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ニュース特集 児童福祉法などの改正案を解説

衆議院厚生労働委員会 児童福祉法などの改正案を可決 5/13

衆議院厚生労働委員会 児童福祉法などの改正案を可決 | NHK | 児童虐待

ニュース引用--------

児童相談所が、虐待を受けた子どもを保護者から引き離す「一時保護」の際に、裁判所が必要性を判断する「司法審査」の導入などを盛り込んだ、児童福祉法などの改正案は、衆議院厚生労働委員会で採決が行われ、全会一致で可決されました。

 

 

今回改正される児童福祉法、昨年からの骨子を見る限り、改正のポイントとしては、

・子育て世帯に対する包括的な相談・支援にあたる体制強化のための「こども家庭センター」を設置するよう努力義務

・親と分離する際の「一時保護状(仮称)」による司法審査

 

となっています。

このニュースの、わかりにくい点などを解説していきます。

 

 

 

 

1.名称

まず、このこども家庭センターとは、児童福祉法改正により第44条の21項に定める「児童家庭支援センター

通称「こども家庭支援センター」とごちゃごちゃになってしまいますよね。

関連した施設の名称とその役割を一覧にします。

 

児童相談所

児童福祉法12条に基づく

設置主体:都道府県及び市町村

役割:児童虐待対応・非行行為対応・療育手帳の判定 など

 

②子ども家庭支援センター(法律名称 児童家庭支援センター

児童福祉法 第44条の21項に基づく

設置主体:都道府県知事認可による地方公共団体及び社会福祉法人

役割:育児相談・子育て支援サービスの導入・児童虐待の未然防止・啓発活動 など

 

③子育て世代包括支援センター(法律名称 母子健康包括支援センター)

母子保健法に基づく

役割:妊産婦及び乳幼児並びにその保護者を対象に実情を把握し、妊娠・出産・育児に関する各種の相談に応じ、必要に応じて支援プランの策定を行う

設置主体:市町村

 

④子ども家庭総合支援拠点

児童福祉法・市区町村子ども家庭総合支援拠点設置運営要綱に基づく

設置主体:市町村

実情の把握・情報提供・虐待・貧困などを含めた相談支援

 

 

とあり、この③子育て世代包括支援センターと④子ども家庭総合支援拠点が合併して、「こども家庭センター」を設置するというのが、今回の改正ポイントなんです。

 

この2つの拠点は、2017(平成29)年に整備されたもので、まだ5年しか経っていません。

どちらも設置主体は市町村側にありますが、それを今回は、できるだけ合併するようにというお達しなわけです。

 

 

2.相談窓口

1.で紹介したように、②~④はどの施設でも子育てに関する相談を受け付けています。

実はそれ以外にも、お近くの保育園でも相談窓口があるのをご存じでしょうか?

保育園には、療育支援加算というのがあります。

 

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療育支援加算

主任保育士専任加算の対象施設かつ障害児を受け入れている施設において、主任保育士を補助する者を配置し、地域住民等の子どもの療育支援に取り組む場合に加算する。なお、当該加算が適用される施設においては、障害児施策との連携を図りつつ、障害児保育に関する専門性を活かして、地域住民や保護者からの育児相談等の療育支援に積極的に取り組むこと。

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とされています。

つまり、近くの保育園でも相談ができるところが多いということになります。

 

今回のこども家庭センターを含め、窓口を多くし育児に困っている世帯を、できるだけセーフティネットにつなげるという役割があるんです。

 

 

でも育児自体に悩んでいる人は、おおよそ保健所に行くと思うんです。

保健所は、母子健康手帳の交付などを行い、乳幼児健診などでもお世話になるところです。

 

虐待問題→児童相談所

育児→保健所

という相談窓口はわかりやすいですよね。ではこども家庭センターにはどのような相談を?とならないでしょうか?

合併し一本化する以上は、広い相談窓口としての印象づけがもっと必要になると感じます。

 

 

3.虐待問題と司法審査

改正ポイントにも出てきているとおり、虐待問題が主な課題になっています。

虐待相談件数はこの20年で11.5倍まで跳ね上がっています。

 

参照元厚生労働省 令和2年度の児童虐待相談対応件数を公表

www.orangeribbon.jp

 

 

 

数字を追ってただ危機感を感じる以上に、その相談が「虐待」にあたるのかどうか判断する、という問題にも直面しているわけです。

そして、その状態から一時保護まで踏み切るべきかどうかという判断を、今までは児童相談所か警察間でしか判断してこれなかったわけです。

それだけ複雑化した状態にあるからこそ、司法の介入が必要になったということなんです。

 

ですが、この一時保護の緊急性については、今まで地域差があったことも問題視するべきです。

虐待はその環境や状態を含め複雑な問題なため、児童相談所の職員の力量に左右されていたわけです。

力量差を埋めるためには、全国均一な緊急度のアセスメントシートなどを作り、公表していくことが、このあいまいな虐待問題の解決の糸口になると思うんです。

ですが、調べる限り現在は全国均一のアセスメントシートは存在していません。

 

一時保護をするときの緊急度アセスメントシート 千葉県

https://www.pref.chiba.lg.jp/jika/gyakutai/jidou/sankou/documents/7-0.pdf