最近の研修で多いのは、BCP(事業継続計画)関係だと思います。
2020年12月に、BCP策定ガイドラインが公表され一年が経ちます。
コロナというパンデミックもあり、社会福祉事業分野でもBCPの必要性が注目されているからだと思います。
まず、BCPとは
事業継続計画(じぎょうけいぞくけいかく、英語: Business continuity planning, BCP)とは、災害などの緊急事態が発生したときに、企業が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画。事業継続と復旧計画(Business Continuity & Resiliency Planning, BCRP)とも呼ばれる。企業に対する潜在的な脅威に対処するための予防に加えて、ディザスタリカバリによる事業の継続的な運用を可能にすることを目標とする。
類義語としてコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)があり、この語も非常事態が発生した場合の対応策をまとめた計画を表すが、事業継続よりも緊急時の初動計画に力点をおいている。また、事業継続計画 (BCP) を策定し、運用し、継続的に改善する活動を、事業継続マネジメント (BCM) と呼ぶ。
引用元:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E7%B6%99%E7%B6%9A%E8%A8%88%E7%94%BB
社会福祉事業において災害時のBCP・緊急時対応の本懐は、すべてにおいて利用者の安全確保が最優先であり、その次にあるのが事業継続・復旧計画なのは間違いありません。
従前の福祉事業所のBCP策定ポイント
これまでのBCPについて振り返ってみます。
・ハザードマップを元にした立地条件の再確認と建物の再確認
・職員の参集を元にした、連絡体系の構築
・優先業務の選定
・備品、もしくは持ち出し品の選定
・避難場所の確認
・事態の情報収集 etc
から、地震・水害などの個々の災害に併せて、被害規模と損失規模の想定して、対策を作るようになっていました。
では一般企業のBCPはどうなっているか?
こちらは、平成25年8月改訂されてから変更されていません。
改定の背景には東日本大震災があり、再建のめどが立たない企業や、再建を断念せざるを得なかった企業が存在しました。逆にBCPを準備していて、うまく対応できたところは企業の評価につながったそうです。それらの事例を元に策定されたそうです。
内閣府が出している、防災情報より、
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/keizoku/sk.html
事業継続ガイドライン-あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応-
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/pdf/guideline03.pdf
これらのポイントをまとめると
方針の策定
BCM(事業継続マネジメント)実施体制づくり
↓
分析・検討
BIA(事業影響分析)
↓
事業継続戦略・対策の検討と決定
↓
BCPの策定
↓
事前対策及び教育・訓練の実施
↓
見直し・改善
となります。一般企業BCPの特徴として、BIA(事業影響分析)があることではないでしょうか?時間の許容限界より早く目標復旧時間を設定し、レベルの許容限界を上回るように目標復旧レベル設定する必要性があるからですね。
この迅速な対応により、CSR(企業の社会的責任)が向上することで、再建の足がかりになったそうです。
福祉施設はこの目標復旧時間を定めることは難しいですよね。
一番の理由に福祉施設の利用者が避難した時、場合によっては早急な普及よりも避難先でのDWATの体制づくりが必要になるからです。
DWATとは
災害時における、長期避難者の生活機能の低下や要介護度の重度化など二次被害防止のため、一般避難所で災害時要配慮者(高齢者や障がい者、子ども等)に対する福祉支援を行う民間の福祉専門職(※)で構成するチームです。
○ DWAT:Disaster Welfare Assistance Team の略
(※)福祉専門職:介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉士、看護師、理学療法士、精神保健福祉士、保育士、その他介護職員等
引用元:大阪府災害派遣福祉チーム(大阪DWAT)の設置について
https://www.pref.osaka.lg.jp/chiikifukushi/ddwatto/index.html
今回の追加されたBCPガイドラインについて
コロナというパンデミックにより、福祉事業用の追加されたBCPガイドラインは、「新型インフルエンザ等発生時」のという表記がつきました。
そして、介護分野や障害福祉分野等においては、運営基準の見直しにより、当該計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等が義務付けられることになりました。義務化には3年の経過措置期間がありますが、通所施設である保育所などは促進を促すのみで義務化はありません。
引用元:
https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/dprevent/dprevent007.html
主なポイント
正確な情報集約と判断の体制構築
↓
自体の進展に合わせた段階的な対策を整理
↓
「体制の確率」・「感染予防策の検討」・「業務継続の検討」
↓
業務の優先順位を整理
↓
(「ヒト」資源に対する対策を手厚く整理)
※施設利用者への対応を手厚く整理
↓
未発生期に実施する周知・教育、訓練等についても整理
となっています。
一般的なBCPとその中身は大きく違っていることがわかりますよね。
次週以降、具体的な中身に触れていきます。