ヌーソの皿の上

福祉とpc関係の記事です

福祉業界のブラックボックス・・・

 

障がい者福祉事業の未来図について

先日の記事で掲載しましたAIと福祉業界の未来図の中で、障がい者福祉事業、就労移行事業について記載をしていませんでした。

詳しくは

nu-so.hatenablog.com

記載しなかった理由は、高齢者福祉事業・児童福祉事業とは利用者層が違うので、AI化が進むことで障がい者福祉事業特有の問題が発生するというのは考えにくかったからです。ですが、福祉ビジネス以外の、一般的な企業のAI化が進むことで抱える問題と同じく、職種が減るという問題は存在します。
 AI化が進むことで社会に及ぼす影響は、一重に「人件費」との兼ね合いです。どんなに重要で必要不可欠な職種だったとしても、高給な人件費がかかるとなれば企業はAI化を導入するはずです。AI化することでその職種の代替ができるとなれば、その分だけ人件費を落とすことができます。AI化が進むということで、企業は潤いますが、高給な職種が減るということはあり得るのです。これがごくごく一般的な企業で起きるということは、障がい者事業も同様のことが起きるということです。就労支援でせっかく高度な技術を身に着けることに成功したとしても、高い給料を望めばAI化されてしまうということが起きるのです。特に知的障がい者の人たちが独立し、一人暮らしの夢を見ることに水を差しかねない状況が迫っているといえるのです。そのためにも、障がい者福祉事業は下請け事業だけでなく、積極的に独自の事業を開拓し、作業工賃が回収できる事業を目指す必要性に迫られるといえるのです。
ですが、問題はそれだけではありません。

福祉ビジネスの肝を覚えてやろう

話は少し変わりますが、私は一時期、会計などの事務職についていたことがあります。介護福祉士などの資格は持っていても、全く会計など習ったことがないのに、業種替えしなければなりませんでした。でも私はこの時、業種替えはチャンスだと思っていました。それは事業の「ブラックボックス」を知ることができると思ったからです。福祉ビジネスの肝を覚えてやろうと意気込みました。
数年、会計の仕事をした結論から申し上げますと、福祉ビジネスに「ブラックボックス」など存在しませんでした。そもそも私が事務職になった頃から、福祉事業の情報開示が求められはじめ、今では財務諸表がいつでもインターネット上で見られるようになりました。財務諸表を見ていただければわかるかと思いますが、売掛金や買掛金が存在しないですし、社会福祉法人であれば税金もほぼ存在しません。とてもシンプルな会計が社会福祉法人会計なんです。気を付けるといったら未収未払や預かり金の額を注意するくらいでしょうかね。

もうタイトルを回収してしまいましたが、ブラックボックスはなくても福祉事業における肝は少し理解できたつもりです。
福祉事業の肝はやはり「人」です。

社会福祉法人の淘汰

福祉事業は巨大な法人よりも、一法人いち施設が多いと言われています。もう数十年、社会福祉法人の淘汰が必要だといわれてきましたが、ほとんど進捗がないと感じています。その理由の一つは、制度改正の多さにあります。介護保険や委託費収入の基準が数年に一度変わるとなれば、巨大な法人はそのたびに色々な対応に迫られます。ですが、小さな法人であれば、エッジが効くので新たな制度改正に柔軟に対応できるのです。社会福祉連携推進法人の推進を厚生労働省は進めていますが、同時に制度改正を繰り返すことはブレーキとアクセルを同時に踏んでいるようなものなのです。

でもこれからは小さな法人の運営はより難しくなると思います。利用者の確保よりも、人材難である職員確保に苦戦するからです。
日本はもう数十年、地方都市の活性化、「村おこし」をしてきました。コロナが後押ししたところもあり、地方で住む若者も増えたとテレビでは報道されていますが、果たしてどれくらい増えたと言えるのでしょうか?コロナ後もやはり大都市への一極集中はとどまることはないと思っています。

人が集まるということ

なぜ、「村おこし」「地域活性」がうまくいかないのか、ずいぶん昔は悩みました。
ですが、一つ答えが見つかりました。答えはシンプルでした。人は、人のいるところにしか集まらないんです。

どんなにいい条件や良い立地である場所が手に入っても、人がいなければそこで事業を起こすことは難しいですよね?どんなにきらびやかな物や話題の店舗が地方都市にきても、あの田舎独特の夜の寂しさは紛らわすことはできないとは思わないでしょうか?人のいないところには人は集まらないことが、「村おこし」の失敗からわかったことです。

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もぐもぐ


人に左右されるからこそ

これらはすべて冒頭の障がい者福祉事業も同じことがいえるんです。これからの日本で地価が安いからといって、地方に障がい者ユートピアを作ろうとしても人は集まらないんです。それどころか利用者、従業員両方どちらも集まりません。
今、地方都市で事業が安定している障がい者福祉事業があっても、10年~20年先に同じ場所で事業を成り立たせることは難しい時代が近づいているのです。

人口減少が顕著になる日本で、これからも福祉ビジネスを続けるにはAIよりも大事なのは、「人」です。すべて人なんです。
人のいるところとなれば、大都市で事業を行う必要性があるのです。
人がいるところに人が集まる。福祉は人の集まるところでしか行えない事業なのだと思っています。それが福祉事業のブラックボックスの答えだとも思っています。

2021.6.4-6.10 福祉系ニュース Welfare news

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1週間の中で気になったものを魚拓系ニュースにしているページです。
すぐにリンクは切れると思いますが、日付をさかのぼったりするのに使っていただければ。

 

 

働くお母さんたちの「保育園問題」…待機児童数減少で「悲痛の叫び」から「格差」にシフト? 2021/6/5
"Nursery school problems" for working mothers ... Shift from "screams of sorrow" to "gap" due to a decrease in the number of waiting children?
https://news.yahoo.co.jp/articles/302bc030c8e47fdf61f961318a3f487efd302b76?page=1

エーザイと共同開発のアルツハイマー治療薬、米FDA承認 2021/6/8
Alzheimer's drug jointly developed with Eisai, US FDA approved
https://news.yahoo.co.jp/articles/df83a81c9db3bca59451e205871646ae3eaf8597
“薬を毎月1回、投与された人では認知機能の低下を抑制した”
”Suppressed cognitive decline in people who received the drug once a month”

家族介護の負担軽減 アルツハイマー薬承認で期待 2021/6/9
Reducing the burden of family care Expected with Alzheimer's drug approval
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021060800975&g=eco
アルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」”
"Alzheimer's disease treatment" aducanumab "”

医療的ケア児支援法成立へ 保育所・学校に看護師ら配置 2021/6/10
To enact the Medical Care Child Support Law: Nurses are assigned to nursery schools and schools
https://www.asahi.com/articles/ASP6B5DSQP6BUTFL002.html
“胃ろうやたんの吸引、人工呼吸器といった医療的ケアが日常的に必要な子どもに~支援を充実させる法案”
"For children who need medical care such as gastric fistula suction and respirator on a daily basis-a bill to enhance support"


高校生のなりたい職業ランキング5位「保育士」!気になる給料や向いているタイプは? 2021/6/9
"Childcare worker" ranked 5th in the profession ranking that high school students want to be! What salary do you care about and what type is suitable for you?
https://benesse.jp/juken/202106/20210609-1.html
"1位は看護師”
"1st place is a nurse"

保育所が「多すぎる」時代に?2025年で児童数ピーク 2021/6/6
In an era when there are "too many" daycare centers? Peak number of children in 2025
https://news.yahoo.co.jp/articles/adb761b5aed60458326ca811bb4db31b950a0313
“保育士として働いていた職場の退職理由(複数回答)
・職場の人間関係…38%
 ・仕事量が多い…27.7%
 ・給料が安い…27.4%
 ・労働時間が長い…25.3%”
“Reason for leaving the workplace where I worked as a childcare worker (multiple answers)
Workplace relationships ... 38%
・ A lot of work ... 27.7%
・ Low salary ... 27.4%
・ Long working hours ... 25.3% ”
"施設の縮小、人材確保など総合的な解決策が必要”
"Comprehensive solutions such as facility reduction and securing human resources are needed"

年収「減った」が49%、高齢者福祉事業所等調査 – 日本医労連 2021/6/8
49% of annual income "decreased", survey of welfare establishments for the elderly-Japan Medical Workers' Federation
https://news.yahoo.co.jp/articles/a6273f75dbbbc19243c255fa076eb70ddaaa8eba

 

 

安心安全とは


東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会橋本聖子会長はことあるたびに、コロナ禍のオリンピック開催に対して「安心安全な大会にする」と発言していますね。
似たような言葉に介護の世界の理想は「安全・安楽」という言葉もあります。保育の世界も「安全」は最重要事項の一つですよね。
福祉と密接な関係のある「安心・安全」について考えてみました。

 

 

 

まず言葉の復習

 安心とは
  心が安んじること。気がかりなことがなくて、心が落ち着くこと。
 https://kotobank.jp/word/%E5%AE%89%E5%BF%83-29217
 引用元:コトバンク

 

  安全とは
 危険のないこと。平穏無事なこと。また、そのさま。
 https://kotobank.jp/word/%E5%AE%89%E5%85%A8-29237 

 引用元:コトバンク

 

 

 

とあります。特に「安全」な環境づくりは施設運営上でも必要不可欠なことですよね。
その安全のために、今でこそスタンダードになったのが「ヒヤリハット報告」です。


施設の安全性を高めるヒヤリハット報告書

ヒヤリハット報告とは
「突発的な事象やミスにヒヤリとしたり、ハッとしたりするもの」
 参照元ウィキペディア

 

ヒヤリハット報告書は、介護・保育どちらの業界でも監査の対象になる重要な書面です。
私の記憶からいうと、福祉業界で主だったものになる前に「ヒヤリハット」という言葉を建築業の安全大会で聞いたのが先でした。建設業は労働災害が多い職種のため、現場で働く人の知識や安全性に対しての意識を高めるために安全大会を開きます。
 当時介護員だった私は、ヒヤリハット報告書を導入することになった時、働く人のための「ヒヤリハット」報告は主観であり、利用者のためのヒヤリハット報告では客観的なため、書面にするには差が生じてしまうとずいぶん反発をしたのを覚えています。若かったです・・・(汗)
 ひとつひとつをあげるときりがなく、膨大な量のヒヤリハット報告書を今も介護・保育現場の職員は一つ一つ紡いで書面に落とし、日々施設の安全性を高めています。

 

では安心とは?

 

 安全が保障された地盤の下で、初めて安心が来るとは思います。ですが「安心」は福祉施設では大きな目標には掲げてはいないと思います。介護も「安全・安楽」ですから、安楽は目指しますが、安心は入っていません。
 介護の世界では、利用者となる高齢者は認知症を患っている方が対象となり、利用者は強い不安焦燥の中で生活を送られています。また保育園の4月頃は子どもたちの泣き声が響き渡っています。母親の元を離れ、人生初の保育園生活が始まり、母親を求める泣き声です。子どもの立場からすれば安心な状況とは言えないのではないでしょうか。

 となれば、福祉施設で「安心」は作れないんでしょうか?

 

 

アタッチメント理論



 保育業界でこの数年、専門の講習もあるこのアタッチメントという言葉、介護業界では30年以上続く人間関係に構築されるものと習います。ラポールとはちょっと違うんです。
 子どもの幼児期であれば、このアタッチメントの構築が重要な子育てのポイントとなります。また介護の世界では、自分の子をよく愛して育てた人ほど、自分が介護などが必要になったときに、子どもに頼れる可能性が高いといわれています。人生の満足度をあげるのがアタッチメントということです。アタッチメントは親から子へ、時が経つと子から親へ切り替えがおこなわれると言われています。
 アタッチメントとは「愛着」を指します。幼児期に必要なのはただの愛情表現ではなく、愛着を形成できるかが重要になるわけです。これが成人した大人になると、十分な子育てをした親か、30年以上の人間関係の元でしか、アタッチメントの形成は難しいとされているのです。
 
 保育園に来る園児たちは、母親と手をつないでいたり、抱っこをされているとき、とても安心した表情をしていると感じます。つまり、アタッチメントが形成できている親子関係なのだと思います。

 独自の考えですが、「愛着」の元こそ、安心が形成されるのではないでしょうか?

 

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ブーン

 


ということは・・・

 

 結論になりますが、安心安全とは、日々の積み重ねにより、初めて形成できるものなのではないでしょうか?安心安全にこだわっている身の人間としては、「安心安全」はなかなか約束できることばではないと感じてしまいます。

2021.5.28-6.3 福祉系ニュース Welfare news

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1週間の中で気になったものを魚拓系ニュースにしているページです。
すぐにリンクは切れると思いますが、日付をさかのぼったりするのに使っていただければ。

 

子ども庁構想に欠かせない、保育の「福祉からサービス」への転換 2021/6/3

Conversion of childcare from "welfare to service"

わいせつ保育士の再登録を制限 2021/6/2

https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1329755

 

介護事業所のDX実態調査、抱える課題—活用トップは介護記録、ロボット導入は進まず

2021/6/1

DX fact-finding survey of long-term care establishments, issues faced

https://news.yahoo.co.jp/articles/8a0c2feb04b59da59080510df0365417f0eb417f

DXへの取り組み状況について、「積極的に取り組んでいる」が18.5%、「一部取り組んでいる」が26.7%”

As for the status of DX initiatives, 18.5% said they were actively working on it, and 26.7% said they were partially working on it.”

 

【介護】重度化を防ぐ取り組み 「排せつ支援加算」に注目 2021/6/1

Efforts to prevent severity

https://news.yahoo.co.jp/articles/56a28e53dbef430f63bec28f98b588a7c28c2dc4

 

AIサービス開発のエクサウィザーズと福祉用具のヤマシタ、合弁会社設立2021/6/2

Established a joint venture between Exa Wizards for AI service development and Yamashita for welfare equipment

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000072683.html

 

明るい音楽で元気にコロナ退治 通所介護施設の職員が体操考案 2021/5/30

Corona extermination gymnastics devised

https://www.47news.jp/localnews/6330924.html

 

日本と欧米の「福祉車両」から、高齢者・障害者を取り巻く環境の違いが見えてくる 2021/5/28

Japanese and Western "welfare vehicles"

https://www.newsweekjapan.jp/kusuda/2021/05/post-9.php

“しっかりとしたビジネスができあがっている。”

We have a solid business.”

 

メンタルEAPKIRIHARE EAP」、医療・介護・福祉従事者に6か月無料提供

Mental EAP for welfare workers

https://www.kaigo-news.net/news_b3pP1eyBg2.html

メンタルヘルス悪化への早期介入なども行うことで、早期回復を実現している。”

Early recovery is achieved by providing early intervention for mental health deterioration.”

 

AIと福祉業界の未来図

 

 カリスマはいらない

 

福祉の世界ほど、カリスマと呼ばれるような人は必要ないと思っています。
それは曲がりなりにもシステムエンジニアなどという仕事もしたことがあるからなのかもしれません。職場は優秀な人材を育てますが、その人材はその能力を職場に返さなければならないと思うからです。システムは個を産み、個はシステムを育むべきなのだと考えます。
著名、有名な○○さんがいる施設は、いわば○○さんのいる施設、○○園ということになってしまうんです。その○○さんは自分を必要としてくれるから、やりがいはあるでしょう、施設も○○さんのおかげで、利用率が高いかもしれません。でもそれって、利用者ファーストなんでしょうか?○○さんがいなくなったあともやっていけるのでしょうか?○○さんのいいところが、マニュアルというシステムに残ればいいですが、福祉の世界で20年前有名だった人が今も崇拝を受けているとは聞きません。

そんなカリスマの必要のない福祉の世界だからこそシステム化は必須なんだと思っています。
システム化で今後一番重要になってくるのは、他業種同様AIだと思っています。
googleで”介護 ai”と調べると、すぐにアンドロイドなどのロボット化の話が出てきます。
ロボット化はまだまだ先の話だとは思いますが、私はAI化で一番変化が起きる業界は福祉業界なのではないかと思っています。
福祉とAIが結びついたときに一番起きる問題は、福祉サービスの差別化だと考えます。つまり福祉ではなくなるように思うのです。

 

差別化が起きるまでの過程

AIで重要となるデータの集積ですが、どのようなデータの集積が必要かになります。
介護だと、適切な関わり、声がけ、傾聴などができているかの、実証データがまずメインになると思います。


 データベースになるテーブルの例え

 利用者側 利用者の性格×利用者の経歴、生活歴×利用者の思考パターン×疾病状況
 介護者側 介護者の容姿×介護者の性格、与える印象×声がけ×普段の関わり方
 これに対しての結果を足して、一つのデータだとします。

 

以上が集積できると、利用者さんのタイプに合わせた、適切な対応方法がAIによって導き出されます。

このタイプの利用者が、不安焦燥のときの対応方法はこれ。徘徊行動が強くなった時にはこのような声がけ、などが自動で導き出されるため、それに沿った関わり方を介護者が行うことになります。
そうすると、認知症の高齢者に対して不安をやわらげ、より安心安全な老後を過ごしてもらえるケアが誕生します。

ここまでは理想的ですが、問題は集積されたデータの使い方です。
利用者の性格などのデータも集積する必要性があるため、富裕層に合わせたケアも誕生してしまうんです。

 

望まない高齢者福祉事業シナリオ

 

富裕層の高齢者に対してケアに特化するとなれば、施設側は富裕層向けの介護者を厳選し、高給とりの介護者も誕生します。利用者は富裕層、介護者もAIによって導き出された、富裕層向けの介護者、つまり、高級介護施設が誕生します。

その施設は人気が出るはずです、家庭にいるよりも高度にかつ適切な関わりのできる介護施設なんですから。もしかしたら、介護報酬にいつも一喜一憂するような経営から解き放たれたような施設も続々誕生するかもしれません。

そうすると、これまで強い個性のなかった、ある意味均一だった介護福祉施設に、大きな差が出てきます。高級施設の誕生後も、データの集積は続きますから、できるだけ早く富裕層を取り込みデータの集積を行った施設は、さらにデータの精度をあげ、より多くの富裕層を取り込む施設を誕生させていくでしょう。その逆に、今まで通りの施設も存在し続けます。今は、処遇加算を含め介護報酬に基づいた給料が介護者に支給され、大きな地域差さえなければ市町村レベルで、それほど大きな給料格差はないはずです。それが、隣の施設では同じ介護という職業でも、給料が高いところがあるとなれば、この均衡は崩れ始めます。今まで通りの介護施設はより求人難が起きることになるんです。

ここまでは、高齢者福祉について話しましたが、児童福祉の世界も同様のことが起きます。

 

児童福祉業界のシナリオ

 

先日のニュース

保育所に通うと子どもの発達にどういう影響があるのか?――欧米と日本のエビデンス https://news.yahoo.co.jp/byline/shibataharuka/20210524-00239446/
“幼稚園(基本的にパートタイム通園)よりも保育所(基本的にフルタイム通園)のほうが、通園した子どもの発達が促されると予測できます。”

 

とあるように、知能が高くなる、高くさせる保育園が2025年頃には多くできているはずです。さらに付加させるのがAIの導入化でしょう。保育士の関わり方も上記のようなデータ集積を元に、より高い知能を促す保育のできる保育士が誕生します。それは介護と同様に富裕層向けになっていきます。保育園は、従来型の保育園と富裕層向け保育園の2極化が進みます。これからの日本を担う子どもたちのためとなれば、より富裕層向けの保育園への入園者希望者が増えていくことになります。高齢者福祉と違うのは、2025年以降は保育園が閉園に追い込まれるところも増えてきます。AIが導入できない保育園は分園化や企業型への変更、縮小を余儀なくされます。

あくまで予測ですが、もうデータの集積を始めている事業所は存在するはずです。
もう賽は投げられているんです。

 

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料理

カリスマ施設もいらないと思うからこそ

 

冒頭で申し上げましたが、私は福祉業界にカリスマは必要ないと思っています。「至高の介護施設、究極の終の棲家」や「東大合格保育園」のような施設も福祉の格差を生むので私は望みません。ですが、ICT化の補助金が出たように、AI化導入補助金も国は導入することが、これからの起きる格差を是正することになると思います。

2021.5.21-5.27 福祉系ニュース Welfare news

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有限会社国際宇宙サービスと一般社団法人介護事業操練所、 民間宇宙介護分野で業務提携契約を締結  ~鎌倉から宇宙x介護のムーブメントを起こす~ 2021/5/21

International Space Service Co., Ltd. and General Incorporated Association Nursing Care Business Training Center conclude a business alliance agreement in the field of private space nursing care-Starting a space x nursing care movement from Kamakura-

https://www.atpress.ne.jp/news/257534

 

 

コロナで失業、再就職に障害者支援 社会福祉法人がマッチングサイト運営 2021/5/21

Support for persons with disabilities in unemployment and reemployment in Corona

https://www.gifu-np.co.jp/news/20210521/20210521-71808.html

 

 

「介護」に群がる買収ファンド もうけ追求できる理由は 朝日新聞 2021/5/25

The reason for the acquisition of the long-term care industry

https://www.asahi.com/articles/ASP5S6V2QP5NULFA031.html

 

 

縄文人も障害児を介護 解明進む定住生活 2021/5/26

Jomon people also care for children with disabilities.

https://www.sankei.com/article/20210526-4RQ6XWFMN5JLXA7NYPKUEM7VWQ/

ポリオ・筋ジストロフィー症だったと思われる

Probably polio&muscular dystrophy

 

介護・保育職や教員らに優先接種へ 福岡市が独自の対策 2021/5/24

Priority inoculation for long-term care / childcare workers and teachers Fukuoka City's own measures

https://news.yahoo.co.jp/articles/76f049b10a893fd0aeb1c644f14f9dc94f1c414f

 

 

保育所、迫る「過剰時代」 利用児童25年にピーク 厚労省試算 少子化、想定より早く

Nursery school, approaching "excessive era" peaked in 25 years for children using the Ministry of Health, Labor and Welfare estimated declining birthrate, earlier than expected

2021/5/27

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72297740W1A520C2EP0000/

"女性就業率の上昇を上回る速度で少子化が進む

"The birthrate is declining faster than the rise in the female employment rate."

 

子どもの新型コロナ感染「学校・保育所で」は誤解? ウイルスを運ぶのは大人という事実〈AERA

2021/5/27

https://news.yahoo.co.jp/articles/6b8f0d40390a410cc0ffff54edbb66f4f36d9597

 

保育所に通うと子どもの発達にどういう影響があるのか?――欧米と日本のエビデンス 2021/5/24What is the impact on child development when attending a nursery school?

https://news.yahoo.co.jp/byline/shibataharuka/20210524-00239446/

“幼稚園(基本的にパートタイム通園)よりも保育所(基本的にフルタイム通園)のほうが、通園した子どもの発達が促されると予測できます。”

"Full-time nursery schools promoted child development more than part-time kindergartens”

 

実際に多い「男性保育士のおむつ替え」拒否する親 2021/5/22

Many parents refuse to change diapers for male childcare workers

https://toyokeizai.net/articles/-/429331

"保護者が自分自身のジェンダーの偏見や思い込みに気づくことは、多様性を尊重する子育ての大切なスタートラインになるはず。”

"The starting line is that parents themselves notice their beliefs.”

 

 

施設のデパート化

複合施設とは

表題通りなんですが、最近福祉施設というとデパート化してきているように思わないでしょうか?

ちょっと前までは、似たような事業が複数同一敷地内で運営していることは多かったんです。

例えば、

  ・特養+デイサービス(高齢者福祉)

  ・就労継続支援A型+B型(障害者福祉)

  ・訪問介護+居宅介護支援事業所(高齢者福祉)

  ・有料老人ホーム+デイサービス+訪問介護

    (これは住宅型と呼ばれる有料老人ホームの形です)

      ・・・etc

 ※企業型の保育所であれば、同一敷地内での運営はされていますが、旧式の認可保育園は規制があるので、複数の同一敷地内事業はほとんど存在しないはずです。ご興味があれば

nu-so.hatenablog.com

もご覧ください。

 

それが最近、

  ・有料老人ホーム+就労継続支援事業所(障害福祉

  ・特養(高齢者福祉)+グループホーム(障害者福祉)

  ・グループホーム(障害者福祉)+デイサービス(高齢者福祉)

  ・グループホーム(障害者福祉)+グループホーム(高齢者福祉)

   ・・・etc 種類が多すぎて全て紹介できません

 

のような、同じ「福祉」ではありながらも系統が違う事業を行う施設が多くなったと思うんです。

 

福祉と言いながらも

 

職員の定期昇給に応えることにより優秀な人材が育ち、人件費率が上がればその対処をしなくてはなりません。よってどんな事業でもいえることは、事業の拡大維持が必然なんです。

福祉業界だけに限ることではありませんが、事業の拡大を行うときに一番問題になるのは固定資産、運用資産ではないでしょうか?さらに福祉業界の特異性として、福祉業界は施設という「箱」を作る、作りたがるところがあるような気がします。訪問や通所事業であればまだテナントとして行うところはあるにしても、それ以外はほぼ自前で土地・建物を持つことが多いんです。その理由として、「貸借対照表が伸びるからだ」と私は上司に習いました。ほんとに貸借のためだけですか?と怪しんでしまいますが・・。

市場の見込みから言えば、利用者となる高齢者はずっと増加傾向にあり、保育園・保育所であればまだまだ補助金が出ます。ですが、アベノミクス後はどうも規模が小さい、定員数の少ない施設が多いように思わないでしょうか?これが、福祉業界における施設という「箱」のこだわりにつながっています。

 

福祉施設の収益の出し方

 

普通の飲食店であれば、「回転率」という考え方がオーソドックスですよね。昼食でにぎわう店なら、コアタイム11:30~13:30位として、「店の中の座席数が2~3回転するな」などと計算することが「回転率」です(甘すぎの計算です)。これが、福祉施設だと回転率というのは存在しません。どの福祉事業でも、契約書をかわしますので、「登録者」が利用する仕組みになっています。例えばデイサービスを運営している場合、いくら利用できる枠があったり、欠席者が多いからと言って、「登録者」に今日利用されませんか?という営業はできないんです。ケアマネージャーによるケアプランに盛り込まれているか、緊急性があるかなどの理由がないと、当日急遽の利用はできません。

 

デイサービスで例えたので、このままデイサービスで説明しますと、一日で利用できる利用者数が決まっています。いろいろな設備も必要ですが、おおよそ居住スペースの床面積に利用定員1人あたり3㎡以上であることが、設備基準の中に明記されています。ということは、施設が大きければ大きいほど、たくさんの利用者さんを呼べるということになりますよね?となれば、なぜ大きな施設ではなく、小さな施設が増えたのでしょうか?

 

福祉施設の報酬は、高齢者福祉であれば介護保険、保育園は委託費といったように、各利用者さんからの利用料以外に支払われる「補助金」(ちょっと語弊がありますね、いい表現方法があれば教えてください)、医療でいう医療保険のようなものがあります。しかし、これらの報酬を得るためには、先ほど述べた設備基準や、職員の配置基準が存在します。詳細は省きますが、大きな施設でたくさんの利用者さんを入れるとなれば、それだけ資格の持った職員を、基準通り配置する必要性があり、利用状況に合わせて人件費を増減することはできないんです。人件費が上がった分だけ利用者さんが来てくれればいいですが、実際はそうもいきません。

よくいう風呂敷の広げすぎが一番この業界では怖いんです。そうならないように利用率が80%から100%で運営する計算で施設を建てるんです。つまり、利用定員という「分母」が重要なんです。

50床と100床、それぞれ介護施設を運営した場合、ひと月の空床は一割(高すぎです)だったとしたら、50床であれば5床分新規利用者を集めなくてはなりませんが、100床であれば10床も新規利用者を集める必要性が出てきます。まだまだ右肩上がりの高齢者事業でも、さすがに毎月10人もの待機者を抱える施設は少なく、また新規登録者にはアセスメントも必要になるため、新規利用者を増やすというのは絶対必要でありながらも、現場には負荷が大きいという事実もあるんです。

 

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どお?

 

となれば、小さな事業所を複数建てて収益をあげることのほうが、大きな事業所を建てるよりも、資金回収が手堅いということになるんです。

そのため福祉施設がデパート化してきているんです。