ヌーソの皿の上

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聴覚障害女児の将来の収入 “労働者平均賃金の85%” 大阪地裁 ~2023.2.27

 

 

1.判決結果

 

聴覚障害女児の将来の収入 “労働者平均賃金の85%” 大阪地裁

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230227/k10013992501000.html

5年前、交通事故で亡くなった聴覚障害のある女の子が将来得られるはずだった収入について、大阪地方裁判所は27日、労働者全体の平均賃金の85%をもとに計算すべきとする判断を示しました。

 

27日の判決で大阪地方裁判所の武田瑞佳裁判長は「安優香さんは学習意欲があり、さまざまな就労可能性があったが、労働能力が制限される程度の障害があったことも否定できない」として、遺族側が求めた健常者と同じ基準ではなく、聴覚障害者の平均賃金を踏まえて算出する考え方を示しました。

そして
聴覚障害のある若い世代の大学進学率が増加傾向にあることや
音声認識アプリの普及などでコミュニケーション上の影響は小さくなっていくとみられることなどを考慮して、安優香さんが将来働いていたであろう頃には、亡くなった平成30年当時よりも聴覚障害者の平均賃金は高くなると予測できると指摘しました。

そのうえで逸失利益は労働者全体の平均賃金の85%をもとに計算すべきという判断を示し、これにもとづいた賠償額として3700万円余りの支払いを運転手側に命じました。

 

 

2.これまでの裁判内容について

 

2020年1月、Aの遺族がB及びBの元勤務会社を相手取り、大阪地方裁判所民事訴訟を起こした。Bと会社に計約6100万円の損害賠償を求めているが[11]、Aの逸失利益が争点となる[12]。逸失利益は、死亡していなかった場合に将来得られたはずの収入を指すものである[13]。

被告側は、Aの逸失利益について、Aの聴覚障害を理由に「聴覚障害者の平均賃金で算出すべきだ」と主張しており、これは労働者全体の平均賃金の約6割の計算になる。一方原告側は、聴覚障害の有無を「逸失利益」に反映させないよう求めている[14]。被告側は、元々はAの逸失利益について、障害を持たない女性労働者の平均年収の4割(153万520円)としていたが、同年8月に聴覚障害者の平均年収の6割(294万7000円)という主張に変更している。被告側の主張する賠償額自体は上がったことになるが、どちらにせよ労働者全体の平均年収には到達しない金額である

 

引用元:生野区聴覚障害女児死亡事故

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E9%87%8E%E5%8C%BA%E8%81%B4%E8%A6%9A%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E5%A5%B3%E5%85%90%E6%AD%BB%E4%BA%A1%E4%BA%8B%E6%95%85

 

これに対して家族は、

両親は、「障害を理由に将来を否定すべきではない」などとして、「“全労働者の平均賃金”を基にすべき」だと訴え、すでに結審している。

お金のうんぬんじゃなくて、これまで11年間、娘が頑張ってきた。大切な娘の命を奪われて、差別的なことを言われて、黙っておれる親っていますか

https://news.yahoo.co.jp/articles/e3d939ff6435e79972f5767acadb0ed84ac68663

 

 

3.逸失利益について

 

逸失利益について、『一般女性の40%で計算すべきだ』と主張してきました。『聴覚障害者には、9歳の壁、という問題があり、高校卒業時点での思考力や言語力・学力は、9歳くらいの水準に留まる』というのがその理由です。

https://news.yahoo.co.jp/byline/yanagiharamika/20220201-00280003

 

【障害者の逸失利益 判例
障害者の「逸失利益」をめぐって、過去にはゼロと判断されることもありました
しかし、障害者を支える技術が進歩したことや、企業に義務づけられている障害者の雇用率が引き上げられたことなどから、裁判所の判断も変わりつつあります。
4年前の東京地方裁判所の判決では、事故で死亡した重い知的障害のある少年について、特定の分野での優れた能力を評価し、障害のない少年と同じ水準の「逸失利益」が認められました。
一方、おととしの広島高等裁判所の判決では、事故で死亡した全盲の女性について、労働者全体の平均賃金の8割が妥当だと判断され、健常者と同じ水準までは認められませんでした。
障害者の働く場が広がる中、時代にあった判断をすべきだという声が高まっています。

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20230227/2000071390.html

 

逸失利益(いっしつりえき、英: Lost profit)は、本来得られるべきであるにもかかわらず、債務不履行不法行為が生じたことによって得られなくなった利益を指す。得べかりし利益(うべかりしりえき)とも言われる。逸失利益の算定では果たしてどこまでが本来得られるべきであった利益か、その確定は容易でなく訴訟などでもよく争点となる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%B8%E5%A4%B1%E5%88%A9%E7%9B%8A

 

 

4.webニュースの報道内容

 

聴覚障害児死亡事故、逸失利益85%を認定 web東奥

https://www.toonippo.co.jp/articles/-/1507750

 

【速報】聴覚障害の女児死亡事故訴訟 「将来の年収」は全労働者の平均年収の85%とする判決 大阪地裁 ytv

https://news.yahoo.co.jp/articles/5afc372d88d24222e2dc6201a93af539268a19a1

 

「裁判所は差別認めた。落胆」と女児の父 共同通信

https://www.47news.jp/8994733.html

 

聴覚障害女児の死亡事故めぐる損害賠償訴訟 きょう午後判決 争点は「将来得られるはずだった収入」 abcニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/311302cd2cd701252d5645a7a72a4e6761ffee90

 

5.私見

 

SDGsや、平等な社会やらこれからはメタバース(仮想空間)の時代だなど言われ、そこに目指している現代において、この「逸失利益」における障がい者の扱いはどう考えればいいのでしょうか?

85%でもよくなったほうだととらえればいいのでしょうか?それともまだこの9歳の壁というものに阻まれた、15%分一般労働者より安い立場ととらえるべきでしょうか?

 

このブログは福祉を取り扱うブログである以上、15%というその差はあっていいとはどんなことがあっても言えません。その幼い命が奪われたという悲しみだけでなく、社会に疑問を投げかけるこの裁判の結果に、ご両親の心情を考えると悔やまれます。