ヌーソの皿の上

福祉とpc関係の記事です

スカンク部長の会議室(7) 損益分岐点と本部機能

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いつもの朝礼

 

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「~~であるからですね、利用者さんを愛してください。愛です!!」

 

 

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「朝礼で愛なんて説かれてもな・・・。福祉も事業なんだってば・・・。

 まだ、変な状態だな・・・。」

 

 

 

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「ヌーソさん、前回の利益のことで思いついたことがあるの。それはね、損益分岐点に着目すればいいのよ。全事業の分岐点を調べて。」

 

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「まだ利鞘((りざや)にこだわった話ですか・・・。」

 

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「じゃあ、CVP分析でも出せと?」

 

解説:損益分岐点分析をCVP分析といいます。「CVP」とは、それぞれC(コスト:Cost)、V(販売量:Volume)、P(利益:Profit)の頭文字であり、コスト・販売量に基づく利益を分析する手法のことです。

 

 

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「そう、それよ。」

 

 

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(シラー)

「では、一般会計のように販売数では出せないので、この式に入れるとしますよ?」

 

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社会福祉会計でいくので、このように変形されるとします。」

変動費:一般会計であれば売上高に比例して増減する費用(社福であれば経常収入・事業費・人件費)

変動費率:売上高に対する変動費の割合

(例:1,000円の経常収入が増加するごとに変動費600円発生する場合、変動費率は0.6

固定費:売上高に比例せず、一定して発生する費用

(例:修繕費などの事務費、減価償却費など)

 

 

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「なんだ、あとは当てはめれば指標になるじゃない。」

 

 

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「いえいえ、ここからが問題ですよ。」

 

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「介護・保育・障がい各事業に毎年出されている処遇改善交付金はどこに当てはめればよろしいので?」

 

 

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「それは現場職員に出される人件費なんだから、変動費でしょ?」

 

 

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「いえいえ、『変動費は売上高により増減する』とされています。特に介護・障がいに出される処遇改善交付金は、体制加算の毛色が強い補助金です。つまり、利用者を受け入れるための最低人員が定められていた場合、それに対して支給されるわけです。」

 

 

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「よって、固定費としてみるほうがよろしいかと。」

 

 

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「ならそれでいいじゃない。」

 

 

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「?そうでしょうかね?処遇改善交付金はこの6年間で支給要件は大きく変動していますよ?さらに2020年に働き方改革により、職種(フルタイム職員・パートタイム職員など)での差は埋めるようにとの指示も出ています。固定費としてみるのに、この数年では全然一定ではありません。」

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「ましてや保育の場合は、延長保育や一時保育という補助金も存在しており、それも体制加算の分類に分けられます。」

 

 

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「この複数年での分析は難しくても、単年度を複数の社福で比較すればいいじゃない。縦じゃなく横で見ればいいのよ。介護・保育・障がいで事業を分別すれば比較できるじゃない。できない部分ばかり見ず、どうやったらできるか考えるべきよ。」

 

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「・・・。」

 

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「では、会計や労務の事務はどうお考えで?」

 

 

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「それは業務委託でいいの。計算事務所でいいのよ。」

 

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「うちだけの話ではありませんよ。あえて、この部分をアウトソーシングせず、数字に強い法人職員を育成しようとしている法人だってあるんです。会計担当などの法人専従職員を無理やり業務委託費に分類してしまうのは乱暴な考え方ですよ。」

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「ましてや経営陣との牽制が付かない事務部門は、経営陣の汚職が目立ちますよ?」

nu-so.hatenablog.com



 

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「さらに、法人運営自体はどうお考えで?」

 

 

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「法人?社会福祉法人なんて集合体の名称でしょ?」

 

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「たとえ一法人一事業所しかない法人でも、理事会・評議会は開く必要があるんですよ?」

 

理事会とは:

(1)理事長の職務及び権限等

理事長は、理事会の決定に基づき(法第45条の132項第1号)、法人の内部的・対外的な業務執行権限を有する(法第45条の162項第1号)。対外的な業務執行をするため、法人の代表権を有します(法第45条の171項)。

理事長は、3か月に1回以上(定款で、毎会計年度に4ヶ月を超える間隔で2回以上とすることが可能)、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければなりません(法第46条の163項)。※業務執行理事も同様です。

(2)業務執行理事の職務及び権限等

理事長以外にも社会福祉法人の業務を執行する理事として業務執行理事を理事会で選定することができます(法第45条の162項)。業務執行理事は、理事長と違い代表権はないため、対外的な業務を執行する権限はありません(法第45条の172項)。

(3)(1)及び(2)以外の理事の職務及び権限等 理事長及び業務執行理事以外の理事は、理事会における議決権の行使等を通じ、法人の業務執行の意思決定に参画するとともに(法第45条の132項第1号)、理事長や他の理事の職務の執行を監督(同項第2号及び第3号)する役割を担うこととなります。

 

 

評議会とは:

評議員会は、法人運営の基本ルール・体制を決定するとともに、役員の選任・解任等を通じ、事後的に法人運営を監督する機関として位置付けられています。従来の評議員会に対し諮問されていた業務執行に関する事項についての意思決定は理事会で行うこととなり、評議員会の決議事項は法に規定する事項及び定款で定めた事項に限定されています(法第45条の82項)。

 なお、法律において評議員会の決議を必要としている事項について、理事、理事会その他の評議員会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、効力を有しません(同条第3項)。

 

引用元:厚生労働省社会福祉法人の経営組織」

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-fukushi-houjin-seido/02.html

 

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「これだけではありません、監事監査も受けなければなりませんし、苦情受付窓口の設置も必要です。」

 

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評議員・理事・監事には損害賠償責任・特別背任罪などの刑事罰の責任も発生します。社会福祉法人の根幹部分だと思っていただかなくてはなりませんよ。」

 

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「そのため、小さな法人だと施設長が法人本部の機能を兼任している場合などもあります。事業ごとに分別しての横並びでは、本部があるなしでも、人件費に違いがでてくるため比較しずらいと思われます。」

 

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「よって社福一律でCVP分析しても正しい指標としているでしょうかね?」

 

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「・・・」

 

業者「消毒液をお届けしましたよー」

 

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「あ、はーい、今運びますねー。ということで現場に消毒液運んできます。」

 

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「私も利用者さんにご挨拶する時間だから一緒に行くわ。」

 

利用者さんA 「おや、二人で歩いているところなんて久々に見るわね。」

 

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「今日はたまたまでして。」

 

利用者さんA「ちょっと前までは、二人でいたらゴールデンコンビなんて言われてたのにねー。」

利用者さんB「へー、そんなに仲がいいの、お二人は?」

利用者さんA「ここの介護の人がいっきにやめたことがあってね。その時にあの二人だけで食事からお風呂から何から何まで全部こなしてたのよ。息がぴったりでね。」

 

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「あの時は・・・」

 

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[・・・」