「はりえさん、お店の中模様替えしたんですね」
「気分転換さ。毎日同じところにいから、模様替えするといい気分転換になるんだよ。」
「あー、なるほど」
「そろそろ今日の話をさせてください。はりえさんは大阪万博についてはどのような印象がありますか?」
「名前しかしらん。おら万博というの行ったことないんだ。だいたい万博ってなんなんだ?」
「万博ですか?いろいろな知識や先端技術を紹介するところといえばいいですかね~?」
「はぁ、おらには関係のないところだな。」
「問題になっているのは知っています?」
「それは何となく知ってるよ。参加する国が減っただか、イベント会場が作れないだとかはニュースでやってたね。」
「そうですそうです、この物価高騰の折、建築コストも高騰しているなどが問題になっているんですよ。このように、万博などの国を挙げての大きな催し物って、福祉の世界にも影響があるんです。それが今回の題名のショックドクトリンなんです。」
「また知らない名前だね。万博とショックドクトリンで福祉とどう関係があるっていうの?」
「あー、混乱してる(涙)、ショックドクトリンって『惨事便乗型資本主義』のことなんですよ。本来は国家の破壊や崩壊、自然災害といった「惨事」に便乗して儲けまくる『災害資本主義』なんて言われています。」
「東京オリンピックや万博は、災害ではないんですが、開催するにあたり『便乗』していろんなことが決まったり、それで儲けたりする人もいたわけです。」
「あー、東京オリンピックでずいぶん悪いことして捕まったようだもんね。」
「そうなんです、その東京オリンピックって、福祉施設にも影響があったのをご存じでしたか?」
「東京で開催されたんだから、東京の福祉施設がってことかい?」
「いえいえ、全国の福祉施設ですよ」
例えば、
全国の福祉施設の建物および敷地内は全面禁煙になりました。
「健康増進法の一部を改正する法律」が成立して、2020(令和2)年4月1日に法律が全面施行されたんですが、2020年というのは東京オリンピック2020が開催予定の年だった(実際の開催はコロナの関係で2021年に開催)ので、オリンピックに合わせて施行されたというわけです。
https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/business/restaurant/type_3.php
「それはいいことだね。おらたばこが嫌いなんだ。だから、うちはもともと禁煙の店だったんだけど~~」
「こちらの話続けますよー。いいことばかりでもないんですよ。」
HACCP 導入がすすみました。
「中小規模調理施設における衛生管理の徹底について」が通知され、それに伴い国際基準の衛生管理法HACCPに日本も準じようとしたわけです。
「へー、それの何が悪いっていうんだい?うちみたいな小さなお店はHACCPなんて~~」
「わー、話が脱線するー」
HACCPはいいことばかりではないんですよ。
この記事でも書きましたが、保育園の場合
“検食(検査用保存食)は、50g程度保存できない乾物等も1食分の保存を求めている(園児の乾物の1食分は 0.1~5g程度)など、現場の実態に即していない状況もあります。”
という影響があるんです。
これは何を意味するかというと、保育園は子どもの成長に合わせた食事提供をするため、乳児食や中期食など段階を踏んだ食事を用意します。同じ成長時期の子どもが複数人いればいいですが、場合によっては1~2人しか作らない食事に対して、摂食する10倍以上の検査用保存食を残さなければならないというわけです。
問題は成長段階だけでなく、アレルギー対応もありますから、小麦除去の子、小麦と大豆製品除去の子など、かなり細かい対応を求められるため、検査保存食を膨大に用意する必要が出てくるんです。
「あーそれは大変かもね。」
「そうなんです、推奨するだけで実際に掛かる費用などに対して補助金があるわけでもないので、各保育園など福祉施設の負担が強い衛生管理法ということなんです。」
「なんでこんなことになるんだかね?オリンピックと全然関係のないところで影響が出るなんて。」
「そのことは私もぼんやり考えたんです・・・。」
「日本の首相や偉い人たちって、マネージャーというより、リーダーなんですよね。」
「ケアマネジャーの成り手不足も問題になっていますが、日本人ってマネージャーという実際に何もしない人って嫌いなんですよね。」
「ああ、口だけ出すんじゃなくて手も出せと思うね。」
「今の岸田政権(収録時2023.11)の場合、岸田さんの経済対策などが的外れだとか、外交能力が足りないなどと悪く言われますが、日本の一番偉い人なのに、全部を首相自ら率先してやらないとならない印象がありませんか?」
「えらいんだから全部やれると思うね。」
「この考え方って昔からあるようで、織田信長の頃も桶狭間の戦いでこんな逸話あるそうです。」
桶狭間の戦い前夜、信長家臣団は戦に前向きではなく渋る家臣が多かったらしく、たった5人の配下を引き連れ、信長が率先して出陣したそうです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%B6%E7%8B%AD%E9%96%93%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84
「あー、偉い人自ら率先して出て行った(出撃)んだね?日本らしいといえば、日本らしいか。」
「あんまりほかの国の偉人では聞かない話ですよね。」
「それくらい日本人は率先し、引っ張ってくれるようなリーダータイプが長に置かれるわけです。でもリーダーというのはやっぱり役柄であって、そういう構成要素なんですよね。自ら手を下さなければならない分、その方向性や手法次第ではメンバーからクレームが出てしまう。そうなると決断が鈍くなり、決めごとがなかなか進まなくなるんですよ。」
「ああ、国会も偉い人(首相のことでしょう)の支持率が低いと進まないものね。」
「まわりがリーダーシップを当てにばかりにするから、リーダーシップが取れない人にはパッシングが強いんですよね。そんな積算していく状態を打開できる方法が、ショックドクトリンなんでしょうね。惨事・有事だからここぞとばかり、リーダーはあれもこれも物事を決めて行ってしまうんです。そうすると、『有事』だと急かされるために牽制したもののとらえ方ができなくなるんですよ。」
「結局、東京オリンピックや大阪万博のように、開催することとほとんど関係のないところにまで物事が派生してしまうんだと思うんです。」
「なんだかややこしい。」
「あー、やっぱり(涙) とにかく、リーダーシップのとれる人にばかり頼らずに、マネジメント能力(活動推進能力)やプロデュース能力(考察・創作・指揮)のある人に長になってもらうよう、その他大勢である私たちの見識も広める必要があると思います。」
「ところで、最近メニューも変わって、好物だったお惣菜メニューが減ったようですが?」
「ああ、模様替えしたから、メニューも見直したのさ。ショックドクトリンだよ」
「ええ~~」