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「はりえさん、 最近また生活保護の話が 話題になっているんですよ。」 |
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「ほう。 随分前にも話題になったね。 おらも 申請しようとしたことがあるんだ。」 |
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「それは知りませんでしたよ。」 |
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「うちの父ちゃんが死んだときに、 この店をたたんで生活保護の 厄介になろうと思ったのさ。 今まで、 父ちゃんと二人三脚で やってきた店だから、 おら一人でやれる自信はなかったし、 娘たちも 手伝ってくれないよう だったからね。」 |
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「父ちゃんの容体が悪くなって、 あっち(鬼籍の意味)にいくまで、 半年くらいかかったんだ。 その間、 この店は開けなかったんだよ。 微々たる貯えも その時に使ってしまってね。」 |
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「大変だったんですね・・・。」 |
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「父ちゃんの容体が悪くならないと、 入院させてくれなかったのさ。 入退院を繰り返すうちに、 店の維持費などもかかって、 夫婦で働けなくなったら、 細々と貯金を崩して生活しようと したお金もなくなってしまったのさ。 娘たちにも 迷惑はかけたくなくってね。 役所に行ったのよ。」 |
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「でも、役所は あーだのこーだの屁理屈いって、 受けさせてくれないんだよ。」 |
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「想像するに、 貯金がそこそこ残った状態で 申請にいったんですね?」 |
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「貯金って言ったって ほんと微々たるものだよ?」 |
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「その微々たるものっていうのは、 人の感性でだいぶん違いが あるもんなんですよ。 地域差もあるんですが 持ち家をもっていたら 売却しなきゃならないですし、 仕事にもよるんですが 車ももっていたら 売却しないとなりません。 それらの売却益があれば、 そのお金を使った上でないと 申請は受理されませんね。」 |
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「でも、 どのみち収入がないのだから 生活が行き詰るのは 目に見えてるだろうさ。」 |
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「だから感性によるんですよ。 一般的な考えであれば 10万~20万円あれば ひと月分の生活費だと思いますよね? でも人によっては 100万円あっても ひと月生活できないという人もいるんです。 この感覚の差があるので、 100万円以上貯蓄が あったりしても申請はできませんね。」 |
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「ヌーソさん、 役所の人みたいなこというね。 あの時の担当の人も 似たようなこといってたわ。」 |
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「でも、 貯蓄がなくなってからの 申請では遅いと思うんだよ。 全部つかえってことかい?」 |
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「あまりいい話ではありませんが、 残りの貯金で豪遊して、 本日からお世話になります といって生活保護課に 申請に来たという人も、 世の中にはいるそうですよ。」 |
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「おかしな話だね。 おらはできるだけ人様の 世話になりたくないから 相談に行ったのに、 まるっきり人の世話に なるつもりで行く 人間の申請は通るのかい。 わしは腹立たしいよ。」 |
ヌーソ「はりえさん、サンマ食べたいですー。」
はりえ「ん。でも一匹一皿1,500円するよ。仕入れ値が高くてね。」
ヌーソ「(涙)やっぱりいいです・・・。」
「この生活保護の話が 話題になっている理由っていうのは、 有名なメンタリストさんが きっかけなんですよ。 知ってます?この人。」 |
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「かわいい顔をして、 手品をする人だろ、 おらは好きだったよ。」 |
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「手品はしない(汗)。
『生活保護の 人たちにお金を払うために 税金を納めているんじゃない』とか
『生活保護の人が 生きてても僕は 別に得しないけどさ、 猫は生きてれば得なんで』とか
『人間の命と猫の命はね、 人間の命の方が重いなんて 僕全く思ってないからね』 って言ってしまったんですよ」 |
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「命は比べるものではないね。」 | ||
「 『これだけたくさんの 本を読んでも知識を 得ても知れない無知が 招いた失態と反省した。』
という謝罪をだして 終息にいたっていますが、 どうも私は これでは解せないんですよ。」 |
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「思想、思考を 無知だからと言って、 知識では 補えないと思うんですよ。」 |
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「ヌーソさんあんたは、 少なからず 生活保護のことを知っている、 内情を知っている人なんだろう。 でもおらは、 自分が困ったときには 役所に門前払いを受けた者さ。 だから私から見たら、 生活保護というもの自体が よくわからない。」 |
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「さっきの話じゃないけど、 うまく生活保護を 受ける人もいるんだろ? おらからすれば、 問題は都合のいい人や、 悪いことを言った人とかではない、 『誰』ではないね。 おらのようなものにもわかるように 説明をする役所の仕事が たりないんじゃないかね?」 |
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「でも大々的に説明をすれば、 生活保護を安易に 受ける人が 増えてしまう恐れもあるよ。」 |
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「曖昧にすましてきたからこそ、 あんたのように怒るものもいれば、 メンタリストに賛同するものも でてくる結果を招いたのではないかい? 社会全体が それこそ都合よく生活保護を 扱ってきた結果だとおらは思うよ。」 |
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「・・・やっぱり、さんま食べます。」 |
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「ん」 |