ヌーソの皿の上

福祉とpc関係の記事です

BCP(2) BCP策定ガイドラインに対しての私見

 



 

 

社会福祉施設・事業所における新型インフルエンザ等発生時の業務継続ガイドラインBCP)策定ポイントについて私見していきます。

 

義務化について

まず、このBCPが義務化されていることに着目します。

https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/dprevent/dprevent007.html

 

BCPとは本来事業継続計画であり、一般企業においては災害発生後の再建計画を策定・訓練の実施をし、被災後からの対応に備えるものです。被災により事業の停止・中止・廃業を防ぐために作成するものだといえます。

では、今回の社会福祉施設・事業所における新型インフルエンザ等発生時の業務継続ガイドラインはどのような意味合いを持っているでしょうか?中身を読み取る限り、福祉事業所は今回のコロナをはじめ新たな新型インフルエンザによるパンデミック感染症が世界的に大流行)が起きた場合は、「その環境下でも事業を継続しなさい」っといっているように思えます。

 

福祉という公共サービスに近い毛色を持つ事業とはいえ、サービス事業に違いありませんので、本来は迅速な災害対策・再建は必要です。ですが、福祉事業は監査役の所管庁(都道府県・市町村)の指示に従わなければならないという、強い言葉で言えば手枷(かせ)・足枷がかけられています。所管庁の意向なし、勝手な行動はできないんです。

 

コロナ禍のことですが、関係者からコロナ感染者・濃厚接触者が出たと保健所と確認がとれても、事業を休んでいいのか?告知方法は?PCR検査の対応は?など、全て所管庁の指示を伺わなければなりませんでした。こちらとしては、利用者やその家族、職員の安全を最優先に対応したくても、それをまずお伺いしなければならない状況でした。

 

今後のパンデミック禍でも、各事業所・施設の裁量権は増やさず、事業の継続を強いるための義務化と思えるんです。

 

 

パンデミック発生段階

 

ガイドラインの中には、発生段階が定められています。

未発生期→海外発生期→地域未発生期→地域発生早期→地域感染期→小康期

 

この発生段階に対して業務を

A 通常時と同様に継続すべき業務

B 感染予防・感染拡大防止の観点から新たに発生する業務

C 規模・頻度を減らすことが可能な業務

D 休止・延期できる業務

と大別化し、その時期に合わせた業務の増加に対し、減らせる業務の省力化に取り組むようになっています。

 

Bはその状況に合わせるとして、CDは集団で行う行事や実習生の受け入れなどの削減をすることだということは想像ができます。

ですが、Aについてどのような対応ができるのかが、現場サイドの問題になってきますよね。

 

いかに、 地域未発生期だろうと地域感染期だろうと、コロナよりも高い死亡率の新型インフルエンザが他地域で蔓延していた場合、職員はどうなるでしょうか?コロナ禍では福祉職はワクチンを優先して摂取させてもらえましたが、私の職場ではそれでもコロナに不安を感じ、出勤そのものを控えたいという職員もいました。例えば、小さなお子さんや高齢の親御さんと同居している職員が、コロナに対して強い警戒心を持つことはごく自然なことだと思うんです。福祉現場は女性が多い中、子育て、親の介護の中心になるのも女性が多いことは事実であり、自宅のキーパーソン的存在な身である以上、出勤そのものに警戒したい気持ちになることは、一定の理解はでるはずです。

とならば、パンデミック感染症の症状次第では、蔓延するしないに関わらず安易にA業務の遂行が難しくなる恐れも持っています。A業務自体の縮小が余儀なくされる恐れも持っていないでしょうか?

そんな事態すら事業所の努力義務で、もちこたえることができるでしょうか?

 

 

OBOGの積極的活用

新型コロナウィルス感染症発生時の業務改善ガイドラインにはない文言ですが、

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000108618.pdf

P17~21

 

にはある文言です。

 

確かに緊急事態であれば、OBOGに協力を要請はしたいですよね。

ですが雇用確保措置の義務付けが、70歳までの努力義務となりました。つまり、お願いする労働力は70歳以上の方々に来ていただかなければならないということになります。

その一方でコロナの死亡患者の多くは高齢者だったとされています。

https://www.ipss.go.jp/projects/j/Choju/covid19/index.asp

 

死亡の危険性を持つ方に来ていただく、となれば利用者との直接の接触は厳しくなりますよね。かといって現役の頃の上司に、緊急事態だからといって雑用を頼むようなことにもならないのではないでしょうか?

 

人員確保のアイディアとしては評価しますが、あまりに実現が難しいと感じてしまいます。

 

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私見の最後に

 

現実的な話をすれば、10何年も前からある話ではありますが、BCPの一環で福祉事業所の中学校区クラスでの地域連合帯を作るべきではないでしょうか?高齢・保育・障がいという区別なく、緊急時用のシェルター的な事業帯を作り、人材・物資の共有ができる機構に取り組んでいくべきだと思います。