ヌーソの皿の上

福祉とpc関係の記事です

福祉3.0(3) なら介護保険制度をやめたら?

福祉3.0(1)では世界の状況の話をし、福祉3.0(2)では予測できる福祉の展望の話をしました。大企業にとって福祉は、新たなオプション的事業であって、社福への出資・買収や、施設などの直接運営をするようなことはないと思っています。

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ですが、そう動き出すであろうと思う理由には、日本が2025年大介護時代に間に合わないであろう現実があるからです。

 

日本の介護保険に安心感はあるでしょうか?そして将来的に更なる革新が進み、未来も安心して利用ができるのでしょうか?

 

 

1.介護保険医療保険と比べて

これまでもしばしば医療崩壊を危ぶむ声は聴かれてきた中で、コロナ禍では実際に医療崩壊の片鱗が見えましたよね。当時は本当に医療関係者の方々、お疲れさまでした。

話は戻しますが、昔から心配されていたのは、地域医療の崩壊から始まるといわれ、実際今も現在進行中といっていいのではないでしょうか?地方では過渡期の集中治療をはじめ、最新の医療技術は受けにくい状態にあると思います。

それでも、日本の医療は都市部の医療と地方医療との協力の元、大規模な医療崩壊にはならないように感じますよね。これは「過渡期」と「回復期・維持期」のすみ分けがうまくいっているからなんです。そのため「治療は都市部でも、住むところは地方」でも成り立っているわけです。

 

行政の方々は、同じ保険ですから、介護保険医療保険の様に推移すると思っているのではないでしょうか?医療保険の様に地域福祉は成り立たなくても、都市部との連携により福祉サービスは成り立つ、もしくは、地方で生活ができなくなれば都市部への移住をすればいいと考えているように感じて仕方がありません。

 

今は「住居貧困」という言葉も出てきたくらいに、高齢者の住宅事情は極めて厳しいものが続き、新設される建物は有料老人ホームばかりになってきました。

それでも、有料老人ホームに入れる方はまだ良しとして、有料老人ホームにも入れない高齢者世帯はどうすればいいのでしょうか?

焼け石に水程度の補助金がばら撒かれるばかりの状態で、大きな改善に向かっているとは到底思えませんよね。

 

また、福祉のほうが地域格差は大きい状態です。ある地域には特養があっても、別地域は老健しかないなどはまだ序の口で、老人ホームですら2つ先の町にしかないなんてこともあります。

それでいて、事業者側は事業を都市部に集中させて職員確保に努めているのに、福祉事業所は赤字倒産が過去最多。訪問介護事業に至っては、訪問介護員はおろか、事業自体担う事業所が減っている状態。物価高騰により特養でも赤字が起きている状態です。

介護保険給付費は11兆円を越し、税制的に危機的な状態なのに、不正行為を働く社福の事業主は後を絶たず、ニュースで社福の不祥事を見ない週はありません。

 

この状態が、医療と同じ保険事業で、全国一律の福祉サービスと言えるでしょうか?

高度医療という言葉はあっても、高度介護、高度福祉などという言葉はまだありません。

医療の様には解決できない問題なのです。

 

 

2.介護保険の再構築

行政が提供する、介護保険下のサービスにはまだ問題があります。というかありすぎるので、一部を箇条書きにすると

・なぜサービスを利用していないで、老老介護で続けている世帯に介護保険給付は下りないの?

・ヤングケアラーの救済方法は? 訪問介護サービスが不足してきているのに、セーフティネットにつなげるだけで助けられるの?

・介護離職は万事、企業努力だけで解決するの?サービスだけでなく資金援助はしないの?

 

書いていて、頭が痛くなるほど問題が山積みなのに全く問題は改善の兆しがありません。

さらに根本的な問題として、介護認定を必要とする保険事業なので、福祉サービスの本利用までの時間がかかりすぎているように感じています。

 

ここからは私の持論ですが、

「なら介護保険制度をやめたら?」

と言いたいんです。

 

正確に言えば、全部やめるのではなく、介護認定に対して、上限額を設ける給付制度ではなく、介護認定にあった給付費をその本人、世帯に実費で支払ってはどうなんでしょうか?

 

例えば、要介護度1の方の場合、月の給付費限度額は167,650円なんですから、その金額のまま現金で支払うのです。本人や世帯は、福祉サービスを全額現金で支払えばいいだけの話になります。言い方を変えれば全額自己負担に切り替えるということです。

 

給付型の保険だから、制限ができるんであって、制限を取っ払うことにより、利用率を上げることにもつながります。

 



3.問題点と補足

現金支給に切り替えたからと言って、地方の福祉が改善されるわけではありませんよね。

そして、福祉事業所数が増えるわけでも、福祉事業所の赤字体質も改善されません。

 

ですが、人手不足が改善されるんです。

老老介護やヤングケアラー、介護離職してきた人たちを、逆に福祉の担い手だとする考え方なんです。

理想であり本来の姿は、福祉サービスの専門家が家族に代わって介護サービスを提供するべきですが、サービス自体が減少してきて、介護職員の担い手も減少する中で、あと2年で福祉サービスが充実するようには到底思えません。

であれば、今介護職員ではないのに、家族介護をしている人たちに給付することで「担い手」と認定してしまうという考え方です。これ以上迅速なサービス提供方法はありません。ただ家族介護自体を孤軍では、そう長く続けられるものではないので、いつかは福祉施設なりのサービスにつなげる働き、取り組みは必要だと思います。

また、施設の介護職員に支払われる処遇改善加算に関しては、同じように国保連からの支給は必要になるとも思っています。それに、よりケアマネジャーたちは情報収集に時間をかける必要が出てきます。

 

細かい部分はおいおいにしても、今の日本の福祉問題を少し解決する提案だと私は思っています。