ヌーソの皿の上

福祉とpc関係の記事です

AIと福祉業界の未来図

 

 カリスマはいらない

 

福祉の世界ほど、カリスマと呼ばれるような人は必要ないと思っています。
それは曲がりなりにもシステムエンジニアなどという仕事もしたことがあるからなのかもしれません。職場は優秀な人材を育てますが、その人材はその能力を職場に返さなければならないと思うからです。システムは個を産み、個はシステムを育むべきなのだと考えます。
著名、有名な○○さんがいる施設は、いわば○○さんのいる施設、○○園ということになってしまうんです。その○○さんは自分を必要としてくれるから、やりがいはあるでしょう、施設も○○さんのおかげで、利用率が高いかもしれません。でもそれって、利用者ファーストなんでしょうか?○○さんがいなくなったあともやっていけるのでしょうか?○○さんのいいところが、マニュアルというシステムに残ればいいですが、福祉の世界で20年前有名だった人が今も崇拝を受けているとは聞きません。

そんなカリスマの必要のない福祉の世界だからこそシステム化は必須なんだと思っています。
システム化で今後一番重要になってくるのは、他業種同様AIだと思っています。
googleで”介護 ai”と調べると、すぐにアンドロイドなどのロボット化の話が出てきます。
ロボット化はまだまだ先の話だとは思いますが、私はAI化で一番変化が起きる業界は福祉業界なのではないかと思っています。
福祉とAIが結びついたときに一番起きる問題は、福祉サービスの差別化だと考えます。つまり福祉ではなくなるように思うのです。

 

差別化が起きるまでの過程

AIで重要となるデータの集積ですが、どのようなデータの集積が必要かになります。
介護だと、適切な関わり、声がけ、傾聴などができているかの、実証データがまずメインになると思います。


 データベースになるテーブルの例え

 利用者側 利用者の性格×利用者の経歴、生活歴×利用者の思考パターン×疾病状況
 介護者側 介護者の容姿×介護者の性格、与える印象×声がけ×普段の関わり方
 これに対しての結果を足して、一つのデータだとします。

 

以上が集積できると、利用者さんのタイプに合わせた、適切な対応方法がAIによって導き出されます。

このタイプの利用者が、不安焦燥のときの対応方法はこれ。徘徊行動が強くなった時にはこのような声がけ、などが自動で導き出されるため、それに沿った関わり方を介護者が行うことになります。
そうすると、認知症の高齢者に対して不安をやわらげ、より安心安全な老後を過ごしてもらえるケアが誕生します。

ここまでは理想的ですが、問題は集積されたデータの使い方です。
利用者の性格などのデータも集積する必要性があるため、富裕層に合わせたケアも誕生してしまうんです。

 

望まない高齢者福祉事業シナリオ

 

富裕層の高齢者に対してケアに特化するとなれば、施設側は富裕層向けの介護者を厳選し、高給とりの介護者も誕生します。利用者は富裕層、介護者もAIによって導き出された、富裕層向けの介護者、つまり、高級介護施設が誕生します。

その施設は人気が出るはずです、家庭にいるよりも高度にかつ適切な関わりのできる介護施設なんですから。もしかしたら、介護報酬にいつも一喜一憂するような経営から解き放たれたような施設も続々誕生するかもしれません。

そうすると、これまで強い個性のなかった、ある意味均一だった介護福祉施設に、大きな差が出てきます。高級施設の誕生後も、データの集積は続きますから、できるだけ早く富裕層を取り込みデータの集積を行った施設は、さらにデータの精度をあげ、より多くの富裕層を取り込む施設を誕生させていくでしょう。その逆に、今まで通りの施設も存在し続けます。今は、処遇加算を含め介護報酬に基づいた給料が介護者に支給され、大きな地域差さえなければ市町村レベルで、それほど大きな給料格差はないはずです。それが、隣の施設では同じ介護という職業でも、給料が高いところがあるとなれば、この均衡は崩れ始めます。今まで通りの介護施設はより求人難が起きることになるんです。

ここまでは、高齢者福祉について話しましたが、児童福祉の世界も同様のことが起きます。

 

児童福祉業界のシナリオ

 

先日のニュース

保育所に通うと子どもの発達にどういう影響があるのか?――欧米と日本のエビデンス https://news.yahoo.co.jp/byline/shibataharuka/20210524-00239446/
“幼稚園(基本的にパートタイム通園)よりも保育所(基本的にフルタイム通園)のほうが、通園した子どもの発達が促されると予測できます。”

 

とあるように、知能が高くなる、高くさせる保育園が2025年頃には多くできているはずです。さらに付加させるのがAIの導入化でしょう。保育士の関わり方も上記のようなデータ集積を元に、より高い知能を促す保育のできる保育士が誕生します。それは介護と同様に富裕層向けになっていきます。保育園は、従来型の保育園と富裕層向け保育園の2極化が進みます。これからの日本を担う子どもたちのためとなれば、より富裕層向けの保育園への入園者希望者が増えていくことになります。高齢者福祉と違うのは、2025年以降は保育園が閉園に追い込まれるところも増えてきます。AIが導入できない保育園は分園化や企業型への変更、縮小を余儀なくされます。

あくまで予測ですが、もうデータの集積を始めている事業所は存在するはずです。
もう賽は投げられているんです。

 

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料理

カリスマ施設もいらないと思うからこそ

 

冒頭で申し上げましたが、私は福祉業界にカリスマは必要ないと思っています。「至高の介護施設、究極の終の棲家」や「東大合格保育園」のような施設も福祉の格差を生むので私は望みません。ですが、ICT化の補助金が出たように、AI化導入補助金も国は導入することが、これからの起きる格差を是正することになると思います。