「・・・、『プライド(自尊心)を持つことが、アイデンティティだ』なんて言われていたこともあるんですけどね。」
「ああ、そんな風にいったこともあるか。」
「今になると、自尊心が高すぎるのも困りものですよね。自尊心がありすぎると、攻撃的で人を見下しているようになったりして」
「勝ち負けにばかりこだわったりね。」
「あいつはそうなって仕方がない、自分より不幸になっていいんだ。なんて思うような感情が社会全体を覆ってしまうと、福祉とかけ離れた世界になってしまうんですよ。」
「そんなに大それた話かい。」
「人って、自分より不幸や悲しみ、失敗をしている人を見て、安心したり喜んだりするものなんですよ。」
「そういうもんかい。」
「日本の歴史でも習いませんでしたか?江戸時代の身分制度なんかもそのいい例なんですよ。」
「身分制度の話は聞いたことはあるね、武器を持った武士の次が農民で、その農民の地位が高いんだろ?」
「そうです、それでいて目が見えない人を『前世で食べ物を粗末にしたから目が潰れた』など説明していたそうです。そしてその人たちの身分は低く扱われていましたよね」
「なんにも関係ないものを無理やり関係づけてたわけだ。そう戒めていたってことか?」
「そして『ああはなりたくないだろ?』と言わんばかりなんですよ。」
「それがどうして、自尊心になるんだい?」
「人って、いつも自尊心を高くは持ち続けられないから、そのように迫害する的を必要としてしまうんですよ。」
「そうかね?そんなことをいったらプライド(自尊心)の高い人って結構いないかい?」
「ああ、ホリ〇モンさんや、『それはあなたの感想ですよね?』などという論破王の方々ですか?」
「その人たち、おらは苦手なんだよ。自分の中で全部完結してしまっていて。」
「そういう意味では、はりえさんと真逆な人かもしれませんね?そういえばはりえさんから、そもそも自尊心というものは感じられないかも(笑)」
「人のことを気にしないね。自分は自分と思っているよ。」
「はりえさんと比較すると、ホリ〇モンさんって、人から何か言われるととても嫌がりますよね?むきになるというのか」
「なにか言われようものなら、すごい理詰めで反論されそうだ(笑) 自分の中の答えが、揺るぎないものなんだろうね?」
「ホリ〇モンもはりえさんも同じく、自分の中に答えのある人なのに、こんなに差ができてしまいますよね。」
「人に興味がない方が、争わなくていいんですかね?」
「おら、小さい頃貧乏だったから、人のことがいつもうらやましかったよ。そのことが気になり過ぎていたから、逆に気にしないよう、人にも気にしないようにしてきたね。」
「性別も要因なのかもしれませんよね。男の人って社会への期待値が高すぎるんじゃないですかね」
「社会?社会ってだれなんだい?」
「誰?誰なんでしょうね?テレビをつければ、野球の大谷翔平選手や将棋の藤井聡太名人の話は連日やっていますよね。例えばこの人たちのように認められれば自尊心につながるんじゃないですか?」
「人数ってことかい?」
「人数に限らず、例えば大谷選手や藤井名人に褒められたりリスペクトを受けたら、承認欲求が満たされるのでは?」
「おらは満たされないね。野球も将棋も興味ないからね。」
「(笑)そういう意味では、はりえさんはやっぱり人にも興味ないですよね。人数にも。」
「きっと、ホリ〇モンさんや論破王さんは、常に強い承認欲求をお持ちなんでしょうね・・・。」
「その承認欲求が満たされると、人はどうなるというの?」
「うーん、承認欲求が満たされないと自尊心(プライド)が下がって、迫害の的を探し出し、攻撃したくなる。承認欲求が満たされ自尊心が強まると、人を見下し、他人の意見を組み入れられなくなる。ほら、やっぱり厄介なものだと思いませんか?」
「一概には言えないけど、そういう面はあるかもね。」
「ふと思うと、私は誰に見てもらいたいんでしょうかね?
人数?
世界的有名な大谷選手?
最年少でタイトルを総なめにする藤井聡太名人?
実業家で成功しているホリ〇モンさん?
論理の鬼、論破王?
日本の一番偉い、岸田総理?
どれも違うとは思いますが、この誰かに認められたら、私も強い自尊心を持ってしまうかも」
「弱いねー(笑)」
「そうだとは言い切ってはいませんよ(笑)」
「ただ、この話をしたかったのは、施設にいる父のことがあるんです。」
「父は、施設に入り、妻(私の母)を亡くし、とても気弱になっているんです。そこへ、加齢にともなうというか、何となくの認知症?MCI状態になってきました。」
「私が、日時、話のつじつまを直そうものなら、とても意地を張ります。そして、私に電話をかけてくれば、自分がいかにしっかりしているかアピールをしてくるんです。」
「さびしいんだろうさ、お父さん。」
「それも頻繁なんですよ、電話の回数が。」
「若い頃を知っているから思うんですが、父はとても強い自尊心の持ち主でした。職場でも認められ、社会的地位もある人だったので、その反動が今になってきているのだろうな~と感じるんですよ。」
「自分はしっかりしていると思われたいのも、自尊心というわけかい?」
「父の承認欲求の的は私なんでしょうね。私が認め、尊敬すればいいんでしょうか?」
「そうかね?ただ心配させたくないだけかもよ?」