引用文
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埼玉県上尾市の私立紅花保育園（上尾市久保、S園長）が７月に開催した緊急保護者会で、本年度末での閉園を突然言い渡し、来年度も在園予定だった６６人の園児が転園を余儀なくされていることが関係者への取材で分かった。背景には昨年度の保育士の大量退職があり、園では「保育士の確保が難しい」と理由を挙げている。市保育課は影響の大きさを受け止め、実態の把握と調査を開始。２４日には今後の方針について園側と協議したが、進展はみられなかった。
関係者によると、緊急保護者会が開かれたのは先月１０日。６月末に「大変重要なお話があります」と書かれた手紙が園から保護者に渡されていた。同園を経営する社会福祉法人たてば友愛会のS理事長が、集まった約８０人の保護者に伝えたのは本年度末での閉園。理由として「保育士不足によって子どもの安全を保証できなくなった」と説明した。
同園では昨年末に給与、賞与の未払い問題が発生し、保育士ら職員が大量に退職。本年度は非正規職員などを確保し業務を行ってきた。保育士ら職員には翌１１日に、閉園の意向が知らされた。
～～中略～～
紅花保育園は１９７８年に設立し翌年認可された、市内で最も歴史のある私立保育園。現在０～５歳児８２人が通園している。市保育課によると、決算書上では経営状態の悪化は認められず、補助金も申請され、問題なく交付されているという。
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大量退職、保育士ら…歴史ある私立保育園、突然「閉園します」 経営悪化なし 閉園の意思固い理事長に親は
https://news.yahoo.co.jp/articles/3179e42189f6b4a978704a566eae3cdcb128a40d
法人ホームページ（紅花保育園のホームページは正確な更新がされていません）
要点をまとめると
・給与、賞与の未払い問題が発生
・決算書上では経営状態の悪化は認められず、補助金も申請され、問題なく交付されている
という事のようです。
どうなっているか、いつものWAMネットを使って調べてみましょう。
https://www.wam.go.jp/wamnet/zaihyoukaiji/pub/PUB0200000E00.do
紅花保育園の概要
・設立は昭和53年(引用文にある通り西暦1978年）になっています。
開園当初は120名定員でしたが、新園舎に移行してからは90名定員に減らしています。
・姉妹園には軽費老人ホーム 桃寿苑があります。
・創業者は典型的な同族経営をしています。
次はまずポイントの、職員に対しての給与・賞与の未払いが起きている人件費から見てみます。
人件費
賞与引当金
給与・賞与の未払いが起きている？まず法人の貸借対照表を見てみました。
？？色々疑問はあると思います。でも人件費の見方を説明します。
賞与の未払金を見るには、賞与引当金をみます。
決算である2022年3月末時点で、積み立てられている賞与引当金は夏の賞与（ボーナス）分の積立分1月、2月、3月分です。
つまり、支払うであろう6~7月の賞与の半分は積み立てています、という数字になります。
それを踏まえてみてみると、当年度は法人全体で6,005,867円積み立てられていることになっています。
？積み立てられている？？？
ここで大きな問題が出てきますよね？増減額が全部０？
賞与引当金がちゃんと積み立てられていないだけでも問題になりますが、実はそれどころではなく、全科目０。当期活動増減差額まで０なんです。
会計でこんなことはありえません。
資金収支計算書
では次に紅花保育園の資金収支計算書を見てみます。
※資金収支計算書は使用する科目を全て出し長いためそのままの引用はしません。
2021(令和3)年度の事業収入は 120,819,860円
（うち保育所運営費収入111,199,610円）
それに対し人件費は 89,041,938円（人件費率７５％）とまずまずの経営をされていることになります。
ですが、2020(令和2)年度の事業収入は 117,267,411円 人件費は97,311,058円（人件費82%）
でした。
よって、そこから差し引きしますと600万円以上の給与、賞与の未払いが起きていたということになります。
決算書上では経営状態の悪化は認められない？
補助金というのは申請するもので、補助金を支払われたから終わりというわけではありません。事業報告とともに補助金の精算も行われるものなので、記事内にあるように補助金交付そのものが経営安定、保障を表すものではありません。
では経営状態はどうだったのでしょうか。
まず紅花保育園の資金収支計算書を見てみますと、
資金収支計算書
※資金収支計算書は使用する科目を全て出し長いためそのままの引用はしません。
2021年度
当期資金収支差額合計 8,871,451
前期末支払資金残高 8,538,783
当期末支払資金残高 17,410,234
となっています。
簡単に言うと、2021年度紅花保育園は黒字だといっているんです。
ちなみに昨年度までは200万円程の赤字を出しているのにです。
2020年度
当期資金収支差額合計 -2,109,310
前期末支払資金残高 10,648,093
当期末支払資金残高 8,538,783
事業活動計算書
では続いて2021年度紅花保育園の事業活動計算書を見てみましょう。
当期活動増減差額 -9,247,902
前期繰越活動増減差額 -57,843,314
次期繰越活動増減差額 -63,591,216
となっています。
これも簡単に言うと、大赤字を起こしていることになります。
収入の約1億2千万円に対して6000万円以上の赤字を起こしていることになります。
明らかにおかしな会計になっていることはお分かりになるかと思います。
何が起きているかというと、お金はあるけど経理的には赤字を起こしているということになります。
経理的に赤字になるのは、一般企業でいえば「売掛金」や「在庫管理」によるものであればあり得ないこともないです。ですが、紅花保育園は保育園であり、そのような科目は存在しません。
最後に
経理的な赤字は何によるものかも調べてみました。これは単年度の会計では調べられません。
会計を振り返られるだけ振り返るため2016（平成28）年度まで会計に目を通してみました。
2016年度時点の貸借対照表は下記のようになっていました。
この時点から増減が0になっていますよね？
数年前から会計がめちゃくちゃなんです。
しかも
基本金が 902,551,547円も計上してあります。
基本金に関しては、2022年時点でも同額が計上されたままになっています。
保育園と軽費老人ホームだけで、9億円もの基本金ってどういうことか、しっかり説明を受けないと全く意味が分かりません。
それでいて次期繰越活動増減差額が-77,910,067円です。
そんなに経理上の赤字を起こしていても、2022年まで基本金の取り崩しを行っていないということです。
ここまでくると、計画倒産を狙っていたんじゃないでしょうか？取り急ぎ埼玉県や上尾市は特別監査を行う必要があると思います。
というか、埼玉県や上尾市は今まで何をやっていたんでしょうか？
