前回は、介護保険加算取得状況:前編 全国平均算定率1%未満の加算一覧 として、取得の少ない加算について調べてみました。
今回は逆に取得率の高い加算を見てみます。
算定率の高い全サービス種別・高算定率加算一覧
ここでは概ね 算定率50%以上 を目安に抽出しています。
全サービス種別・高算定率加算一覧(全国平均)
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サービス種別 |
加算名 |
全国算定率(目安) |
備考 |
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夜間・早朝加算 |
約62.6% |
早朝・夜間帯の訪問ニーズが高い |
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〃 |
初回加算 |
約53.4% |
新規利用開始時にほぼ必ず算定 |
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訪問入浴 |
初回加算 |
約55〜60% |
初回訪問時に算定 |
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サービス提供体制強化加算(Ⅱ) |
約55% |
常勤看護師配置率が高い |
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訪問リハ |
リハビリテーションマネジメント加算(B) |
約50%超 |
継続利用者が多い |
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個別機能訓練加算(Ⅰ) |
約60% |
機能訓練指導員配置が一般化 |
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〃 |
科学的介護推進体制加算(LIFE加算) |
約55% |
LIFE提出義務化で普及 |
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通所リハ |
リハビリテーションマネジメント加算(A) |
約65% |
医師・PT等の計画作成が標準化 |
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短期入所生活 |
サービス提供体制強化加算(Ⅱ) |
約55% |
常勤職員配置率が高い |
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特定施設 |
サービス提供体制強化加算(Ⅱ) |
約60% |
職員体制が安定している |
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福祉用具貸与 |
特定福祉用具販売加算 |
約70% |
販売併用事業所でほぼ必須 |
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居宅介護支援 |
初回加算 |
約80% |
新規契約時に必ず算定 |
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介護職員等処遇改善加算(Ⅰ) |
約75% |
ほぼ全施設が取得 |
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在宅復帰・在宅療養支援機能加算(Ⅱ) |
約55% |
在宅復帰率要件を満たす施設が多い |
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介護医療院 |
介護職員等処遇改善加算(Ⅰ) |
約70% |
職員処遇改善目的で普及 |
出典:copilot
傾向と分析
・初回加算は、ほぼどの事業も取得していますね。初回はアセスメントや担当者会議などがあり、利用者と関わる時間が多いので、取得は必然ですね。
・サービス提供体制強化加算系は看護師を配置しているだけで取得できるものですから、取得しやすいのが理由です。
・LIFE加算系は、提出の義務化が後押しをしている印象です。出さないと基幹的加算を取得できないから、取得率が高いと言えます。
・処遇改善加算系については、次の章で説明します。
事業所別処遇改善加算
取得率の高い加算の中でも出てきた、処遇改善加算ですが、この加算についてはもう少し深掘りしてみたいと思います。
厚労省の「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査」や最新の加算率資料をもとに、介護保険サービス別の処遇改善加算(Ⅰ〜Ⅴ)の取得率一覧を整理しました。
ここでは「取得率=その加算を届出・算定している事業所割合」を示しています。
📊 介護保険サービス別・処遇改善加算取得率(令和6年9月30日時点)
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サービス種別 |
加算Ⅰ |
加算Ⅱ |
加算Ⅲ |
加算Ⅳ |
加算Ⅴ |
備考 |
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介護老人福祉施設(特養) |
80.1% |
13.4% |
3.1% |
1.2% |
2.2% |
ほぼ全施設が何らかの加算取得 |
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69.7% |
16.4% |
10.5% |
3.1% |
4.5% |
加算Ⅰ取得率は施設系で2番目に高い |
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介護医療院 |
44.6% |
14.8% |
3.5% |
3.2% |
0.9% |
施設系で最も低い |
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44.5% |
32.3% |
8.5% |
1.0% |
0.4% |
加算Ⅱ取得率が比較的高い |
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通所介護(含 地域密着型) |
36.7% |
35.3% |
7.3% |
0.9% |
1.2% |
加算Ⅰ取得率は施設系より低め |
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通所リハビリ |
47.7% |
10.3% |
3.7% |
1.0% |
0.3% |
加算Ⅱ以下は低水準 |
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特定施設入居者生活介護 |
48.3% |
42.5% |
5.7% |
4.5% |
1.0% |
加算Ⅱ取得率が高い |
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小規模多機能型居宅介護 |
48.3% |
38.6% |
3.0% |
0.9% |
0.5% |
加算Ⅰ取得率は高いがⅢ以下は低い |
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42.0% |
45.6% |
8.5% |
2.2% |
0.3% |
加算Ⅱ取得率が全サービス中トップクラス |
傾向と分析
- 加算Ⅰは全体で45.7%取得だが、特養・老健・特定施設・小規模多機能は50%前後と高め。
- 加算Ⅱは訪問介護・特定施設・グループホームで40%超と高水準。
- 加算Ⅲ以下は全体的に取得率が低く、特に加算Ⅴはほぼ取得されていない。
- 施設系(特養・老健)は加算Ⅰ中心、在宅系(訪問介護・グループホーム)は加算Ⅱも活用傾向。
注目ポイント:通所介護
全事業から見てもなぜ通所介護の取得率が低いのでしょうか? 通所介護を通してみるとなぜ処遇改善加算を取得しないのか、全サービスとの共通点が見えてきます。
- キャリアパス要件のハードル
- 加算Ⅰを取るには「キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ+職場環境要件」をすべて満たす必要がある。
- 小規模な通所介護事業所では、職位・職責に応じた賃金体系や昇給制度の整備が難しい。
- 職員数が少ないため、給与規定・俸給表への賃金バランスの調整が難しい
- 収益構造の制約
- 通所介護は単価が比較的低く、利用定員や稼働率に上限があるため、加算取得による収益増が人件費増に見合わないと判断されるケースがある。
- 特に加算Ⅰは賃金改善幅が大きく、財務的な持続性に不安を感じる事業所が多い。

加算の在り方・改善
以上から言えることは、国・政府は処遇改善加算ですら、加算Ⅴを取りやすい状況ではなかったということです。ちょっとわかりにくいんですが、処遇改善加算は一本化が進んでいます。その代わりベースアップ加算など似たような加算も増えており、なにをもってどうやって算定するのがいいのかを見極める必要もあるんです。こんなに福祉職員の給与賃金の改善が謳われている中で、これが福祉職の給与が上がらない一つの要因でもあるわけです。
それに拍車をかけているのが、監査という法解釈のエキスパートのお役所様たちです。運営側も違法行為はしたくないので、所管に何度も確認をし、大よそ大丈夫だと聞いて加算申請しているのに、こと監査になったら、どうしても問題点を見つけ出したいのか、確認した前提すら覆すような監査だったりします。
こんな記事も書いています。
日本の介護保険制度は、世界と比べても介護を受ける側が軽度~重度まで、非常に受けやすいという特徴を持っています。ところが介護をする側、特に賃金面の改善に関してはこのような足かせがあり、なかなか改善が進みません。介護保険の加算を通して思うことは、国家の問題のしわ寄せが介護者側に集まっている印象を受けます。