ヌーソの皿の上

福祉とpc関係の記事です

障がい者グループホーム恵問題-営利団体の急成長と地域推進会議について-

 

当ブログでの恵の扱いについて

 

株式会社恵の問題を取り上げます。
ずっとやらなければならないなと思っていましたが、一斉摘発の時には記事を書く時間がないまま過ぎていました。

昨年、恵が食材費過大徴収により厚労省が査察に入った時にはニュースとして取り上げました。

nu-so.hatenablog.com

この中では預かり金規程という規程に基づいて、施設側は知的障がい者の財産管理をしている説明をしました。その上で、経済虐待とはどういうことか、この問題は業務上横領が適切なのではないか。食材費の過大請求を、経済虐待で括ってしまうと福祉関係者としては支援に支障が出てくるのではないかとまとめました。

これほど運営に問題点の多い企業だとは知らなかった時の記事です。この摘発の数年前から、恵の拠点がある所管庁では、グループ全体の摘発に動いていて、そのきっかけの査察だったということが最近の動きを見てわかります。


問題は多くなったため、こんなニュースにもなりましたね。

障害者GH「恵」一括譲渡 福祉専門家から助言(厚労省) 9/23

https://news.yahoo.co.jp/articles/8797c2338add9fb7dbde6596b1145febe1538cd6

食材費の過大徴収に対しての摘発、利用者虐待問題、事業譲渡について、恵のホームページではどのような弁明があるか調べてみました。ですが、残念ながらホームページ上での弁明はでていませんでした。

www.megumi-fuwafuwa.com

 

営利団体が急成長する理由について

 

私が取り扱うタイミングを失っていたところ、今週のクローズアップ現代で"恵"が特集されました。

www3.nhk.or.jp

この中で、
営利団体が急激な成長により、支援の"質"が保てなかった

という内容が報道されていました。
この部分についてちょっと付け加えたいと思います。

事業である以上、そしてそれが営利法人であればなおのこと、需要があれば事業として拡大するのはごく当たり前のことだと思います。
なので「営利法人が営利目的だけで事業を急拡大させた」という点には何ら問題はないことだと思います。

その部分に付け加えるのであれば、本来事業を行うべき社福では、グループホームの十分な事業拡大ができない理由もあるからです。

多くの障がい者向けグループホームの事業をしている社福は、グループホーム事業ができそうなマンションなどの一室を借りて事業をしています。
もちろん資金に余裕があったり、購入できる価格の一室であれば購入していますが、大体は購入できないのが実情です。
賃貸にしなければならない理由は、利用者が望むであろう立地にそぐわないからです。如何に知的障がい者であろうと、辺鄙(へんぴ)なところに住みたいという人はいません。
職場が近く、買い物などができるような地域に住みたいのは極々当たり前のことです。となればおのずと地価の高い地域にグループホームを整備したいものです。
社福である以上、税金もかからないし土地を購入したいけど、地価が高いから購入はできない。なので利用者に住んでもらうとなれば賃貸にしなければならないのです。

そしてこれが大きな問題になります。借りる以上は社福の場合、法人名義になるわけです。
もし貸主の立場になったとして考えてみてください。マンションの一室が知的障がい者用のグループホームになると。
「同じマンションに住む住民から反発はないだろうか?」
「叫んだりして、近隣に迷惑は掛からないだろうか」
「放尿などして二度と借りれないような部屋にならないか?」
と心配されます。実際こういう問題があるので、グループホーム世話人の問題以前に、事業を拡大できないという問題も含んでいるんです。

ところが営利法人の場合事情が違ってきます。会社名義でマンションを借りなくても、代表なりの個人名義でマンションを借りれてしまいますよね?
そこで、グループホーム事業を行うことは、明らかな違法行為です。ですが、それ以外にマンションの一室を一年で何十か所も借りれるわけがありません。

つまり、営利法人のほうが違法でも拡大がしやすい温床があるということです。

グループホームの受け皿不足な上に、需要がある立地のいいところの手ごろな価格の一室を借りやすいのが営利法人なんです。

「急拡大」することの問題の核心はこの部分にあると思います。

 


切り札:地域推進会議

 

この番組の最後のほうでは、このような問題を繰り返さないためにも、地域推進会議の義務化が効果的だとあります。地域推進会議を開催し地域住民が運営に参加することで、監視の目を増やそうということが狙いのようです。
この制度、NPO法人介護保険の地域密着型事業、大きな病院ではずいぶん昔から導入が義務づけられましたよね。
参照元厚労省

www.mhlw.go.jp

私は開催する側を担当しました。ほかのところはどうやっているかなどまでは詳しくありませんが、どこも苦情やインシデントの報告をするのが関の山なのではないでしょうか?
それ以上「地域住民の目を施設の中に入れる」といっても、実際どうやって現場に視点を入れていけばいいのでしょうか?
実際に開催しても地域の方がかなり苦し紛れに、なんとか意見を絞り出してくれています。

地域推進会議で牽制というのは絵空事ではないかと感じてしまいます。