) 資産を譲渡する際の留意点

社会福祉法人は、法人設立時等の寄附者の持分、剰余金の配分はなく、解散時の残余財産は社会福祉法人その他学校法人、公益財団法人等の社会福祉事業を行う又は国庫に帰属するとされている。事業の譲渡の際にもこの考え方に留意する必要がある。

また、社会福祉法人の持つ資産は、法人外流出に当たらないよう、適正な評価を行った上で価格を検討する必要がある。価格の検討を十分行わず、単に国庫補助金返還を理由として無償譲渡とすることは、法人外流出に該当する可能性があるので留意する必要がある。

(エ) 資産を譲受ける際の留意点

事業を譲受ける場合、適正な評価に基づく価格をもって行い、不当に高価で譲受することは、法人外流出にあたる可能性があることに留意する必要がある。”

 

 

適正な評価価格に基づいて、事業の譲渡自体は合法なわけです。

厚労省の想定は法人間の譲渡であり、今回の公認会計士は事業譲渡を受けるような法人はなかったと思われるので、経営権の譲渡だったと思われます)

 

サンフェニックスの理事長たちの逮捕は、法人譲渡に対する逮捕ではなく、協力金という名のもと公認会計士の理事長が、法人の5億7000万円を医療協力の対価として、前理事長である創業者の医師に送金していたことによるものだとニュースになっていましたよね?

 

nu-so.hatenablog.com

 

誤解を招きかねない、かなり説明のいる声明なわけです。

 

 

社会福祉法人の問題点は

 

理事会というのは、執行機関であり、福祉現場のリーダーシップをとる場所ではありません。まさしく組織を動かすためのマネジメントをする機関だといえます。だからこそ一つ一つの議決に関しては、常にけん制がとれるような人選を必要とするでしょう。

前回の記事でも書きましたが、それがこの法人の逮捕されなかった理事・監事・評議員たちは全くけん制機能を発揮しなかったことが、なによりも現代の社会福祉法人コンプライアンスに対する問題を浮き彫りにしたと思います。

 

このグダグダな声明に、全国社会福祉法人経営者協議会のガバナンスのほうこそ大丈夫かと思っています。