先日このようなニュースが報道されました。
「無園児家庭の孤独感と定期保育ニーズに関する全国調査」結果発表。働く親のための保育園から、全ての子どものための保育園へ!
https://florence.or.jp/news/2022/06/post52393/
私は聞きなれない言葉だった「無園児」。みなさんはご存じでしょうか?
無園児とは?
無園児をネットで調べたところ
"未就園児は、地域社会とのつながりを断たれた「無縁」とかけて、「無園児」とも呼ばれています。”
引用元:保育園に通えない子どもたち 可知 悠子
https://www.webchikuma.jp/articles/-/2015
とありました。
では、次にこの未就園児とはなんでしょうか?
厚労省では
"未就園(保育所、幼稚園、認定こども園等へ入所・入園をしていない)で、地域子育て支援拠点や一時預かり等の福祉サービス等を利用しておらず、 関係機関においても目視による確認ができない児童(未就園) ”
引用元:厚労省 乳幼児健診未受診者、未就園児、不就学児等の状況確認調査の結果
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000679678.pdf
とされています。
無園児の実態数は?
googleなどで調べると、幼稚園入園前の3歳児未満の子どもを「未就園児」といっているものも出てきますが、実際はどの年齢層を指す話なのか、疑問に感じないでしょうか?
こちらのグラフをご覧ください。
引用元:第1回 幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会資料「認可外保育施設・幼稚園預かり保育の現状について」資料3
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mushouka/dai1/siryou3.pdf
平成29年の資料なので、あえて未就園児の%だけを抜き出すと。
0歳児 85.2%
1歳児 57.9%
2歳児 51.6%
3歳児 8.9%
4歳児 2.7%
5歳児 1.9%
となっています。
このグラフの構成を説明すると、まず0歳児が多いのは育休期間のためです。大まかに出産後の休業とは、産後休業8週間+1歳になるまでの育児休業を足したものを育休期間と指します。
※ハローワークの育児休業給付金は2歳までなので、混在しやすいためご注意ください。
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_continue.html
そしてもう一つ見るポイントは、3歳児からの未就園児が減る状況についてです。1~2歳まで50%以上あった未就園児が、3歳児で4割減ります。グラフでお分かりになるように、1~2歳の親御さんの約4割が、お子さんが3歳になったら幼稚園入園を予定しているということです。
そうすると、3歳以上5歳未満で、保育園や幼稚園を利用していない子どもの数が13万人いることになります。各年齢で約2%程度の未就園児が、内在していることを指すんです。
つまり無園児の人数は、
0~5歳児を持つ家庭の2% 約13万人
のことをいいます。
※最新のデータを元に計算することも可能ですが、コロナ禍であえて育児休業や就労することを先伸ばしにした家庭もあったとされているため、あえて過去のデータを元にしました。
無園児の問題点とは?
今回のフローレンスさんのアンケート結果を元にすれば、未就園児(無園児)家庭の方の約5割が、子育てで孤独感を感じているとされています。その親が10~20代と若ければ、さらに孤独と感じている割合が高くなるとされています。
ここで、もう一つ見ていただきたいのは北里大学さんが2019年3月に発表した
“社会的不利や健康・発達の問題が3、4歳で保育園・幼稚園等に通っていないことと関連 ―約4万人を対象とした全国調査の分析から―”のグラフです。
"(未就園)の要因を調べた結果、3歳以降の未就園は低所得、多子、外国籍など社会経済的に不利な家庭や、発達や健康の問題(早産、先天性疾患)を抱えた子どもが多い傾向が明らかになりました”
引用元:https://www.kitasato.ac.jp/jp/news/20190327-01.html
つまり無園児家庭は低所得等の問題で、保育園等の利用が出来ていないという結果が発表されています。
保育園は、親の就労などの理由により、保育の必要性や必要量を判定する「保育の必要性」がないと利用ができません。
様々な理由により働きたいけど働けないため、低所得者になり、かつ保育園利用もできないというスパイラルに陥っている状態が、無園児家庭の問題に内在しているということになります。
それでも保健所で紹介しているサロン等があるのでは?
地域によって言い方が違うためわかりにくいかもしれませんが、どの地域でも「地域子育て支援拠点事業」というのがあり、
“公共施設や保育所、児童館等の地域の身近な場所で、 乳幼児のいる子育て中の親子の交流や育児相談、情報提供等を実施 “
をしていますよね?
参照元:https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dl/kosodate_sien.pdf
でもこのサービスは、原則、親が子を公共施設等まで連れ、一緒に利用しなければなりません。
かつ現在は子どもの人権を守る観点から、この事業のみならず、幼稚園、保育園、乳幼児健康診査など様々な場所で、子どもの状況確認、安全確保を図ることとされています。
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① 乳幼児健康診査(自治体が独自に実施しているものを含む。)等の乳幼児を対象とする保健・福祉サービスを受けておらず、自治体職員の目視による
確認ができず、関係機関においても目視による確認ができない児童(健診未受診等)
② 未就園で、福祉サービス等を利用しておらず、関係機関においても目視による確認ができない児童(未就園)
③ 学校へ通園・通学しておらず、関係機関においても目視による確認ができない児童(不就学等)
④ 児童を対象とした手当の支給事務等において連絡・接触ができず、必要な各種届出や手続を行っておらず、関係機関においても目視による確認ができない児童
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引用元:厚労省 乳幼児健診未受診者、未就園児、不就学児等の状況確認調査の結果
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000679677.pdf
何を言いたいかといえば、未就園児の親御さんはこのようなサロンの利用に行けば、なにかしら厳しい視線を感じている状況にあると思うのです。
さらにこのようなサロンを利用すると、知的障がい児の診断の瀬戸際にあるような親御さんは、知的障害者更生相談所などに、できるだけ早い段階で利用をすすめられたりもします。親御さんの心の準備が整わないうちに積極的な促しを受けるため、利用が遠のく現状もあるようです。
このように子どもの人権が優先されるため、その親のサポートが疎かになっているかもしれないのです。
フローレンスさんはアンケート結果を元に
“待機児童問題が解消している地域で、空き定員枠を活用して、希望する誰もが週1~2日からでも保育園を利用できるようにしてください”
と提言しています。
無園児家庭の子どもだけでなく、その子の親や家庭のサポートにも手厚くしてほしいと提言されているわけです。
最後に
少子高齢化がいつも問題視されていますが、まず子育てしやすい環境、子育てで苦しんでいる家庭のサポートをもっと充実させることが、少子高齢化の問題解決の糸口だと思います。
このような記事も書いていますので、合わせて読んでいただければ。