ヌーソの皿の上

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「発達障害」に間違われる子どもたち を読んで

「発達障害」と間違われる子どもたち (青春新書インテリジェンス PI 665)

 

読み終わっての一番の感想は、編成に大変ご苦労なさっただろうなということと、その内容への謝辞です。文章はライターさんが起こしてくれたとありましたが、いきすぎた「発達障害」診断と、「障害」の独り歩きに対して、リスク覚悟で警笛を鳴らす内容を書かれたとあります。

実例を交えながら、できるだけわかりやすく有益な内容に終始されていると思います。

今、子育てで苦しんでいる親御さんたちには、ぜひ手に取って読んでもらいたいと思う内容でした。

※この本での表記は「障害」となっておりますが、私のブログでは「障がい」を多用しております。そのため本記事では、本の内容のものは「障害」、私の発言に関しては「障がい」の2種類の表記を使用します。

 

 

1.発達障害もどきという子どもたちがいるということ

昨年、こんな記事を書きました

nu-so.hatenablog.com

 

この記事に対して、「発達障がいは治るのか?」と問われたことがあります。

児童デイに通っていた児童が、支援が必要なくなり、通わなくなったという事例はありますが、「完治」したとは聞いていないと、その時は説明をしました。

 

この本の中では、世界中で発達障がい児が増えていることにも触れられています。

そして、増加している理由として「発達障害と間違われる子」いわゆる「発達障害もどき」がいることに触れられています。

 

このもどきが増えた要因の一つは、文部科学省が2022年と2021年に行った調査「通常の学級に在籍する特別な教育的支援をひつようとする児童生徒に関する全国実態調査」は発達障害を診断できる専門家が行ったものではないそうです。この調査で発達障がいの可能性のある子どもは6.3%いるという大変大きな数字が出たために、不器用な子どもに対して「障がい」と考える保護者や教師が劇的に増えたことが問題だとされています。

そのようなプレ診断を受けたとしても、発達障害もどきは「発達障害の診断がついたにもかかわらず、その後、症候が薄くなったケース」があるそうです。よって、「発達障害」が増えたのではなく、「発達障害もどき」が増えたのだと述べられています。

 

そして本書には、脳の成長バランスが崩れたことが原因のため、その「もどき」の「脳をつくり直す方法」にも説明があります。

その直し方は「生活の改善」であるそうです。

特に睡眠不足が「もどき」を引き起こすとされており、そのためにも朝、日光を浴びること、十分に睡眠をとり規則正しい時間に食事を摂ることが重要だそうです。

 

以上が簡単な概略ですが、詳細については本書の方をご覧ください。

 

 

2.誤解・曲解について

私が知りえる範囲での「発達障害」「発達障害もどき」と思われる子がいるご家庭の、生活状態を思い出しても、生活リズムが乱れているだろうという印象が強いです。

もちろん事情があってのもののようです。家族がそろう時間が遅いから、必然的に晩御飯が夜遅くなってしまうなどの致し方ない状態があるそうです。家族がそろって食事を囲むことは、その一日の中で一番幸福なことだということはよく理解できます。

でもそれでは「もどき」を引き起こしてしまう、温床だということなんです。

 

家族として親として、子に愛情を注ぐ時間を設けることの重要性もわかります。ですが、「午前0時近くに夕食をとる」や、「朝3時くらいから眠り始める」などをし、「代わりに夕方に眠るなどで睡眠時間は確保している」では、生活の改善をしたとは言えないのです。

 

一方、学校などで多い問題としては、発達障がいという言葉を使わずにオブラートな表現をすることがあります。

ADHD診断のある子が併発する睡眠障害の特徴に、「朝起きられない」ということがあります。そのため、朝起きられない子だけでなく、不登校の子などの問題がある家庭に対し、学校側は親との不和にならないよう、総じて「起立性調節障害」ではないかと言ってくることがあります。その一括りにしながらも、学校は発達障がいを疑っている場合もあります。

 

参照元ウィキペディア

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%B7%E7%AB%8B%E6%80%A7%E8%AA%BF%E7%AF%80%E9%9A%9C%E5%AE%B3#:~:text=%E8%B5%B7%E7%AB%8B%E6%80%A7%E8%AA%BF%E7%AF%80%E9%9A%9C%E5%AE%B3%EF%BC%88%E3%81%8D%E3%82%8A,%E3%81%A8%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82

"起立時の不調を中心とする症状群で、本邦では小児科でよく用いられる。原因は十分に明らかにされていないが、血管迷走神経失神/神経調節失神の1型と考えられている。"

 

そのため、「うちの子は発達障がいではなく、起立性調節障害だ」と思うことも注意が必要になります。

 

そのほかにも、いろいろな誤解・曲解はありえると思いますので、この章で挙げた例以外にも、十分な注意が必要だと思います。

 

 

3.対処論の話ではない

本の中には1週間くらいで、状態が変わるなどの表記もあります

希望の持てる言葉ですよね。

だからと言って、安心して「1週間で治るんだからいつでもいい」などと思ってはいけないということが第一にあります。

そして、家庭でお子さんの環境改善に取り組まれている途中だからと言って、保育園や小学校が打診する発達障がいの診断を、引き延ばすようなこともしないでほしいのです。親御さんの判断で「発達障がい」ではないと決めないでほしいんです。

この本に書かれていることは、発達障がいではない「発達障害もどき」がいることの説明であり、「発達障がい」の完治方法が書かれているわけではありません。

 

親御さんが決断で悩んでいる間も、保育園の預かり中や小学校の登校中に、怪我や様々なトラブルの問題が発生する可能性があります。「もどき」ではない診断を受けるかもしれなく、障がい枠で育てるべきお子さんなのかもしれません。

 

発達障がいの診断を受けることが、その子にとって不幸の始まりではないことも知ってください。