ヌーソの皿の上

福祉とpc関係の記事です

事務員のアウトソーシングについて

 

福祉事業所の事務業務について

少し大きな福祉事務所であれば、若干名事務員がいらっしゃらないでしょうか?
AI台頭時代が目の前に差し迫り、まず業務省力化の対象になるであろう事務員。
コロナ禍においても、リモートワークが可能であることが証明されたことで、ますます外部委託化が進むであろうこの職種について注目してみます。

まずどんな仕事をしているか

できるだけ、どの事業所もやっているであろう業務を一覧化してみます。
・経費管理
経費支払・精算
未払・預り金の管理
残高確認業務、入出金明細報告

・会計・税務
起票、領収書整理業務
決算業務
年末調整・法定調書
固定資産台帳・減価償却明細の作成


・給与計算
労務情報収集
月次給与・賞与計算業務
年末調整・法定調書作成

・請求書のデータ入力・出力
請求書の発送作業
収入の会計処理

・サービス別未収金残高一覧表作成入・支払管理
職員の経費精算全般
支払いデータ作成
領収書の金額との照合
総合振込依頼書作成
Webバンキング支払内容登録
公共料金、社会保険料の納付代行業務
残高確認、預金通帳入出金明細報告
在庫管理
未払金の照合
残高確認
支払い一覧表作成
入出金明細の報告

・会計・税務
領収書の整理・仕訳
予算管理(※)・利益計画策定
月次試算表
資金繰り表
執行状況分析
決算報告書作成
勘定科目明細作成
決算仕訳処理
附属明細書作成
源泉徴収票
利用者の賃金台帳
法定調書合計表作成
支払調書作成
年末調整
減価償却明細の作成
取得、除却、売却資産の台帳登録
固定資産管理台帳の作成

・給与計算
給与計算・給与明細書作成
賞与計算・賞与明細書作成
各種帳票作成
データファイル作成(インターネットバンキング用)
住民税更新
退職金税額計算
年末調整計算
年末調整一覧表作成
賃金台帳作成
給与支払報告書・総括表作成
法定調書参考資料の作成
源泉徴収票源泉徴収簿の作成
インターネットバンキング操作

・社労士に委託している業務
社会保険関係の届出書類作成・届出
算定基礎届、年度更新などの申告業務
就業規則の作成、届け出

などなどが主な仕事になります。文章にすると難しそうになりますが、そのほとんどはソフトを使っています。それでも、それぞれの業務で確かめるための資料も同時に作るので、ほぼこの業務プラス参考資料で、一覧にした業務の1.5倍くらいの資料を作成しているはずです。

 

事務員の所属って

 

ここで質問ですが、事務員の所属は何になっていますか?
事務員は所属以外のいる場合、なんと呼ばれているでしょうか?
経理部?財務部?本部?事業部?会計?
いろいろな名称で呼ばれていると思います。

その名称にはこんな差があるようです。

会計


会社の資産・負債状況や収支を帳簿に記録すること


経理


経理とは、経営を管理する


財務


銀行融資や株式発行などの手段を講じて企業の資金調達を担う
予算管理を行う
資金運用を行う


会計担当、経理担当という名前はなんとなしにわかりやすいが、財務担当という言葉はあまり聞きませんね。
これには会計の仕方がどのようになっているかにもよると思います。

 

会計の仕方の違い

 

会計といっても、考え方として財務会計管理会計にわかれます。


財務会計

営業活動の成果をもとに損益計算書(PL)や賃借対照表(BS)といった財務諸表をまとめ、利害関係者(ステークホルダー)に企業の経営状況を開示するための会計。

 

管理会計

経営層が意思決定をするための材料として、企業の経済状況を独自のルールにのっとって資料にまとめるための会計。

とされています。
福祉事業所の会計は、監査側の所管庁(市町村など)への開示及び、情報開示するためのものですから、正しく財務会計なんですね。

となれば、財務担当という呼び方もありなんです。

また、考えるべき点として、予算管理はどのようにされているかもあります。

 

予算管理方法

 

予算管理方法の考え方には、固定予算と変動予算があります。

固定予算

 

一度予算を決めてしまうと、どのような変動があっても予算自体は変動しない予算方法。 最初の予算のまま固定して変動しないので固定予算といいます。

 

変動予算

 

固定資産とは逆に当初予算に対して5~10%の変動を予測した上で立てる予算方法

 

この考え方は工業簿記が元になっていますので、福祉会計上でも就労継続・就労移行事業所では、なじみのある考え方かもしれません。

 

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事務業務のアウトソーシングするということは

 

BCP(事業継続計画)上から言ってもリモートワークできるものですから、外部委託する考え方がより進んだと思います。これらの事務業務は、時間、手間、コストなどに手間がかかり、かつ正確な計算書類作成が求められるので、その人選も必要になります。それでいて、事務員から介護員などの異動は難しいですから人事異動にも色々な支障を起こす職種です。よって、業務効率を上げる観点から言っても餅は餅屋という考えにたどり着いてしまいますよね。

それでいて事業継承という考え方からいえば、福祉現場あがりの職員が財務諸表を読み取れるかという問題もあります。正確な会計処理なのか、財務諸表を元に経営判断できるのかなどの問題もありますよね。財務諸表を読み取る人材を育む土壌を残すためにも、事務員はインソーシングし続けている事業所もあるのではないでしょうか?

その時に、考えてほしいのは上記で紹介した会計方法、予算方法なんです。
どこの事業所の事務員が行っている作業も大差はありません。ただ、その責務が必要なんだと思うんです。

 

例えば、

うちの事務員は会計をやっているだけであり、固定予算を粛々と立てるだけの財務会計

という考え方の場合、これではできるだけ早くアウトソーシングしたほうがいいでしょう。
そうではなく、

 

うちの事務員は経理をやっており、変動予算に対して経営に助言をしてくれる管理会計なのだ

 

という考え方だったらどうでしょうか?
どう考えても、事務員の外部委託は出来なくなりますよね?
福祉事業所の事務員には、そのような立場であってほしいと思っています。