ヌーソの皿の上

福祉とpc関係の記事です

居酒屋けんざん(12) 津久井やまゆり園事件



 

「はりえさん、津久井やまゆり園事件(2016.7.26)って覚えています?」

 

「覚えてるよ、悲惨な事件だったよね。」

 

「その事件の容疑者である植松聖死刑囚(32)側が横浜地裁へ再審請求したことが、話題になっているのはご存じですか?」

news.yahoo.co.jp

 

「事件は知っているけど、話題になったのは知らないね。まだ判決が決まらないのかい?」

 

「裁判って時間がかかるものですからね・・・。」

 

「おらの姉も、障がい者なんだよ。いいばあちゃんになって今も生きてるけどさ、どうも他人事には思えない話だと思って聞いていたよ。」

 

「そうだったんですか・・・。植松死刑因の行動・考え方に一部賛同する方もいるそうですからね。」

 

「テレビで、『人を殺してはいけないと法律には書いていない』ってやってたわ。」

 

「私にそんな話されても・・・。法律の専門家ではないのでよくわかりませんが、殺すことも容認していないと思いますよ?正当防衛の時もあるからじゃないですか?正確に書かないのは。極端な判断を避けるためなんでしょうね。」

 

「でも、『生きるに値しない生命はあるのか』という問題を突きつけられた事件でもありましたよね。」

 

「おらは、姉のことが今も好きだし、姉がこんな風に殺されればその犯人を殺してやりたい・・・、いや殺すだろうね・・・。でも、小さい頃から今に至るまでも、私は姉に一番厳しい家族なんじゃないかと思ってるよ。」

 

「小さい頃から姉は、親戚の中でも特別視されていてね。本人ができることなのに、物を運ばせない、歩くときに無駄に手を貸すなど、おらからすれば過保護に関わる親戚がいてね。親戚からすれば何もしない妹さんとして、おらは映っているんじゃないかな。」

 

「ご本人さんは自分で何でもできるんですね?」

 

「そりゃ危なっかしく映るかもしれないけど、おらから見れば手を貸すほどじゃないと思ってるよ。現に一緒には暮らしていないし。その特別視がいやだったんだよ。姉個人には恨みも何もない」

 

「私には、兄妹がいないので、姉の存在ってどんなものか全然わかりませんね。でも、はりえさんが、お姉さんのことを好きだということは伝わってきますよ。」

 

「そりゃそうさ、おらの大事な姉だよ。LINEのやり取りが長くていやになることはあるけど。」

 

「私が福祉の業界に入るか入らないかの頃に『あなたは私の手になれますか―心地よいケアを受けるために』という小山内美智子さんの本が話題になったんですよ。ケアをする身としては、必読書とされたくらいの本でした。その本のことを思い出していたんですが、はりえさんはご存じですか?」

 

「当時話題だったね。姉の友達や職場仲間でも、絶賛していたと聞いているよ。でもおらは、その本のタイトルがどうも好きじゃなかったんだ。」

 

「どうして、そこまで偉そうな言い方になるのかと。『すみません、やってください』と、へりくだれと言ってるわけじゃないけど、横柄なものの言い方に聞こえてね。」

 

「当時そんなこと言ったら、大パッシングだったでしょうね。でもそれだけ、お姉さんと生まれたときから向き合っていた、はりえさんだから言える言葉なのかもしれませんね。」

 

「私のような福祉に関わる者は、障がい者の社会生活で生じる『障害』は、社会が責任をもって対応するものだと教わるので、到底そのような考えには及びませんよ。」

 

「その本が売り出された頃は、まだ障害者総合支援法などが成立する前の時代で、地方の人里離れたところの大きな施設で障がい者は生活をしていましたよね。人が多く住む地域で、グループホームという小人数が集まって共同生活する仕組みが、クローズアップされ始めた頃でもあるんですよ。」

 

「大体、地域ってなんなの?」

 

「え?コミュニティという共同体というか、社会共同体のことでして・・・。」

 

「わかりにくいね。」

 

「とにかく、一般的な人と共に生活することが、障がい者の大きな目標だった時代なんですよ。」

 

「となれば、この事件の被害者になった人たちは、施設に入っていたんだから、障がい者でも障がいの重い人たちだったということかい?」

 

「そうですね、そういうことになりますね。」

 

「私も覚えているよ、昔は姉の友達などを施設に預けたままの親のことを『子どもの預けっぱなし』なんて言われたことがあるんだよ。」

 

「施設に預けっぱなしでもダメということなんですか?施設にいることが絶対の幸せだとはいえませんが、親元にいることが幸せだともいえないのでは?親と施設でその子(障がい者)を押し付けあってるようにも聞こえますね。本人の意志がないようにも映りますよね。」

 

「本人が選べて、決められるといいんだけどね。その意思が上手く表せない子もいるんだよね。なんだかこんな話をしていると、この死刑因の人と同じことを考えているみたいでいやになるね。」

 

「この人間社会って、色々成長はしていると思いますが、まだまだ機能不全だと思うんですよね。もっとみんなが幸せになれる仕組みが生み出されていくと思っています。」

 

 

「さっきの話じゃないけど、命や人の生活はそんなに極端に決めなくてもいいと思うんだよ、おらも。」

ニュース特集 ~2022.5.7 男子児童を抱擁 キス… 女性職員免職処分

男子児童を抱擁 キス… 女性職員免職処分に 静岡県児童福祉施設で 4/28

newsdig.tbs.co.jp

 

福祉関連のニュースは毎日見るようにしていますが、女性職員が免職処分した話が取り上げられたのを見るのは初めてだと思います。
これまで、福祉施設で女性職員が抱擁・キスをするようなことが全くなかったとも、免職処分を受けるようなこともなかったとも思いません。でもそれが今まで取り上げられなかったことに疑問視していました。

 

以前にこのような記事を書いています。

nu-so.hatenablog.com

 

男性保育士がこのような問題を起こしたときには、Yahooのコメントや、Twitterでのツィートも盛り上がっていたように感じます。でも今回の事件では、Yahooはニュースは早々に取り下げられています。

 

一番の問題は性別ではなく、福祉職員のモラルの問題です。男性だろうと女性だろうと間違えた行動は取り上げられるべきであり、同じように取り扱われてほしいと思っています。

保育・福祉全般ニュース 2022.4.29~5.5

1週間の中で気になったものを魚拓系ニュースにしているページです。

すぐにリンクは切れると思いますが、日付をさかのぼったりするのに使っていただければ。

 

 

保育園の夜間保育、親と子どもの目線から見たデメリットとは? 4/28

https://kidsline.me/magazine/ikuji/815#3

 

保育士が働きやすい環境に 保育園長の中島章裕さん、藍綬褒章 愛知 4/28

https://www.asahi.com/articles/ASQ4W7DD3Q4VOIPE00K.html

 

男子児童を抱擁 キス 女性職員免職処分に 静岡県児童福祉施設 4/28

https://news.yahoo.co.jp/articles/727249bda42de86096b521e4e52e2a07aac36095

 

保育施設の5割超が運営維持に懸念、人口減少の影響で厚労省調査 5/2

https://www.yomiuri.co.jp/national/20220502-OYT1T50103/

 

保育所「オムツ持ち帰り」ルールが物議 小児科医は「感染症広げるリスクある」と指摘 見直す自治体も 5/2

https://news.yahoo.co.jp/articles/137c16fcda3029a090eb0192661d0a0875cb6281

 

(社説)ケアを担う子 早期把握と支援強化を 5/5

https://www.asahi.com/articles/DA3S15285566.html

 

子どものための支出「GDP3%超は必要」 現在はフランスの半分しかなく 東大・山口教授に聞く 5/5

https://www.tokyo-np.co.jp/article/175496

 

 

介護系ニュース 2022.4.27~5.4

1週間の中で気になったものを魚拓系ニュースにしているページです。

すぐにリンクは切れると思いますが、日付をさかのぼったりするのに使っていただければ。

 

 

介護保険料はいつまで払う? 退職後の措置や支払わないデメリットまで紹介 4/30

https://news.yahoo.co.jp/articles/404994cc116f71a237809c90917bed2c96bb2ee9

 

「死ぬかい?」「いいよ」老老介護の末に 「本当は2人で逝く予定だった…」夫のその後5/1

https://news.yahoo.co.jp/articles/29fbdb2e895059f97cc66036440ed90ac47b9a2e

 

 

軽度要介護者の介護保険はずし。利用者負担の原則2割化。財務省が繰り返し提案する介護保険改革案 5/1

https://news.yahoo.co.jp/byline/miyashitakumiko/20220501-00293355

 

2025年問題って?…団塊世代75歳以上になり、医療・介護費膨らむ 5/2

https://news.yahoo.co.jp/articles/72e7824e1cfa4a103894fffee38d111cd6fcedba

 

 

スカンク部長の会議室(9) 介護保険外サービス

「結局福祉事業というのは、社会的弱者の方々をサポートすることが本業であって、そこに優劣など存在しないじゃないですか。なので、どのサービスの利鞘が多いか等の話には到底ならないんですよ。」

「ビジネスの基本に関わる話じゃないの?人件費率50%を越えるような事業が、利益をあげその利益分を事業に再投資できる?建物と一緒でしょ?減価償却費の積立も出来ていない建物が、補修修繕もせずにたってられる?資産価値も下げずに。」

 

「(むむ、わかったふりして・・)建物は立地条件と場所代にも依るじゃないですか、家屋の価格は下がっても土地価格が上昇すると見越した場合、無駄に積立てないという考え方もあるでしょ。」

 

「揚げ足取る気?土地価格上昇で撤退まで考えて、福祉事業を展開するつもりなの?それこそ福祉事業を何だと思ってるのよ。」

 

「(ぬぬぬ)部長が福祉やらビジネスやら建物を一緒にするからでしょ。建物だけで福祉ビジネスの縮図のようなことでまとめるからですよ。」

 

「ヌーソの言い方をまねて言ったのよ。ずっと言いたかったのよ、その言い方が癪にさわるって。やっとわかったでしょ。」

「もう怒りました。早退させていただきます。」

「理由なく上司の許可がない早退は欠勤扱いよ、それでいいの?」

「それくらいわかってますよ。それより20224月からパワハラ防止法が中小企業でも施行されましたよ。」

「労働局からパンフきてますー。」

 

 

もう

もー

 

 

この話のちょっと前

「前回の続きですが、社会福祉法人NPO法人・一般社団法人、どの団体でも、大きく収益はあげることはできないんですよ。そもそもどのサービスにも報酬単価には上限があるからです。」

 

「団体で報酬単価の上限に変わりはないってことよね?」

 

「そうなんです、報酬単価が一番の問題なんですよ。報酬単価は医療で2年に一度、介護保険3年に一度見直しが行われ、加算の在り方なども大きく変わる場合があります。保育や障害者総合支援法は大きな単価の変化はないにしろ、近年、単価そのものが大きく上昇するようなことはありません。」

 

「それくらいはわかってたわよ。それほど事業を左右するものなの?」

 

「確かに事業撤退に追い込まれる程の単価改正はありませんでしたが、介護保険導入時、大きな拡大した居宅サービスなどは、2006年以降の単価改正後、現在に至るまでには大きな事業の拡大はされていないんですよ。」

 

 

        2000(H12)年     2005(H17)年      2016(H28)

訪問介護      11,475人   24,795(216%)    33,477(291%)

訪問看護      4,693人    5,417(115%)     8,839(188%)

通所介護      7,133人    17,245(241%)     23,017(322%)

通所リハ      4,594人    6,238(135%)     8,100(171%)

 

要介護者数     256万人     409万人(159%)    610万人(238%)

 

 

 

 

「報酬単価には限界がある、事業を拡大をするには定員を増やすしかない。定員を増やすには職員の採用も必要になる。純利益を増やすにはどこまでも比例的に大規模にするしかない仕組みなのよね。」

 

「その通りなんです。どうしても報酬単価の中だけで、利鞘を増やせる仕組みにはなっていないんです。

 

「ならどうすればいいの?福祉の在り方も地域差がある、職員の給料確保の補助金はあっても、定員が100%近くの利用がないで処遇改善交付金を申請すれ逆に赤字になる。思うような事業転換はできないわよね?」

 

「福祉ビジネス内で全て完結して収益を出そうとするからなのではないでしょうか?福祉分野において報酬単価があることは事業を安定的に運営できる半面、あらゆる規制を同時に受け入れることになります。決してその規制が悪いといってるんじゃないですよ?ルールに則ることは、ルールに縛られるということです。福祉ビジネス+で物事を考えなければならないんですよ。」

 

DXとか?」

 

「もちろんDX化は、マンパワー確保が急務の今後の日本では必須な内容ですよね。でもDX自体で収益を増やすことは難しいと思うんです。事業展開を考える上では、やはりリーチを伸ばすしかないんですよ。報酬単価以外で。」

 

「報酬単価以外で?別事業をやるってこと?モノを売ったり作れってこと?」

 

「いえいえ、そういうことではありません。同じ経路の事業を展開するしかないんですよ。」

「介護分野であれば、介護保険外サービスですよ。」

例えば

訪問理容

食事の宅配

病院内送迎

生活支援以外での家事支援及び代行

身体介護以外での外出支援

相談支援(介護保険外)

 

等が挙げられます。

 

「あること自体は知っているけど、事業展開するマーケットとしては決して大きな分野とは言えないわよね?」

 

「それもおっしゃる通りです。ただ、日本の社会保障費のあり方から言っても、問題になっている要支援の制度廃止はいつかは導入される問題だと思うんです。そうなると、この介護保険外サービス分野が担わなければならない人たちが増えていくということだと思うんですよ。」

 

「それも一理あるわね。」

 

 

 

なんて話してたのに・・・・。