"受刑者が暮らす部屋の入り口に「軟」「副食きざみ」「湯」などの札があったことだ。
聞けば「軟」は軟らかい食事のことで、歯が悪く、硬い食べ物が食べられない高齢者には、軟らかいお粥などを用意しているという。「副食きざみ」は、刻み食のおかずのこと。おかずを細かくみじん切りにして食べやすくしている。「湯」は湯たんぽのことで、寒さを訴える高齢の受刑者には湯たんぽを用意しているとのことだった。"
刑務所の中と言えども、やっていることは介護施設と変わりないですよね。
そして
”高齢受刑者の割合は増え、刑務所の福祉施設化はますます進んでいるということだった。”
”男女あわせた65歳以上高齢者の割合は約13%”
とありました。
刑務所が社会の縮図だとすれば当然の推移であり、これからも受刑者の高齢化は進みそうですね。
私の感想としては、性質として正反対のものが2つあります。
まず一つ目としては、日本社会の介護施設の状況です。
都市部はさておき、地方の特養は全フロアーが稼働しておらず、社協の手が回らず訪問介護事業そのものがない地域もあります。
いわば刑務所の中より、介護を受けられない状況が地域格差として存在しています。
介護保険料などを支払わずに、適切な調理のされた食事と介護を受けられる、地方よりも良い生活ができている問題です。
文中にもあるように、認知症になれば刑罰そのものの理解のない受刑者もおり
「刑務所で服役させる意味はあるのだろうか」
と考えてしまいますね。
認知症になり介護を受けるなら、地方にいるより刑務所のほうが手厚い状況、と言わざるを得ないのではないでしょうか?
その一方で、全く逆のことも考えてしまいます。
日本にいると差をあまり感じませんが、高度医療といえば本来は富裕層が受ける限定的なものですよね。でも、考えてほしいのは「高度介護」とはいわないし、「高度福祉」とは言いませんよね。
刑務所の中で高度医療や最新医療を受けるようなことはないと思いますが、介護や福祉に関しては人として受けるサービスの根幹だと思うのです。
いかに罪を犯したものでも、刻み食をだしてもらい、トイレの介助くらいはしてもらってもいいのではないか・・・とも思ってしまいます。
私の中で、この2つの感想のうち、どちらが強いかと言えば後者なんです。私は福祉従事者ですから、介護をする側の人間です。介護する側の人間は、介護の知識はあれど、罪や罰に関する知識はありません。と思うと、刑務所の中で起きている問題は、やはりその関係者の方や、法律家の方々に方向性を委ねるしかないように思えます。