数年前にこんな記事を書きました
働き方改革が政府から進められた頃で、これからは副業をする人が増えると思い、なら本業・副業どちらも介護をしてはどうか?という内容でした。
2025年問題を前に、改めて施設での介護職員を募集するための手段を考えてみたいと思います。
1.経営者の傾向
たびたび書かせてもらっていますが、私は施設の入り口(玄関)で、来客・電話対応をしながら企画書を何本も書かされていました。そして書いた企画書のダメ出しをする会議があったりとまあまあメンタルを削られる状況下で企画書を書いてきました。あのころと比べれば、今自分のブログで書く作業は、楽しくて仕方がありません(笑)
そんな当時でも、企画書が採用されるようにいつも思考を巡らせ、会議メンバーが採用したくなるように傾向と対策も練りました。
そんな企画書の一つで、求人募集に関するものを作成した時、うちの重役はだいたい
・今より経費を抑えつつ
・人件費の安い若者が求人に対し、たくさん応募し
・自分たちは、吟味して採用したい
と考える人が多く、尚且つ
・実例があり、かなり効果のある企画であることを証明してほしい
・でも、他の同業者はやっていなくて、斬新なアイディアであってほしい
という、ハチャメチャなものでした。思い出すだけで、ちょっと腹立たしくなります。そんな裏技みたいなものなんてありませんよーーー(叫び)
2.介護職員の動向
あれから数年が経ち、今の自分であればどう考えるか。案としては、介護職員倍増計画を上回るような斬新なアイディアは浮かびませんでした。ですが、もし施設運営でお困りになり、藁にもすがる思いでネット検索をしたら、私のこの記事にたどり着いた、という方がいたとしたら・・・。と思い頭をひねってみます。
まず、介護職員の動向について考えてみましょう。
昨年末あたりから、ネットや紙面に出ているのはこんな記事ですよね?
介護就労者が初の減少、低賃金で流出 厚生労働省分析
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA205120Q3A021C2000000/
いくら間口を広げ、給与・処遇を見直してもこのような結果が訪れてしまいました。
ということは、介護職労働人口の限界が来たということになります。
もうパイを増やすことの限界がきたんです。これからも介護に興味関心を持つ人はいるでしょうが、それは一定数であり、それ以上の劇的な変化が起きるというのは考えにくいですよね?
その定まった労働人口の一部から、貴施設で採用をすると考えたときに、どういう労働者で、分類としてはどのような人を求めているか考えたことはあるでしょうか?
社会人としての一般常識を持ち、チームワークを保てて~~などという部分ばかり考えていらっしゃるのではないでしょうか?
私が定義したい分類は、「動」と「静」という2種類に分かれると考えます。
介護現場からよく聞くのは、「採用したけど、すぐやめてしまう」という言葉です。そういう人たちを「動」とします。一方で「静」という人たちは、採用してもしばらく様子を見て、勤続し続けてくれる人となります。
採用するからには、「静」に区分けできる人たちを採用したいと考えるのは当たり前のことですが、実際にその「静」に区分けする人が来やすい求人募集になっているかは考えたことがあるでしょうか?
3.種類化
まず「動」と区分けできる人たちの傾向を考えてみます。
・派遣でもいいから一時しのぎの働き口が欲しい
・曜日や時間指定をし、限定的な仕事がしたい
・要職募集に応募し、高給と立場を持ちたいと強く思っている人
・人間関係で、いま以上我慢するのは嫌
と考えてみました。
求める職に対して、希望の多い傾向にある人たちですから、その職場で希望がかなわなければ、すぐにでも職場を変える、定職してからもつぶしのきく転職先を探し続けている人です。
そんな人は採用したくないと考えるでしょうか?でもこの「動」と呼べる人たちは、求人市場での自分の価値を分析する力がある人達であり、その経験・キャリアにも自信を持っている人達なんです。
きっと貴施設で応募して、来てくれれば、飛びつきたくなるほどの即戦力になる人達だということも理解しておいた方が良いですね。
それでも、長期的な施設運営と考えれば「静」と呼べる人たちを採用したいと考えますよね?「静」と呼べる人たちの特徴は、「動」とは真逆の人たちです。
・長期的な定職を考えているので、できるだけ通勤が負担にならないところがいい
・経験・キャリアがない、または少ないので、将来的な展望を考えても数年は転職を考えられない
・人間関係なんてどんな職場も変わりはないので、自分に合うかどうかは自分で体験し、決める
と考えている人たちだと思えます。
「そんなことは分かっているし、そういう人たちを採用しているつもりだ。」
と思ってしまいますか?
では、本当にそういう人たちを求める求人募集になっているか考えてみます。
4.求人募集内容を考えてみる
転職エージェントを介して、採用することが多くなった介護現場。
広告料と採用手数料など費用がかさむと言いながらも、ハローワークに上げる求人募集はちゃんと見直しているのかと首を傾げたくなるものを目にします。
例を挙げると
・介護現場管理者・幹部候補
・異動あり
・処遇改善を含めても、他職より明らかに低い賃金
などを見つけてしまうんです。
それでも応募してくれる人がいるから、そのような求人募集なんでしょうが、上記のような内容では、長期継続して定職してくれる人は獲得できないのは明らかなんですよ。
本当は幹部候補なのは間違いないんでしょうが、そんなことはどの職場でも同じことが言えるはずです。それどころか、幹部候補だから無理はきくだろうという、浅はかさが見える募集だということになりかねません。同じように異動はあったとしても、求人募集に必ず書かなければならないというのは、その会社はひっ迫していることを表していることになります。そして賃金に関しても、現実これ以上出せないとしたら、ほかに費用がかさみ過ぎです。もう小手先のテクニックを駆使して介護職員を獲得できる時代ではないことに気づいてほしいと思ってしまいます。
懇切丁寧に求人募集で書くべき内容は、例えばユニット別の要介護度状態などです。
個々のユニットの状態を、できるだけ差のないフラットにしてしまいがちですが、それでも差があることは分かっています。ならどんなユニットで募集するかも書いた方が伝わりやすいとは思わないでしょうか?
また、貴施設でキャリアを積むとどのような将来展望があるかも具体的に記す必要があります。ユニットを2つ経験したら即リーダーなど、もっとわかりやすく書いた方がいいと思えます。
5.募集方法
求人募集ばかりにピンポイントを置きましたが、まだやれることはたくさんあります。
例えばSNSです。「具体的にどれだけの募集能力があるかわからない」などと思い、敬遠している施設がまだ多いように感じます。
SNSと、ホームページやハローワークを比較する時点で間違いなんです。SNSは応募者にとって採用前からの人間関係づくりになります。具体的な情報が聞ける、ホームページやハローワークとはまた別次元の採用ツールになりえるのです。
そのツールを生かし、
・監査情報開示(ブラック企業じゃない証明)
・処遇改善手当の支給状況
・給与(算定内容)
などを採用面接前から情報を共有できたとしたら、貴施設の信用は高まるとは思えないでしょうか?
まだ掘り下げれば出てきそうですが、今回はここまでとさせていただきます。