認可保育園で保育士の7割出勤せず一時臨時休園 東京 小金井 4/21
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230421/1000091746.html
“今月18日の夕方、保育園の運営法人から「13人いる保育士のうち、10人が休むことになった」と連絡がありました。
運営法人が対応にあたりましたが、19日は、必要な数の保育士が確保できず、臨時に休園したということです。”
保育士の7割以上が出勤せず 保育園が臨時休園に 東京 小金井 4/21
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230421/k10014045321000.html
保育士13人中9人出勤せず 小金井なないろ保育園 一時休園 4/22
https://www.tokyo-np.co.jp/article/245549
保育士13人中9人出勤せず 小金井なないろ保育園 一時休園
https://www.tokyo-np.co.jp/article/245549
“法人が運営する他園や本部からの応援を入れて二十日に再開したが、保育士の必要数は確保できず、受け入れる園児を約五十人に縮小。保護者宛てのメールで「二十八日までは産休・育児休暇中の方、また家庭保育が可能な方はできる限りの家庭保育のご協力をお願いいたします」と登園自粛を要請し、しのいでいるという。
法人による市への報告では、トラブルの原因は施設長と保育士らとの人間関係だったという。”
他紙などの情報がなかったので、この情報のみで深掘りしてみたいと思います。
1.運営法人について
小金井なないろ保育園を運営している社会福祉法人は、社会福祉法人なないろといいます。
この法人は、そのほかにも法人などを所有しています。
問題点を整理するため、保育園名、所在地、事業開始年を整理します。
運営 |
保育園名 |
所在地 |
事業開始年 |
福) なないろ |
市川なないろ保育園 |
千葉県市川市 |
2019(平成31)年 |
小金井なないろ保育園 |
千葉県小金井市 |
2020(令和2)年 |
|
調布そらいろ保育園 |
東京都調布市 |
2021(令和3)年 |
|
布田そらいろ保育園 |
東京都調布市 |
2022(令和4)年 |
|
福) 芽ぶき |
めぶき保育園なりた |
千葉県成田市 |
2020(令和2)年 |
株) EDU |
あつぎ はないろ保育園 |
神奈川県厚木市 |
2019 (平成31)年 ? |
湘南辻堂はないろ保育園 |
神奈川県茅ヶ崎市 |
||
桜ヶ丘はないろ保育園 |
神奈川県大和市 |
||
大和はないろ保育園 |
神奈川県大和市 |
2023(令和5)年 |
|
検見川はないろ保育園 |
2023(令和5)年 |
これらを なないろグループと言っています。
ご覧の通りこの4年間で急成長を遂げています。
2.どんな問題が起きているのか
問題点としては、「施設長と保育士らとの人間関係」となっていますが、本当にそれだけなのか調べてみましょう。
①人員は足りているのか?
社会福祉法人なないろの定員を一覧にしてみます
保育園名 |
定員 |
市川なないろ保育園 |
62名 |
小金井なないろ保育園 |
73名 |
調布そらいろ保育園 |
60名 |
布田そらいろ保育園 |
80名 |
合計 |
275名 |
となっています。
これを、この法人特有の保育士の配置で割り替えしてみると、
年齢 |
法人保育士数 |
0歳 |
8名程度 |
1~2歳 |
16名程度 |
3歳 |
3名程度 |
4~5歳 |
4名程度 |
合計 |
30名程度 |
※この計算はあくまでもざっくりした計算方法です。目安だと思ってください
この社会福祉法人なないろの、2022年4月時点での職員数は25名となっています。
この段階で、もう5名足りない計算になります。
さらにここから、園長や給食担当もいたとすれば、15名近く保育士の足りない法人だといえます。
ただし、これは定員数からみた人数で実際の稼働数が少なければその限りではありません。それでも、保育士が少ないと感じる現場とはいえますが。
②この法人の給与はどうなっているのか?
2022年の法人総人件費は1億8700万円となっています。
普通に計算すると
187,000,000円 ÷ 25名 =7,480,000円
700万円越えの人だらけということになりますね(笑)
でもそんなわけはありませんよね。新卒者の総年収は350万円までとどきません。
また前述しました通り、4年で急成長した法人ですから、定期昇給を含め400万円前後の人がその大多数でしょう。そこから考えられるのは、
400万円×12名=4800万円
500万円×2名 =1500万円 リーダー級
600万円×2名 =1200万円 主任クラス
700万円×1名 =700万円 園長クラス
--------------------------------
計 8200万円
大多数の職員の給与はこんな感じになっているのではないでしょうか?
ここから考えられるのは、残りの園長・事務長さんたちの給与は2000万越えになる計算になります。
社会福祉法人で2000万円を超す給与をもらえるような人は、職員数が1000人を超すような大法人でもない限り払うことはできません。私も現実的な計算とは言えないので間違えであってほしいと思っています・・・。
さらに、これでも人件費率は61%くらいですから、かなり人件費は抑えている状態だといえます。ここに会社の急成長のカギがあるわけです。
若い保育士で構成し、人件費を抑えるというやり方はかなり昔からあるやり方ですが・・・。
ここまでの①、②から言えることは、この法人の保育士数は少なく、給与も低いのに、ここの保育士さんたちはとてもよく働いています。
3.急成長の陰に
さらに財務状況から言えば、小金井なないろ保育園はほぼ赤字に近い状態になっています。資金だけをみれば、法人全体の資金としてはほぼ足りない状態が2022年の財務諸表から見て取れます。
外部者の私からすれば、もう少し人件費を増やし、保育士確保に動かないと・・・。という状態です。
この法人を利用の園児、保護者、そして働く職員の皆さんが不安を払拭できるような状態に改善されることを祈ります。