ヌーソの皿の上

福祉とpc関係の記事です

法人の経営:ワンマンと共和主義

転職をして新しい職場に通うようになって数か月が経ちました。
この法人はまさにワンマンな法人です。トップがいて、トップの舵きり次第で、方針が一気に切り替わります。でもそれだけでなく、トップの体調やご機嫌でも方向性がコロコロ切り替わるところも目のあたりにしました。

 

 

 

前にいた法人


前にいた職場とは、まさに正反対で、強力な舵きりができるようなトップのいない、合議、多数決重視の共和的な法人でした。今勤めている法人から見れば、物事の進捗は雲泥の差で、方向性なんてほぼ変更なんてありえないのに、決済が下りるまでに相当の時間を要していました。意見の沈静化を計る必要があるんでしょうね。おかげでまず物事が進みません。だからなのか、なにより嫌がられたのは、出し抜いたような突発的で急展開が必要な出来事でした。決裁を受けるまでには、なにより根回しを必要として、稟議書・決定書なんてものは二の次、迅速な周知と各部署のご機嫌を損なわないことが最優先事項でしたね。こう書いてみて思ったんですが、必ず誰かのご機嫌をうかがわなければならないのは変わりませんね。

 


決断能力


昔の上司が「責任者の決定というのは、ワンテンポ遅い方がいいんだ。」なんて言っていました。当時聴いた時から、この言葉の意味がなかなか理解できないでいました。でも、今ワンマンなトップの下で働くようになって、やっと意味が分かるようになってきました。ワンマンなトップがいる会社で、そこそこ成長を遂げ、ある意味成功をとげたトップがいる場合、その会社ってそのトップ頼みになるんですよ。いいにつけ悪いにつけ、そのトップがいうことがすべての正解なんでしょうね。責任を取る気はないのに、自分の感性が正しいと思うから結構めちゃくちゃなことを言ってきます。法令根拠・加算算定の在り方考え方、積算根拠に算定理由、ここら辺に目を通さずに、激しく指揮棒を振るわけですから、下の者はたまったもんじゃないわけです。「物事の進みが遅い」と怒られる中で、その人に法令の説明まで端的に行わなければなりません。「ちょっとは耳を貸す時間をください」となるわけです。こうなってくると、やっぱりワンテンポ遅い責任者のほうが部下としては助かるわけです。ワンマン経営者からみれば、それが決断の遅さにつながると思うんでしょうがね・・・。

 

 

転換期


6月からの介護保険関連の法令改正により、色々な問題が浮き彫りになってきましたね。
・介護処遇加算手当の一本化
・介護処遇加算手当の440万円要件撤廃の動き
・介護処遇加算と病院のベースアップ評価料と関係性の調整
老人保健施設訪問介護・居宅介護支援事業所の廃業・閉鎖・倒産の増加
訪問介護員・ケアマネの成り手不足
・介護職員とケアマネの賃金逆転問題
訪問看護のオンライン申請開始
・リハビリマネジメント加算の統一
・やっぱりやるべきだったLIFE加算(笑)
・12月のオンライン資格本格始動

などなどちょっと思いつくものを列挙していくだけで、これほど山積みな問題が起きていますね。


いつも社会保障審議会の介護給付費分科会の進捗って遅いなーと思っています。まさに私の前いた法人と同じで、方向性は決まっているけど、反対意見の沈静化を待たないとなかなか進まない。
そして、今私がいる法人の様にワンマン体質の強い、エッジがきく老人保健施設訪問介護らは、待っていられなく撤退しているわけです。

こうやって見ると、介護保険業界はいろいろな決断を迫られる状態、転換期にあるように私には思えるのです。


方向性を誤ると


このままの状態が進むと、介護保険業界は淘汰され、荒野の様になるような気がしています。もしかして、私の知らないところで、一度崩壊が訪れるべきだと考え、そのように操作している人がいるんじゃないかとすら思えてきます。何よりの問題として、財源あっての福祉だったことの限界点なんだろうと思っています。
これだけ物価が上昇し、インバウンド客が増加し、消費税収入も過去最大と言われている国家予算において、なぜここまで高齢者福祉業界は追いやられているのか。単純に考えれば、今までの様にもう財源ありきで福祉が左右できないところまで来てしまったのだと感じています。
ではどうやって介護保険業界は状態を維持し、再生していくべきか。もう配る財源はないが、御上は権限を誇示し指揮棒を振り続けたいのでしょう。ですがここまでくるとサービスの担保、大きく言えば福祉の担保は事業者側に委ねられ始めているのだと思っています。
サービス提供能力、サービスの質の担保、そして利用者の命の補償すべてを担いつつも、荒野と化そうとする業界で生き抜く時期が来たと考えると、今はワンテンポでも遅い決断は命取りになるような気もしてきます。


こんな記事も書いていますので、併せて読んでいただければ。

nu-so.hatenablog.com