ヌーソの皿の上

福祉とpc関係の記事です

福祉は甘い?

 

フォロワーさんが

Xで仲良くしていただいているフォロワーさんとの会話だったんですが、今のバイトが「暇」なんだそうです。

 

仕事って、昔はマクドナルド式なんて言葉がありましたよね?

時間という縦軸に対し、作業という横軸を当てはめ、その目が細かければ細かくなるほど、仕事は忙しくなるという仕組みの話です。

そのフォロワーさんは、きっと作業量が少ない状態にあるから、仕事が「暇」と感じているのかもしれませんね。

 

 

福祉は甘い

少し話はずれますが、数年前に他業種さんと話す機会があったときに、日本の福祉は「甘い」といっていたことがありました。当時は有料老人ホームの建設ラッシュ時期で、福祉業界の近況についてを上司とともに聞かれたことがありました。

当時対応した方は、建設業のみならず、飲食業の関係者さんなどもいらっしゃいましたが、みなさん同じように「甘い」とみえていたようなんですよ。

何に甘いかと言われれば、仕事や会計部門についての話がメインでした。経費管理が甘く、もっと職員の労働量を増やせば、人件費すら抑えられる。と豪語されていた方もいました。

福祉畑しか知らない私からすれば、そういうものなのかと仕事後の居酒屋で、上司に聞いたことがありました。でも考えてみたら、うちの上司も福祉業界しか知らない人でしたね。それでも、そういう他業種さんがうちの業界にくることに、ある種の危機感・緊張感を感じていた話をしたことを思い出します。

 

他業種の参入より危機感を持つべきだったものは

そこから私は、一般企業に負けないような経費の見直しに気を配り、ITPC関連)機器の利用推進を進めることに尽力してきました。でも、時代の流れから言えば、福祉業のなり手不足の問題のほうが、日本においてより強くそして顕著になっていました。

福祉が魅力的な仕事であると私は信じています。ですが、その魅力を表現すること、より楽しいものだと思ってもらえるようにしていくことのほうが、今思えば必要なことだったのだと感じています。

 

本来福祉業は、利用者さん園児さんたちと生活するところにあります。利用者さんに食事・お風呂を提供したり、園児さんたちの発育を目指すプログラムを提供したり、時には季節を感じられる催し・行事を組んでいくのが福祉施設の役割です。生活するということは、利用する人の人生の一部がそこに築かれていく場所でもあるんです。人生である以上は、苦しい場所よりも楽しく居心地の良い場所であるべきなはずです。でも、その生活を提供する側の人たちが、もし毎日苦しんでサービスを提供するような環境だったとしたら、サービスを受ける側の人たちも楽しいものになっていくでしょうか?

 

「一般的」との違い

残念な話ですが、よく見る光景に「早くしてください」「急いでください」と施設職員が口にする場面が多々あります。本当に申し訳ないんですが、私自身もそう口にしていたこともあります。職員が発してしまうこの言葉の背景には、膨大な作業量や、書類の作成、度重なる会議など、いつも忙しない状況が職員にはついて回っているのです。施設職員には、利用者さんや園児さんを急かせ、厳しい言葉を言いたいから、福祉の職を選んだ人は、恐らく一人もいないはずなのにです。

 

そして、この状況を悪化させるのは、効率化だったりもするんです。職場で仕事(作業)の早い人がいると、その人の仕事のスピードが基準になったりして、より仕事(作業)の効率化が図られます。これがより作業と時間の網目を細かくする原因になり、余計に急ぐ現状が出来上がっていくんです。

だから、「早くしてください」「急いでください」と口にしてしまいがちな人ほど、一般的な仕事はできる職員だったりもするんです。

 

 

「甘い」ほうがいい

作業の遅い人はマイペースな人と思われがちですよね。周りの空気をあえて読まず、差し迫る時間に追われることのない人だからです。ある意味、自分に「甘い」人とも言えるかもしれません。でもこの人たちは、福祉の現場では優秀な人なのだと感じているんです。なぜなら、利用者さんや園児さんを急かさないからです。

福祉の職員を昔は「寮母さん」「先生」(障がい者施設)なんて言いましたが、福祉の職員は、家族に近い存在のようで最終的に家族にはなり切れない関係です。特殊な人間関係なんです。その特殊な人間関係だからこそ、厳しい言葉は利用者さんや園児さんとの距離を遠のかせると思わないでしょうか?職員が受ける研修では、言い方に気をつけて、もっと柔らかい言葉を選べないかなどと、習うんですよ?でも急いている心までは覆い隠せない、職員が急いていることは利用者さんや園児さんたちは感じ取っている、だからこそいくらオブラートに包もうともその言葉は回避するべきなんです。

 

だから福祉の職員は自分に「甘い」ほうがいいと思うんです。自分に「甘い」人は、人にも厳しさを求めないからです。

 



福祉という仕事は、時間と作業の網目は細かくしなくていい、自分や利用者を急かせるような職員でない方がいい、つまりちょっとくらい「暇」な仕事であるべきじゃないかと思うんです。

毎日大量の作業量をこなすことが「仕事」の全てではないことを知ってほしいと思っています。