2018年の社会福祉法改正に伴い、理事・評議員の役割などが大きく変わりましたよね。
たまに話す人の中には、「理事は取締役のようなもの」などと説明する方がいました。
ちょっと違うんですよ・・・。
ということで、今回は役職のあれこれを調べてみました。
まず理事長・理事・監事を含め、その役職について説明していきます。
1.会社法上の取締役と社会福祉法上の理事の違いについて
確かに比較すると似ているような気はしますよね?
などと置き換えられますよね?
会社法上の説明から言えば
第三百四十八条 取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2 取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。
3 前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。
一 支配人の選任及び解任
二 支店の設置、移転及び廃止
三 第二百九十八条第一項各号(第三百二十五条において準用する場合を含む。)に掲げる事項
四 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
五 第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
4 大会社においては、取締役は、前項第四号に掲げる事項を決定しなければならない。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000086
となっています。
社会福祉法と比べて解説すると
・取締役は一人でもいい。社会福祉法の理事は6名必要以上
・執行役員というのは、会社法上の役員ではないので、一般従業員にすぎない
(執行理事は役員)
・それに対して理事は、業務執行上の責任者という役割があります。
それと大きな違いは、執行の監督及び監査の役割があるという事です。
また社会福祉法には評議員の設置も必要になります。評議会は株主総会と同等の意味を持つとされています。
引用元:wamネット
https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/syakaifukushihoujinkeieiguid/guid/guid007.html
それらを整理して少々強引に説明すれば
取締役 ≒ 理事+監査
という意味合いになるわけです。
2.役職の相対数(部下の数)ってどうなっているの?
これは会社によって違うと思いますので、行政機関での数字を出してみます。
局長・・・・500人くらいの職員に対して一人
部長・・・・100人くらいの職員に対して一人
課長・・・・25人くらいの職員に対して一人
係長・主任・・・・1~5人くらいの職員に対して一人
参照元:https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/259744.pdf
3.その役職の由来
調べてみると、局長・部長・次長・課長については部署名を指す管理者としか出てこないんです。その由来などは調べられませんでした。
ちなみに字の由来はこうなっています。
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局・・・役所・事務所 出典:https://okjiten.jp/kanji476.html
部・・・つかさ・取り締まり 出典:https://okjiten.jp/kanji467.html
課・・・割り当てる 出典:https://okjiten.jp/kanji1059.html
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では係長・主任はどうなっていたかというと
(1)係長
①係長とは
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中堅、若手の管理職に与えられる役職であり、民間では早い者では20代半ばから係長に昇進する一方、係長のまま定年を迎えるケースもある。国の機関でも主に30代後半で将来の幹部候補生が係長に昇進するケースが主流である。国の機関などでは、係長の下に係員を置かない「部下なし係長」もおり、部下がいても、部下の業務の監督だけでなく、自らも業務を持つ、プレイングマネージャーとしての役割を期待されることが多い。
~中略~
古くは係長に相当する職を「掛長」(かかりちょう)と称し、現在でも製鉄会社や旧・帝国大学などで使用されている。
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引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%82%E9%95%B7
?「係長」のもとは「掛長」だったという事ですか?
②どれくらい前から?
正確なものは見つけられませんでしたが、
尼崎市の歴史
http://www.archives.city.amagasaki.hyogo.jp/chronicles/visual/04kindai/kindai2-3.html
で、下記のような文面を見つけました。
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明治21年(1888)4月、市制町村制が公布され、
~中略~
次いで6月11日、尼崎町役場が開設されます。第一掛・第二掛・収税掛の3掛(係)が置かれ、収入役兼収税掛長のほか掛長2人、掛員5人、使丁6人の計14人、これに名誉職の町長・助役を加えても総勢16人という小規模なものでした。町役場でこの人数ですから、村々はさらに少人数の体制であったと考えられます。なお尼崎町役場においては町長・助役・収入役に加えて、7人の書記(掛長・掛員)は全員士族であり、発足当初の町役場において士族が知識層として、重用されたことがわかります。
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引用元:同上
とありました。明治時代は掛長で士族がなっていたんですね。
(2)主任
①主任とは
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一般には管理職には該当しない。したがって、ほとんどの企業では労働組合に加入できる役職である。組織によってはチーフあるいはシニアスタッフ等とも呼ばれる。
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引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%BB%E4%BB%BB
②いつ頃から言われてたの?
これも調べてみましたが、なかなか出てきませんでした。
それでも出てきたのは、
明治三十二年六月十六日に施行された商法の一文でした。
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第四十二条
1 本店又ハ支店ノ営業ノ主任者タルコトヲ示スベキ名称ヲ附シタル使用人ハ之ヲ其ノ本店又ハ支店ノ支配人ト同一ノ権限ヲ有スルモノト看做ス但シ裁判上ノ行為ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
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とありました。
となれば、掛長(掛とは担当という意味)という言葉の方が古いという事なんでしょうか?
また詳しいことがわかりましたら、追記したいと思います。