「どうも煮え切らないなーという印象があるんですよ、あすなろ福祉会の不妊手術の件。」
「高齢者施設や保育園では虐待行為が横行し、障がい者支援施設では人権侵害が行われている。日本の福祉のレベルが低いという印象だけ残っただけのように感じるんですよ。」
「これから良くなっていくきっかけになったんじゃないのかい?」
「その問題を提起されたことが良かったと・・・?」
「実際に行われていたことだろ?それでいて、それに対して怒っている人たちもいる。ヌーソさんが腑に落ちないという気持ちはわからなくもないけど、あすなろ福祉会の問題はこうなるようになっていたんだと思うよ。」
「じゃ、はりえさんには、あすなろ福祉会の問題ってどんな風に映っていて、どんな問題だったという印象があるんですか?」
「うーん、正直なところ何が悪いのかはわからなかったね。強制っていうのかい?強引に不妊手術をしたというのなら悪いと思うけどさ。あすなろ福祉会の理事長さんだったっけ?あの人のインタビューと、入所していて実際に不妊手術を受けた利用者さんの話をテレビで観ていたけど、本人たちが希望したことなんだろ?そこまで責められることなのかというのはわからなかったよ。」
「そうなんですよ。問題は手術なのではなく、本人たちがいやいやながら手術を受けたかどうかですよね?ただ地域で生活するためには、あすなろ福祉会に頼らざるを得ない障がい者の人が、そのあすなろ福祉会から受けた不妊手術という提案は、まさに外堀を埋めるような物言いに感じるであろうことも想像に難くないですよね。」
私の意見は以前に述べておりますのでこちらもご覧ください。
「となれば、この問題ってどうやったら防げたんですかね?どんな支援をすればよかったんでしょうかね?」
「好きなように産めるというのは、確かに権利だろうけど産むだけでは駄目だとは思うよ。」
「産んだ以上は子育てをすることが当たり前だろうし、産む権利だけ求めて、産んだ後は知らんぷりでは話にならないね。そもそも子が欲しいというのは親になる前の話だよね。その親になる前の人たちに、子育ての大変さはなかなか伝わらないだろうね。例え障がいがあってもなくてもさ。」
「私は支援する側の人間なので、その点については、産む前だろうと産んだ後だろうと継続的な支援をするサポートと技術が必要だと思いますし、その支援にかかる補助金なども必要だと思います。」
「それをこのような現状のまま妊娠をさせ、サポートもないのに産ませることを容認したとすれば、あすなろ福祉会はこのような問題にならなかったでしょうか?」
「子どもの権利の人権侵害だと、問題になっていただろうね。」
「ましてや、生まれてきた子どものケアにも、産んだ障がい者さんからの実費費用が必要になることをどう思うでしょうか?お金は一切発生せず産み育てられるような人は、この日本には存在しませんよね?とくとくとお金がかかる話を説明したとしてそれはどう思いますか?」
「産む夫婦に(金銭面の)多少の覚悟はあったにしろ、脅しのようにも聞こえるだろうね。」
「さらにその説明が遅いと感じたとしたらどうですか?障がい者夫婦が子どもを堕ろさざるを得ない状態に陥らせたとしたら。そしてその夫婦が報道に訴えたとしたら」
「責任を取る姿勢がないと、それも問題になるだろうね。」
「きれいごとばかりいってても、きりのない話だったんだね。」
「だから私はこの問題を、『産む』に終始しすぎた心象操作のようにすら感じるんですよ。」
「じゃあヌーソさんはその前って何だと思うんだい?」
「え?結婚?恋愛のことですよね?」
「言い方をかえて、障がい者同士の恋愛ってわかるかい?」
「そんなに違いはありますかね?ちょっと想像ができませんね。」
「おらには、同じように知的障がいをもつ家族がいるんだよ。」
「前に少し聴きましたよ。」
「障がい者って普通に恋愛があると思うかい?」
「出会い系アプリで知的障がい者専用などと聞いたことないですね。まあ、あったとしてもかなりの問題になりそうですが・・・。」
「?ということは・・・?」
「学校や職場などで知り合う程度の、それは狭い(コミュニティの)中でしか相手を選べないんだよ。」
「本人も贅沢は言えないと思っているんだろうね、その枠内で選びあうから、普通の人(健常者)よりももっと『好きだといわれたから』だけで付き合うんだよ。自分が好きか嫌いかなんて二の次さ。」
「そのような中で、結婚をしたい、子どもを産みたいと心から思える人に会うというのはかなり難しい話なんだと思うよ。」
「・・・、私が想像するよりももっと、恋愛・妊娠・子育てのハードルが高いという話だととらえていいんですかね?」
「となれば、恋愛サポートまで必要になるんですか?健常者でも婚姻率が下がっているのに・・・。」
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2021/r03webhonpen/html/b1_s1-1-3.html
「掘り返せばもっともっと、問題は出てくる話なのかもしれないね。おらもこの話は語られない余白を感じるよ。」
「今回ははりえさん随分難しい言葉たくさん使いましたね・・・。」
「おらだってこれくらいの言葉知ってるよ(怒)」