福祉サービスが必要になったときに、近隣で該当するサービスを探すには、厚生労働省が提供している情報検索を利用すると便利ですよね。
介護保険のサービスであれば、介護サービス情報公表制度
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/
https://www.wam.go.jp/sfkohyoout/COP000100E0000.do
保育サービスであれば、子ども・子育て支援情報公表システム
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/faq/pdf/jigyousya/handbook5.pdf
などがあります。
ですがそれ以外に、福祉サービス第三者評価という事業があるのをご存じでしょうか?
このサービス、福祉施設を(施設関係者や利用者ではない)第三者が評価している情報が調べられるんです。
でも地域にもよりますが、聞き馴染みのないサービスだとも思います。それはなぜでしょうか?
主な概要や事業内容から、その問題点についてまで説明します。
福祉サービス第三者評価とはなに?
"1.福祉サービス第三者評価事業の趣旨・目的
○ 意義
事業者の提供するサービスの質を当事者以外の公正・中立な第三者評価機関が専門的かつ客観的な
立場から評価する事業。
○ 目的
個々の事業者が事業運営における問題点を把握し、サービスの質の向上に結びつけること。また、
福祉サービス第三者評価を受けた結果が公表されることにより、結果として利用者の適切なサービス
選択に資するための情報となること。"
引用元:厚労省
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/02/dl/s0224-8h_0078.pdf
となっており、
その評価調査者になれる要件として
"a組織運営管理業務を3年以上経験している者、又はこれと同等の能力を有していると認められる者
b福祉、医療、保健分野の有資格者又は学識経験者で、当該業務を3年以上経験"
という華やかな経歴者しかなることができません。
(参照元)
http://shakyo-hyouka.net/evaluation3/
ですがこの事業平成15年~平成16年から運用開始されていますが、全福祉施設に対してその受審数は5,156件と1%にも満たないんです。しかも制度は平成30・31年度に見直されているのにです。
(参照元)※リンク先には都道府県別受審数を年別で公表されています。
http://www.shakyo-hyouka.net/appraisal/sya_c32a_2021.pdf
受審数が増えない問題点とその理由は?
その問題点について指摘が上がっています。
“①サービスの種別にかかわらず共通的に取り組む項目(共通評価項目)に、ば
らつきがみられる
②福祉サービス第三者評価事業の目的・趣旨が他制度との違いが明確でない等
の要因により広く認識されていない
③第三者評価機関(以下「評価機関」という。)や評価調査者により、評価結果
のばらつきがみられる
④受審件数が少ない”
引用元:「福祉サービス第三者評価事業に関する指針について」の全部改正
http://shakyo-hyouka.net/guideline/sankou310401_kaisei.pdf
これらの問題点を簡単に言うと
「評価基準が曖昧すぎる」
ということです。
特に第三者評価開始当初は随分手広く調査していました。その当時、第三者評価を受けたので、一例をだすと、
・人事考課の実施の有無
・サービスの質の向上そのものへの考え方
・社会福祉法人の組織経営のガバナンスの強化の在り方
などの確認や実施方法の調査から、
・内部留保の蓄積の有無とその利用方法
・イコールフッティング等の経営上問題点
などまで、その調査からアドバイスまで受けました。はっきり言えば事業展開の在り方までご指南を受けたんです。
調査内容の一例
では組織運営管理業務経験者や学識経験者を集めた調査員は、どのような調査基準を元にそのような確認をしたのでしょうか?
調査員の講習内容に当たる、福祉サービス第三者評価基準ガイドラインには
"Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている
"
"福祉施設・事業所の経営状況について定期的に分析しておくことも、事業経営の安定性や将
来展望を描くうえでも欠かせません。実施する福祉サービスの内容や、組織体制や設備の整
備、職員体制、人材育成、財務状況等の現状分析を適切に行うことが求められます。
"
引用元:厚生労働省
という福祉施設共通の評価基準があるんです。
この基準に基づき、調査員ご本人の高尚な見解を、福祉事業者にアドバイスされていたというわけです。
私が経験した調査は一事業だけであり、全国に必ず共通するわけではありませんが、これで受審数は増えると思ったのでしょうか?
社会保障費の高騰が長年問題になっているのに、この第三者評価ってそもそも役に立っているのでしょうか?
後編では、実際にどのような評価をしたか、福祉施設の評価を例に説明します。