ヌーソの皿の上

福祉とpc関係の記事です

HSPと介護

先日このようなニュースが出ていました。

 

高次脳機能障害、介護する人の44%「うつ傾向」 孤立しない対策を

https://news.yahoo.co.jp/articles/1477e0d863568f5eb6a7b2f339c51beaa9a12b05

 

このニュースは高次脳機能障害を持った家族の介護をする話ですが、介護をする人が鬱になることは多々ある事です。

 

 

 

 

まずうつ病とは

 

うつ病とは

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・エネルギーの欠乏により、脳というシステム全体のトラブルが生じてしまっている状態

・脳のエネルギーが欠乏していなければ、自然治癒力によって、時間の経過とともに元気になるのが通常です。

時間の経過とともに改善しない、あるいは悪化する場合には、生活への支障が大きくなり、「病気」としてとらえることになります

・義務感が強く、仕事熱心、完璧主義、几帳面、凝り性、常に他人への配慮を重視し関係を保とうとする性格の持ち主は、エネルギーの放出も多いということになります。努力の成果が伴っているうちはエネルギーの回復もみられますが、成果が出せない状況が生じたり、エネルギーの枯渇が起これば発症の危険が高まります。

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引用元:厚生労働省

https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad001/

 

 

HSPとは

 

これに対して、HSPという言葉も聞いたことがあるかと思います。

 

HSPとは 抜粋

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・気質または性格特性

・感覚処理感度(SPS) が非常に敏感な人 (HSP)

・身体的、社会的、感情的刺激のより深い認知処理

・認知的に深く刺激を処理するため、外部刺激によって簡単に過大刺激される

・高いストレスレベル、圧倒されやすい、うつ病、不安、 睡眠障害の発生率の増加、および自閉症の特徴が含まれます。

・長所と短所を伴う性格特性である

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https://en.wikipedia.org/wiki/Sensory_processing_sensitivity

 

実はこの2つ、似たような症状が出るらしく、さらにHSPうつという病も存在します。

HSPは生まれつきの体質ですが、上記にあるように、刺激に対して強く反応する特性があるため、うつ病の発症率も高いとされています。かつ、ストレスのためやすい体質であるともいわれています。

 

 

なぜ今回、この2つの話をしているかというと、ネットを見ると

HSPの人には介護職が向いている」という言葉を見つけたからです。

 

 

介護の仕事は

 

介護の仕事で大切なことは色々なサイトでも書いてありますよね。

ほんの一部を言えば

 

・傾聴

・共感

・気づき、気配り

バイスティックの7原則 etc

などがいくらでも挙げられますよね。

要するに介護で必要なのは、ボディメカニクスだけでも、清潔なおむつ交換技術だけでもなく、その対人援助技術全般ということです。

全般というのは便利な言葉ですが、能力のすべてを必要とするわけです。

見る(観察)、聞く(傾聴)、嗅ぐ(便臭など)、触れる(スキンシップを含めた身体介助)など五感を働かせ、持てるコミュニケーション能力のすべてをもって、認知症の方を援助するわけです。

 

確かにHSPの方は、その能力から言っても、対利用者と接するときには、小さな変化にも気づくことができる能力だといえます。介護において、利用者の変化に気づくということも重要な能力の一つです。

となれば、HSPの方が介護に向いているかというと、そうではないと思うんです。

 

小さなことにいつも気を配ることができるというのは、非常に疲弊することだとは思わないでしょうか?

つまり、その能力を使い全力で介護をしてしまうと、身体的にも精神的にもエネルギー切れが起きてしまいます。これはHSPうつの始まりであり、介護うつの始まりでもあるんです。

良い介護とは、どこまでも介護する側のエネルギーを必要とするわけです。

 

なので、向いているとされるHSPの方が介護をするということは、一般の人よりも介護うつになるリスクが高いと思うんですよ。

 



介護に終わりはない

 

ありきたりな言葉ですが、「介護」には終わりがないんです。突き詰めれば、終わりは利用者の「死」しかないですよ。うつ病の欄にあるように「 努力の成果が伴なわない、成果が出せない状況」なんです。

それでも、利用者に喜んでもらえる、その顔や、「ありがとう」の言葉が、介護者たちを奮い立たせていると思うんです。介護をしていると利用者のその表情、その言葉だけで救われるからどうしても頑張りたくなるんです。

でもそれを求める、良い介護を突き詰めるということは、自分が「うつ」になる諸刃の剣であることを自覚する必要があります。

 

社会問題である介護の問題は、報酬を上げることも必要ですし、パワースーツも必要ですし、リフレッシュする休暇も必要です。ですが、良い介護、仕事が継続できる技術の発展が必要なんだと思います。

それは何なんでしょうね?DX化なんでしょうか?それとも次元の違うチェックリストなんでしょうか?

でも、介護者のその能力を研ぎ澄まし、身を削ることではないと思っています。介護者がエネルギー切れを起こし、うつ病を発症することは、介護される側と社会的な共倒れを起こしてしまうからです。