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ニュース特集:「保育園のM&A」活発化の裏にある“心配な事情” 9/3

「保育園のM&A」活発化の裏にある“心配な事情” 9/3

「保育園のM&A」活発化の裏にある“心配な事情”(東洋経済オンライン) - Yahoo!ニュース

 

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複数の社会福祉法人の保育園の園長らが「法人の本部は利益重視。保育士の待遇が良いとも言えません。保育の内容の素晴らしさというより、各園の黒字額を競わされるようになりました」と疑問視する

~中略~
急ピッチに保育園が作られたことで保育士不足に拍車がかかり、人材育成も追いつかないなど、保育の質の低下を心配する声があるなかで、保育業界は新たな局面を迎えている。ここにきて待機児童が減り始め、出生数が急速に減少するなど需要と供給のバランスが崩れ始める中、保育事業からの撤退が始まったのだ。保育業界ではかつて考えられなかったM&A(企業の買収・合併)も活発化している。

国は保育に必要な経費として人件費、事業費、管理費を見積もり、自治体を通して運営費の「委託費」が各認可保育園に支払われている。かつて「人件費は人件費に使う」という厳しい使途制限があったが、2000年に大幅緩和。一定の条件の下で、人件費、事業費、管理費の相互流用はもちろん、同一法人が運営する他の保育園や介護施設にも流用できるようになった。
~中略~
留意すべきは、「委託費の弾力運用」の構造を残したままでは、経営者にとって流用できる人件費の金額が増えることにもなる。

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この記者の方は、よくご存じだなーと思う反面、

・この記者の方がほかの記事の際、取り上げていたとおりに処遇改善交付金が整備費に使われている問題
・弾力運用そのものよりも、前期末残高が本部会計に行ってからの行き先
・弾力運用は法人外部へ貸付は不可能 なのに一時的でも外部に利用されている危険性

https://www.hyogo-wel.or.jp/dl/qa/k014.pdf

などの補足はあります。

 

当時厚生省が打ち出した、「さらなる弾力運用」以前は、事務費・事業費間での流用ですら止められていた時期もありました。
それでも、弾力運用が適用になった2000年以降の当初は、その適用範囲として、(運営費・委託費)収入をそのまま経理区分間での運用は止められていたはずです。

そこからさらに規制緩和がくりかえされ今の形になったと記憶しています(※)。
※これは当時は所管庁の判断に地域差が大きかったので全国一律の話ではありません。しかも当時私は高齢の会計をやっていたのでさらに部分的なところはあります。

 

その規制緩和の必要性は、一重に民間企業参入のため「敷居を下げる」目的があったためです。
それまでの社福は、保育→障がい事業などの、直接の経理区分間繰り入れすら禁止されていました。
福祉事業を多種行う際に、これでは総体のメリットが生かせないわけです。

つまり、この弾力運用の緩和に規制をかけることは、これまで拡大してきた民間の福祉事業社が首を絞めかねない危険性を含みます。

それだけではありません。民間の福祉事業所は今後、人材不足による事業所数の淘汰が進むとされています。その淘汰にも影響があるのではないでしょうか?