

「はりえさんは『動物福祉』という言葉をご存じですか?」

「へー、知らないね、そんな言葉あるんだね。初めて聞いたよ。」

「もう10年くらい前からぼちぼち聞くようになった印象ですよ。」

「先日こんなテレビを見ました」
文化か虐待か 動物行事で刑事告発相次ぐ
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農耕の労働力や家畜として、動物は人間の生活や経済と深く関わり、動物にまつわる神事や祭りが、各地で受け継がれてきた。だが近年の動物愛護運動への関心の高まりにより、動物の扱いや接し方に問題提起がされはじめたのだ。その動きは世界的にも闘牛の中止など大きなうねりに。人間と動物はいかに関わっていくべきか。東北で馬を扱う行事を主催する自治体と異議を唱える団体を取材。守るべきものと変わるべきものを考える。
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「どうなんだろうね、馬や牛も働くことが好きでやっているところもあるんじゃないの?」
「かわいそうに見えると言われれば見えるような・・・」

「はりえさんは、この問題は『動物愛護』の問題だととらえますか?それとも『動物福祉』の問題だととらえますか?」

「えー?わからないよ、『動物愛護』なんじゃないの?刑事告発なんでしょ?」

「動物愛護と動物福祉は下記の様に定義されています」
動物愛護は、人間の視点から「動物を大切にしよう」「かわいそうなことをなくそう」とする感情的な考え方
動物福祉は、動物の視点に立ち、「動物が快適に生きられる環境を整える」ことを重視する考え方

「ふむふむ、そんな違いがあるのね?」

「もう少し付け加えると、『告発』と『告訴』の違いもあります」
刑事告発とは、犯罪の被害者ではない「第三者」が、捜査機関(警察や検察)に対して犯罪の事実を申告し、犯人の処罰を求める行為のことです。刑事訴訟法第239条に基づき、誰でも告発を行うことができます。
刑事告訴とは、犯罪の被害者や法定代理人が行うものです。

「つまりこの題名である、『動物行事で刑事告発』という言葉から推測するに、『告訴』ではなく『告発』という言葉を使っているので、『動物からの告訴』ではなく『第三者からの告発』ということになります。」

「第三者視点であるということは、動物愛護の話であるということになります。」

「何言ってるんだかわからない」

「・・・・」

「動物愛護と動物福祉のとらえ方には、日本と西洋の考え方の違いに関係してるんです。日本では「動物愛護」の考え方が強いのに対し、西洋では「動物福祉」が重視される傾向があるんです。」

「話は聞いてるよ」

「ありがとうございます。私がなぜこの問題が、『動物愛護』なのか『動物福祉』なのか聞いたかというと、主題は『動物愛護』だとはわかるんですが、『動物福祉』という領域に踏み込んでいると感じたからなんです。」

「動物愛護が日本よりで、動物福祉が西洋よりだとした場合、愛護と福祉の差の裏付けとなるものは、愛護だと『慈愛』であり、福祉だと『博愛』になると思うんです。」
慈愛(じあい)は、特に弱い立場の人や身近な存在に対して深い思いやりを持つことを意味します。親が子どもに注ぐ愛情のように、温かく包み込むような優しさが特徴です。
博愛(はくあい)は、すべての人や生き物に対して分け隔てなく愛を持つことを指します。人種や立場を問わず、平等に愛する精神を表し、社会的な慈善活動や人道的な行動と結びつくことが多いです。
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「ちょっと難しいかもしれませんが続けます。『慈愛』は親と子の様に二者間の愛情なんです。それに対して『博愛』は立場を問わない平等に基づいた第三者視点、つまり社会のあるべき形を指します。」

「博愛的思考は、社会の調和や持続可能な発展にも関係しており、『社会システムの効率化』や『持続可能な成長』を意味しています。」

「動物の話はどこにいった?」

「もうちょっとですから我慢してください。」

「ここまでをまとめると、『動物行事で刑事告発』というのは動物愛護の視点でありながら、刑事告発という社会的責任について追及をしています。社会的責任を問うとなれば動物福祉ということになります」

「なんだかわかったようなわからないような」

「少し話を戻すと、二者間の愛情って自己責任の問題であって、三者間の問題になると社会的問題としてとらえなくてはなりません」

「何を意味しているかというと、今までは牛や馬を飼っていた飼い主の問題だったものを、社会全体の問題として取り上げようとしています。」

「テレビの中でも話になっていましたが、これは大きく距離感が違う話なんです。今までは直接面倒を見ていた立場の人たちの問題だったのに対し、全く面倒は見ていない人たちが問題視しているということになります」

「この派生には、街中にでた熊などに対し、『熊がかわいそう』『熊をいじめないで』という声が上げられたことがありました。」

「そこで熊の近くで暮らしている人の言葉ではなく、熊の近くに住んでいない人たちがそのような声を上げているという、距離感の問題になります。」

「あーそんなこともあったよね。」

「動物の問題を社会問題としてとらえることは悪いことだとは思っていません。ですが、愛護と福祉をごちゃまぜにして、『かわいそうだから』という視点から社会の責任問題に昇華するのは『福祉』ではないと思っています。それが持続可能な社会だと言えるでしょうか?福祉にこだわっている私には線引きをしてほしい問題だと思うんです。」

「このままだと、イルカのショーとかサーカスも見れなくなるね」

「それらのショーは、もう何十年も前から動物愛護団体から問題視されていますよ。」

「前にも話したピエロの話やプロレスの問題も含めて、主義主張・イデオロギーで社会問題にするのは、いち個人の承認欲求の様に感じています。」