1.事件内容
沖縄タイムス 8/6
沖縄県那覇市の認可外保育園「緑のすず乃保育園」で7月30日昼ごろ、預けられていた生後3カ月の男児が心肺停止の状態になり、搬送先の病院で死亡した問題で、園長の女性が5日、沖縄タイムスの取材に応じた。園長は、乳幼児に求められている10分おきの呼吸確認をしていなかったことを明らかにし、「男児や遺族に申し訳ない」と語った。
午前10時半ごろ、男児のおむつを変えようとした職員が、男児の様子に「何か変だ」と気付き、園長に報告。園長は男児の体を触ったが、温かかったことを覚えているという。この時も呼吸の確認はしなかった。
午後0時15分ごろ、男児の母親が迎えに来たため、職員と園長が男児を確認すると、体はうつぶせで、顔が横を向いている状態だった。顔色が悪くなっており、検温すると約34~35度だったという。
この時点で初めて男児が呼吸しているかどうかを確認すると、「なかった」という。ただ、胸に手を当てて心拍を確認したため、「ぐっすり寝ていたのだろう」と考え、おむつを取り換えてシャワーを浴びさせた。このとき、男児の目と口が少し開いていた。
その後、母親に男児を渡したところ、母親が「亡くなっているじゃないか」と慌てて消防に通報した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0f141d3fb0d341a09ec2ab2bec936c244a8e5eed
2.問題点
RBC 8/10
園側が反省の意思を示す一方で、保育環境がどうだったかなど明らかになっていないことも多い今回の問題。那覇市が去年実施した緑のすず乃保育園への立ち入り調査では、「乳幼児突然死症候群」の対策の不足など、12の項目で改善を求められていました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/90587f9f35fbd8f20f682938bc8bff09cb70379b
その指導内容
項目 |
立入調査時の改善指導項目 |
備考 |
区分 |
改善確認 |
保育従事者数 |
主たる開所時間において、月極契約乳幼児に対し、必要な保育従事者数を確保すること。 |
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重要 |
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衛生管理 |
ミルクの保存に関し、適切な措置をとること |
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重要 |
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発育チェック |
身長や体重の測定など、基本的な発育チェックを夜間時も毎月定期的に行うこと。 |
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重要 |
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乳幼児の健康診断 |
夜間:乳幼児の健康状態の確認のため入所前に健康診断を実施し、結果を園で保管すること。 |
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重要 |
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乳幼児の健康診断 |
夜間:健康診断を年に2回実施すること。(おおむね6月毎に実施) |
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重要 |
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乳幼児突然死症候群の予防 |
乳幼児突然死症候群についての認識を高め、予防に努めること。 |
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重要 |
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環境及び安全性の確保 |
夜間:乳幼児の安全のため、ベッド1台につき1名使用すること。 |
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重要 |
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環境及び安全性の確保 |
ベッドの台数や置き方を工夫し、安全確保を行うこと。 |
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重要 |
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在籍乳幼児に関する書類等の整備 |
夜間;乳幼児の在籍記録及び契約内容等が確認できる書類を整備し、保管すること。 |
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重要 |
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保育姿勢 |
園内外研修等の機会を持ち、保育従事者の専門性や資質の向上に努めること。 |
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軽微 |
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健康管理 |
夜間:一時預かり児童の名簿や引継ぎ簿もなく人 数把握がされていなかったので改善を講じること。 |
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軽微 |
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取り扱うニュースでは、しきりに「乳幼児突然死症候群の予防について指導を受けていた」と出ています。それより私が注目してほしいのは、第一番目に「必要な保育従事者数を確保するように」という指導を受けていることです。
“園長は『横向きにしていたのでちょっと冷たいんですけど』と言いながら渡してきました。園長は救急隊が到着するまでの間も息子の足を触って『ほら、ここあったかいですよ』と、体温があるから大丈夫だという事をしきりにアピールしていました。」”
とされているように、この保護者が迎えに来た時も、園長はちぐはぐな行動をとっていると思えないでしょうか?豊富な経験そのものよりも、園長が十分な身体・精神状況で保育をしていたかを疑問視するべきではないでしょうか?
記事の中にも
“先月まで緑のすず乃保育園を利用していた保護者
「でも先生優しかったです。子どもに意地悪するような先生ではなかったし、うちの子が(他の)子どもに意地悪する時とかに『最近おうちでどうですか?』って、ちゃんと子どもの性格とか園での特徴とかも教えてくれて。」”
“「シングルマザーとか夜のお仕事をされている方とかは本当に助かる金額設定ではあるかなと思うのと同時に、ちゃんと必要なところにお金をあてているのかなというのは気になりました。」”
とあり、劣悪な保育所だったと一括りしてしまうのは、全体像が見えない気がします。
24時間預けることが出来た保育所ですが、十分な保育従事者を確保できないまま運営していたということは、つまり十分な休憩・休養をとって保育に当っていなかったのではと思ってしまいます。
3.外的因子
琉球新報 8/6
沖縄県内の認可外保育施設の半数近くで2018年以降、原則年1回以上とされる立ち入り調査が行われていないことが5日までに、県子育て支援課への取材で分かった。~中略~
同課によると18年以降、調査が滞っているのは調査担当職員の不足や保育施設数の増加が要因。調査の実施割合は15~17年は8~9割以上だったが、18年は51%、19年は52%、20年は50%、21年は45%と大幅に減少している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b80b076e5e5e6bc0e5961fc8d381399c1cf98f51
ともありました。これは沖縄県のニュースですが、今回の事件は那覇市なので中核市で、監査状況はまた違ってきます。ですがこれは沖縄県固有の問題ではありません。コロナ感染に伴い、立ち入り監査の実施率は全国的にも低水準なはずです。
監査がすべてではないにしろ、全国的に監査は実施が必要な状態ではないでしょうか?
4.sidsについて
“大部分のSIDSは生後6ヶ月までに見られます。早産や低出生体重の乳児の方がSIDSとなる危険性が高く、女児よりも男児での発生が多いです。秋から早春にかけての寒い季節に発生が多く、大部分の場合は、健康に見える睡眠中の乳児に突然に死が訪れます。“
今時期よりも、もっと寒くなってきたら発生が多くなる恐れがあるということです。
この問題については、当サイトでも取り扱っておりますので、合わせてご参照ください
https://nu-so.hatenablog.com/entry/2022/01/23/160000