ヌーソの皿の上

福祉とpc関係の記事です

社会福祉法人会計を見れるようになろう (2)保育園編

シリーズでお送りしています、社会福祉法人会計を見れるようになろう(2)の保育園編です。

できれば、前の記事をちらっとでも読んでいただいたほうが、今日の記事が読みやすいと思います。

 

nu-so.hatenablog.com

 

 

 

 

 

なぜ保育園からなのか

まず前回の記事でも書きましたが、なぜ一番に保育園の会計から説明を始めるかについてです。

会計なら会計基準に則っているのだから、どの事業から始めてもいいような気がしますよね?

でも各事業の収入元は、

 

 介護施設(特定施設入居者生活介護を含む)・・・・・・・・・・・介護保険

 障がい者施設・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・障がい者自立支援法

 保育園・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・委託費

 養護老人・軽費老人ホーム等(特定施設入居者生活介護を除く)・・措置費

 (救護施設は措置費でも利用者負担がないなどさらに特殊)

 

となっています。その事業をされている方ならわかると思いますが、介護保険障がい者自立支援法は給付費の支払いにタイムラグが存在します。

 

 

介護保険障がい者自立支援法のサービス提供から報酬受け取りまでの流れ

 

 

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   ※利用者負担金は除きます

 ※サービス提供から収入の受け取りまで2か月かかるので、1年間の収入のうち2か月  分は常時予測になってしまい、施設給付費分は回収できません(事業未収金に積み立てられます)

 

 

保育園・ 養護老人・軽費老人ホーム等の場合

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※利用者負担金は除きます

1年を四半期に分け、おおよそ3カ月に一度概算請求と精算をします。

よって、一年内の収入は年度内におおよそ回収ができます。

 

となっています。

 つまり下記で説明するポイントを元に、介護保険施設障がい者自立支援施設を正確に見るには、さらに知識(貸借対照表)が必要になるということです。(全く見れないわけではありません)

 

 少ない知識でもみれるのが、保育園・ 養護老人・軽費老人ホームなどの会計なのだと思ってください。

 

保育園会計を見るポイント

 

1.大区分だけみる

 どこの管理者、施設長も「修繕費が~」「業務委託費を抑え~」などとぼやいていると思いますが、たいしたことは言っていません。そもそも「修繕費」や「業務委託費」などよく耳にする科目は中区分と呼ばれる科目です。(どちらも事務費科目になりそうなので、事務費でいいんです)

 家庭でいえば、家計簿に通信費(電話、スマホ、ネット回線)があったとしたら、そのうちのスマホ代あたりのことを言っているのが中区分です。スマホゲームの課金代が小区分みたいなものになります。

 社会福祉法人会計の大区分でみるところは

  ※今回は保育園なので

 

  ①保育事業収入(収入)・・・委託費と違うのは利用者等利用料収入を含みます

  ②人件費・・・・・・・・・・文字通り職員給与の科目

  ③事業費(支出)・・・・・・特に事業に関わる支出 例:給食費・保育材料 など

  ④事務費(支出)・・・・・・直接事業に関係しない支出

                例:業務委託費・通信運搬費 など

 

 それ以外にも、今回は事業活動収支計算書でみるとお伝えしているので、

  

  ⑤施設整備等にかかる収支・・・・建物を建てたり、固定資産を取得した時に記述

  ⑥その他の活動にかかる収支・・・積立資産や本部会計への繰入額を記述

 

 この6点をみてほしいんです。(今回は⑤~⑥は省略しています)

 

2.当期末資金収支差額

 ここで、やっと前回の記事でお話しした「期」が出てきました。期とは会計期間のことを指しますから、当期末とはまさしくその会計期の黒字か赤字かを表しているんです。

 

3.人件費率

 これは科目では出てきません。電卓で計算が必要になります。でもそんなに難しいことはやりません。

 人件費÷保育事業収入

 

 で出てきます。

 昨今は株式会社と社会福祉法人を比べることが多くなり、この比率をよく目にすることがあります。でも社会福祉法人の割合は65~80%弱といわれています。飲食業ならつぶれてますよ・・・。

 

以上になります。大きく分けて3つ、ポイントとしては8点を元に会計をみてください。

 

 

実践 小カッパきゅうり保育園の場合

 

 こんな保育園はないです。あったらごめんなさい(汗)

 でもデータはダミーです。記事を書くよりもダミーデータ作るほうが大変でした。

 

 定員120名 地方都市とします

 

 委託費収入(施設給付費ですよ気を付けて)  125,477,000

 保育事業収入(総収入と考えてください)   137,794,000円 

 

 人件費                   108,839,000

 事業費                     14,311,000

 事務費                    7,128,000

 その他の収入(施設整備等を含む)       3,036,000

 その他の支出(施設整備等を含む)          3,207,000

 (今回はその他の収入・支出は省略しています)

 

    当期末資金収支差額             +7,345,000

 

 

 ※1当期末資金収支差額が+ですので、黒字ということがわかりますね。

 ※2 人件費率は78.9%ですね ちょっと人件費が高い保育園といえるようです。

 ということがわかっていただければ、保育園会計は十分ですよ。

 例えば収支差額がでてるのに、職員給与どうなっている?など見れるようになりますよね。

 

                  

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しゅうかくだー



もう少し知識があると

  ・事務費より事業費が多いのは良いが倍額?何買ったんだろ?

  ・利用者等利用者収入が500万くらいだから、600万近く処遇改善で請求しているな

   民改費高いようだから、職員年齢構成は高いな。施設整備も少ないから古い保育園なのかな?

  ・その他の収入-その他の支出 からすると本部の繰入が20万くらいか

   ちゃんと理事会開いた?それとも複数拠点がある?

 

  ・職員数がわからなくても、108,839千円÷400万=27名くらいの施設か

   注:実際にはフルタイム24名、パート3名で積算しました。

 

ということが見えてきます。(もちろん上記はわかるようにしました)

 

今日はここまでになります。次回の社会福祉法人会計を見れるようになろう(3)は特養編です。

特養建ててみます。今回説明を省略した施設整備等にかかる収支・その他の活動にかかる収支などの説明を中心に、特養を建てたら事業活動計算書はどうなるでしょうか?次回もよろしくお願いします。