6/12にこのような記事を書きました
6/17にこのようなニュースが報道されました。
引用
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東京都葛飾区が私立認可保育所への補助金を過大に支給していた問題で、青木克徳区長は17日、「全ては区のミスであり、おわび申し上げる」と保育所側に謝罪した。
誤支給の総額が約5億1000万円に上ることを明らかにした上で、返還を求めない方針を示した。
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これに対して、葛飾区私立保育連盟(通称:私保連 認可保育園の団体)は、
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4年分の積算分を返せとなると当然、保育所の運営・経営は成り立たない。ただ、保育所がいただいているお金は公金なので、区民の方が納得するような結論を出してほしい
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と話しています。
この件は、保育園側に不正受給の認識はなく、それ自体に気づくことも容易でない状態であり、何の落ち度もないと前回の記事で書きました。また返金となれば、葛飾区にある保育園87か所それぞれの法人で、臨時の理事会により前期末を取り崩しての返金になることを説明しました。
膨大な手続きと、保育園運営に厳しい影を落とす事態になりかねない状態を、回避した判断だったと私は思います。
ですが、yahooのコメント欄などには
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・これは民法で言う「不当利得」になる。~~過大給付と知りながら人件費に充てた場合は、全額返還の義務を負う。(民法704条) ~~ 一律返還を求めない、では違法状態になる。
・返還求めないって、区長が独断で決定するものではない。
・保育サービスが重要なのは理解できるが、支払われたのは、みんなの税金。返還を求めないのは納得できない
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お怒りはごもっともなんですが、ちょっと違うんですよ。
引用元:補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律 | e-Gov法令検索
という法律に基づきます。
この中に、
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第十八条 各省各庁の長は、補助金等の交付の決定を取り消した場合において、補助事業等の当該取消に係る部分に関し、すでに補助金等が交付されているときは、期限を定めて、その返還を命じなければならない。
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とあり、
同条第3項には
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3 各省各庁の長は、第一項の返還の命令に係る補助金等の交付の決定の取消が前条第二項の規定によるものである場合において、やむを得ない事情があると認めるときは、政令で定めるところにより、返還の期限を延長し、又は返還の命令の全部若しくは一部を取り消すことができる。
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とあるんです。
なので区長が、返還を求めないこと自体は法律上合法的な対処ではあるんです。
この件は、宇都宮市で行われた事業費補助金不当利得返還請求事件の判決文にも出てきます。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/061/090061_hanrei.pdf
ですが、私保連の方がおっしゃる通り、区民の方への真摯な説明のためにも、過分の補助金はどのような使いみちだったか、保育園側に説明責任はあるはずです。その情報は開示するべきだと思います。
その上で再発防止のためにも、今後は支給する区側と、保育園双方で確認の取れる補助金支給の仕組みにしていくべきではないでしょうか?
また強く言いたいのは、パート保育士に関わる補助金だけでなく、区で独自に行われている補助金であれば、その説明や要綱をわかりやすくするために、葛飾区にはホームページのリニューアルもしてほしいと思います。
この後はこちらをご覧ください。
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ニュース参照元
東京 葛飾区 私立認可保育所への補助金誤支給は総額5億円余・・・NHK6/17
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20220617/1000081070.html
葛飾区長「返還求めない」 保育園に補助金”5億円”過払い「区に責任あった」と謝罪
・・・FNN 6/17
https://www.fnn.jp/articles/-/376770
葛飾区の補助金誤支給は5億円余 人件費活用なら返還求めない方針 ・・・朝日 6/17
https://www.asahi.com/articles/ASQ6K6SBNQ6KUTIL04Q.html
保育所に補助金5億円超を過払い、区は「サービス向上に使われた」と返還求めず・・・読売 6/17
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220617-OYT1T50183/