ヌーソの皿の上

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裾野市の認可保育園 虐待行為で保育士逮捕について

nu-so.hatenablog.com

 

11/29に報道されてから、この約2週間ずっとこの事件内容を注視してきました。

私がこれまで、このニュースで読んだ文字数は、3万字を越えているようです。

 

自分もブログの記事として取り上げたいと思っていながらも、とにかくこの情報量の多さから内容を精査するので先週は精一杯でした。

 

 

 

 

まずこの事件の経緯

 

2022/11/29に報道されてからこれまでの情報を整理するとこのようになります。

 

6月~7月ごろから1歳児を担当する保育士3人が、園児に、暴言を吐く、おもちゃなどを入れる倉庫に数分間閉じ込める、などの行為を複数回行っていた

 

7月 市へ悪質な行為が行われていると内部通報があり、主任保育士が1歳児のクラスを複数回、巡回したものの、確認できなかったとして詳しい調査は行われなかった

 

8月 園長も内部通報を把握

 

8月下旬 (園側の発表によると)園長が報告を受け、調査したところ事件発覚 3人を出勤停止などにするとともに、1歳児の担当から外した1名の保育士は退職

 

825日 園から市へこの問題の報告書提出

市は調査報告書を受け取った後、園や情報提供者と何度か面談したものの、9月下旬以降、2カ月にわたって具体的な行動をとらなかった

 

10月下旬 園長は保育士らに土下座し口止めをした上で、すべての職員に誓約書の提出を求めた。

      ※誓約書は個人情報保護取り扱いに関わるものであり、園側はこの事件とは関わり合いはないというも、本来は職員採用時などで取り交わす書面であり、この時期に書かせるのは明らかに不可解な行為

 

1128日 この問題の報告を担当部局から市長、副市長へ

 

1129日 事件が報道される

同日     園、保護者説明会1日目

同日    裾野市 園に事実確認を行ったうえで報告書をまとめるよう指導

 

1130日 裾野市、園が誓約書の提出を求め、隠ぺいしようとしたことを公表

同日    園、保護者説明会2日目 15の問題行為があったことを説明 その中で園長は口外するなという誓約書ではない、信じてくださいと話す

 

121日 園、保護者説明会3日目 1歳児だけでなく4歳児にもカッターを突きつけた事実が判明

 

122日 園、保護者説明会4日目 

 

124日 日曜日の保育園を家宅捜索し、暴行の疑いで保育士3人を逮捕 おおむね容疑を認める

 

125日 県・市、園に特別監査 市長 園を犯人隠ぺいの疑いで刑事告発

同日    11月末まで事案を公表しなかった、担当の健康福祉部長を更迭したうえで、担当課長とともに懲戒処分にする。市長が2カ月、副市長が1カ月分の給与を受け取らないと発表

同日    保護者から転園相談相次ぐ

同日    櫻井園長 理事長兼園長を退任すると発表

 

1268/25の報告書では記載のされていた「撮影した写真に不適切なコメントをつけてグループに配信する」という不適切行為が記載されており、16項目目の不適切行為として認められる

 

2月上旬  市は被害にあわれた園児および保護者を対象に、公認心理師による心のケアを実施予定

 

 

 

一般の方、同じような子どもを育てている方々へ

 

この問題について、私の中でも色々な考えがまとまらない部分があります。前段として、このニュースを同じように注視されていた一般の方に向け知ってほしいことがあります。

 

①この事件で一番印象に残る犯罪行為は何でしたか?

 この事件を取り扱ったニュースをまとめてきましたが、この裾野市のさくら保育園で起きた事件で一番印象に残っている虐待行為は何でしたか?

 実は取り扱うニュース側でも標題は一定していなく、「倉庫に閉じ込めた」「クリアファイルでたたいた」「逆さづりにした」「カッターで脅す」など様々なんです。逆に言うとどれも印象が薄いからだと思わないでしょうか?

 つまり、事件の問題は一つではなく、虐待行為の集積だったということです。

 そこに付随し、保育士逮捕、園長の隠ぺい疑惑、市の市長への報告義務違反、市長の園への刑事告発など起きているんです。

 

②この事件は異例だった

 市長の刑事告発、保育士逮捕まで及んだこの事件、そもそもどうしてここまで問題が大きくなったんでしょうか?逮捕された保育士や、警察、市長以上に注目すべきは、市の担当と園長の初動が遅く不適切だったことです。本来8月に起きた問題が11月まで曖昧なままで放置したのは、ほかならぬこの市の担当と園長です。行った行為そのものが許されるわけではないにしろ、この保育士たちにもっと厳しい処分を行っていれば、ここまでの大ごとで、さらには同じように保育園に子どもを預けている保護者や園児たちを不安にさせずに済んだはずなんです。この問題の波及先は、厚生労働省文部科学省が全国を調査する事態にまで及び、保育園という業態自体に疑念が抱かれるような大問題になりました。

著名な方が言う「氷山の一角」のように評されるほど、全国の保育園はこのような行為はしていなく、保育士たちは権利擁護の研修を何度も受けた上で、保育を行っております。どうかご利用の保育園を信用して頂きたいと思っています。

 

 

③逮捕が早すぎた

 

この事件のニュースを掲載した時には私も「不適切行為ではなく、虐待だ」とコメントしました。

保育士が逮捕に至った現在でもそうだと思っております。

ですが、この事件の詳細が曖昧で、行為が集積されただけでの逮捕は早すぎると思うんです。

刑法で裁くには早いと思うんです。逮捕するなとは言いません。

 

例えば「カッターで脅した」とありますが、園児の身体にカッターを突きつけたのでしょうか?それとも刃先を相手の目の前で振りかざしたのでしょうか?はたまた、1メートル以上離れたところで歯も出ていないカッターを持っていただけなんでしょうか?例えばの話ですが、これ全部犯罪になりますよね。相手が脅迫されたと感じた以上全部が該当しますよね?でもそこには大きな差があり、明白な脅迫行為かどうかは個人に委ねられてしまうんです。それでも逮捕となれば、今度は他の保育士たちが保育そのものに負担を感じると思わないでしょうか?

 

有名な先生の言葉に「園内での卑劣な行為など許す必要はない。見かけたら恐れず告発してほしい。その勇気が沢山の子どもを救う」とありましたが、私にはどうやっても理解のできない、強く反発したい発言でした。もし保育が犯罪として対応できることを賞賛し、これが常習化したらどうなると思うでしょうか?保育には、刑法の専門家を交えないと、保育が行えないような事態になりかねないんです。

もし保育士がハサミ一つを持っているときでも、園児が脅迫されたと思ったらすぐ告発すればいいというのでしょうか?保護者向けの発言だったにしろ、有名人である以上なんでも言えばいいってものじゃないですし、全てごちゃまぜにした発言をするものではありません。あまりに見識の低い人物だと軽蔑すらしています。

 

どこに境界線をもちどこからが犯罪で、どこからが一般的な保育かを明確することが大至急の課題だと思わないでしょうか?

保育士という仕事は、保育をしているだけで、犯罪者になる可能性のある業種などになったとしたら、誰が保育士になりたいですか?何をもって犯罪になりうる保育をしていると思うんですか?エビデンス(根拠)はどこに持てばいいでしょうか?

この曖昧な部分がそのままで、逮捕となったことが私には早すぎる対応だと感じるのです。せめて任意の事情聴取、市や県の特別監査を経てからが順序だったのではないでしょうか?

 

 

福祉従事者の方へ向けて

 

情けないです。ただただ情けないです。

昨今の様々な業種の虐待行為を総じて、我々福祉従事者の浮世離れした認識、時代遅れの固定概念、繰り返しの注意に耳を傾けない危機管理のなさ。このような事件が起きても、ただ「もう保育なんてやってられない」くらいにしか思わず、対岸の火事のような扱いをしていませんか?自分たちがしている行為に眼を向けているんでしょうか?

 

私は福祉の職に就き、福祉の職に誇りを持っています。そして一緒に働く仲間・同僚、大きく見れば同業者である福祉関係者が職を全うしていること全てに誇りを持っています。

だからこそ仲間が逮捕される事態に、情けないという言葉以上に表現方法が見つかりません。

 

今更人権擁護の話なんて必要ないでしょ?それくらい研修をくどいほど受けてきましたよね?

なのに、どうしてこの保育士たちはわが身を振り返られなかったのでしょうか?

 

これからは、保育という村で考えるのではなく、親せきの介護分野や障がい者分野の職種業態を交え、もっと自分たちの行為を牽制し、指摘しあえるような組織が必要なのではないでしょうか?

保育の村だけで話し、結局は保育の中だけで解決しようとしてきた結果が、このような問題を引き起こしたのだと思うんです。この事件の保育士たちは、「しつけ」という名の元、ただただ時代錯誤だと感じるばかりです。

保育士同士で牽制出来ていない事態、この園としての機能も低いとしか言いようがありません。

 

「牽制する」というのは、揶揄するのではなく指摘することであり、そのことで仲間を救い出す行為までを指しているつもりです。

福祉なんですから、仲間同士を時には牽制しあうべきではないでしょうか?

日本の福祉の発展を強く望みます。