居酒屋けんざん（４）福祉業界の訴訟について

	「ぬーそさん よく来るね。」
	「生活費切り詰めて ここにきてます。」
	「急に来たところを見ると、 なにか緊急事態かい？」
	「福祉関係で また注目を浴びている ニュースがあるんです。」
	「総理大臣がかわるらしいよね、 だいたいなんで私らは総理大臣を 選べないんだい？」
	「はりえさん 話違いますよー、 今年の6月にデイサービスを 利用していた女性が、 コロナに感染し亡くなられたんです。 それに対して遺族が 計２７５０万円の損害賠償を求め 裁判を起こしているそうです。」

詳しくはこちらをご覧ください。

nu-so.hatenablog.com

	「デイサービスで 感染した ってことかい？」
	「感染経路は不明 としながら、 コロナ感染者が送迎車に 同乗して いたらしいです。」
	「ならPCR検査が 受けられなかったの？」
	「PCR検査はあくまで 保健所の指導で 実施する ものですから、 民間のキットを デイサービス側が 実費で購入でも しない限り、 デイサービスで 常時PCR検査は 受けられるものでは ないですね。」
	「同乗していたんだろ、 どうにか ならんかったのかね。」
	「この訴訟に対して、 ネット上では あまり好意的な意見は 出ていないん ですよね。」

「福祉業界と訴訟の話をすると、2007年のＪＲ東海の話が有名なんです。

　当時91歳の男性が、認知症により徘徊し、列車にはねられ死亡した事件がありました。

　これに対して、JRは720万円の損害賠償を請求したんです。列車をとめ遅延などの輸送障害が生じた場合、本人が死亡していても、遺族に損害賠償を請求することはよくあることで、この手の損害賠償請求の裁判は、100:0で請求したJRが勝訴するといわれていました。

　この裁判も、最高裁まで争われましたが、認知症や介護の実態を知らない判決だとの

　世論の声も大きくなり、判決は逆転勝訴したんです。」

	「そのニュースなら 聞いたことあるね」
	「司法の判決はいつも 一定していて、安全の確保の ためなら拘束してでも 止めるべきだったと いうそうです。 　福祉施設の身体拘束は、 虐待行為に当たると いわれているのに、 この部分は乖離しているな と感じますよ。」
	「一般市民との見解との 差を埋めるため、 裁判員制度も 導入されましたが、 司法制度改革により 訴訟ビジネスに 拍車がかかったとも いわれているんです。 『訴えれば、請求額の 10分の1は取れる』と いう人も いるそうですよ。」
	「お金目当ての 訴訟ってことだね」
	「司法は福祉業界に 100%の安全を 求めているんです。 リスクはゼロだ ということで、 『ゼロリスク』という 　言葉があります。」
	「それを求めては だめなのかい？」

「2013年に老人ホームで、入居者がドーナッツを食べ亡くなった事件がありました。争われたのは誤嚥や肺炎のリスクのある利用者に対し、窒息の恐れのあるドーナッツを提供したことでした。この判決結果は施設側が勝訴はしますが、この問題もゼロリスクで考えてしまうと、経口摂取しなければいいのかということに行きついてしまうんです。

胃に穴をあけて、直接栄養を流し込む「胃ろう」という施術がありますが、食べる喜びまで奪い、安全を確保することが、果たして人間としての幸せなのかどうかまで問われる問題になっています。」

	「福祉業界の訴訟は、 このゼロリスクベースで 話が進められることに 憤りを感じてしまうんです。 今回のデイサービスで コロナ感染の話も、 100%コロナ感染を封じた上で、 サービス運営はまだまだ先の 話だろうと思ってしまうからこそ、 余計に反対意見が 多いんでしょうね。」
	「ヌーソさんが 言いたいことは よくわかったよ。 　コロナの話を 聞いたときは、 訴訟ビジネスっていうのか、 お金目当てな話なんだろうなと、 どうも聞いていても 気分のよくない話だと思ったよ。」
	「ただ、ほかの裁判の話や その判決の結果など 聞いてもなお、 自分が遺族側なら 言ってしまう、 訴訟すると思うんだ。」
	「それが、相手に非がなくても？」
	「非がある、 ないではないんだよ。 家族を亡くした 怒りなんだよ。 怒りの矛先の向きやら なんとかいわれようと、 なら、怒るなと 言われているように 聞こえるのさ。 金なんかの話じゃないよ。 だから私は、 コロナ感染して亡くなった デイサービスの訴訟の話に、 反対意見が多いことに うなずけないね。」
	「私は、司法に詳しい 人間ではないですが、 このコロナ感染で 死亡した話も、 利用していた サービスが「デイサービス」 ということには疑問点がありますね。 　入所サービス中ならまだしも、 国が緊急事態を 繰り返している最中、 どこまで通所介護事業 というサービスが必要だったか、 事業者側が事業を行う 判断基準はどこに あったかについて、 基準を定める国を 含め明らかになるべきだ とも思います。さらに、 訴訟ビジネスなどの話を しましたが、損害賠償額が 2000万という金額、 訴訟の相場（？）からいっても 決して不適切な金額 とはいえないんですよね ・・・。 難しい問題かと思います」
	「しかたがない、 おらが総理大臣になるか」
	「国が崩壊します」