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ニュース特集 訪問介護「移動、待機時間の無給おかしい」の訴え認めず

訪問介護「移動、待機時間の無給おかしい」の訴え認めず 東京地裁 介護報酬の不十分さ素通り 11/2

www.tokyo-np.co.jp

訪問介護を担う大半の非正規の登録ヘルパーはサービスを提供した時間しか賃金が支払われず、利用者宅を回る移動や待機時間はほぼ無給。利用者側のキャンセルによる休業手当も出ない。こうした労働基準法違反の状態を放置し、規制する権限を行使しなかったのは違法だとして、原告1人に未払い賃金を含め330万円を支払うよう求めていた。

中略

「移動や待機時間は介護報酬に含まれていると国はかたくなだが、何時間含まれているかは全く言わない」と厚労省を批判

 

このニュース、ちょっとわかりにくくなかったでしょうか?

 

普通に考えれば、出張などの時には移動時間・待機時間は、勤務時間になるわけです。

訴えの内容を正確には調べ切れていませんが、それらが勤務時間にならないということは、パートタイマー職が訴えを起こしている裁判だと想像できます。

 

訪問介護のパートタイマーの場合、勤務時間だけ時給が発生する仕組みにすれば、事業所は人件費を抑えられ、雇われる側も時間に縛られることなく、必要最低限の時間だけ働けばいいという利点があるわけです。

 

現地で必要な時間だけ働く仕組みにしたのに、なぜ訴えを起こしているか。

 

2008年と古いデータしか見つけられませんでしたが、訪問介護のパートタイマー職率は全体の60%を超えています。

引用元:厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/04/dl/s0418-3i.pdf

 

それに対して、訪問介護の非正規職員の時給は1,660円と、一般的なパートタイマー職の中でも金額は高くあります。

訪問介護 平均時給 - Google 検索

 

なら問題ないように思えますが、1か所の訪問介護の時給が1,660円なだけで、2か所・3か所こなさなければならなくのは必然ですよね?1か所2時間(2時間はまれです)労働したとして、3,320円では日給としては少ないわけです(全職パートタイマー平均日給3,880円)

2か所やるとなれば、利用者と利用者の家の移動があり、そこには待機時間が発生するわけです。さらにガソリン代などの交通費も本人負担だった場合、それらを含めて実労時給1,660円は高いとは言えなくなってくるというのが、今回の裁判のポイントなわけです。

 

前述で出張の話を例にあげましたが、管理者が管理できない場だけで仕事をする場合は、移動時間・待機時間も場合によっては就労時間とみなされない場合もあります。

 

つまりこの訴えは非常に難しく、訴えの棄却もおおよそ妥当な結果でもあるわけです。

 

それでも、厚生労働省を巻き込んだ訴えにしていますから、まだまだ審議しなければならない課題もまだまだ出てくると思っています。