ヌーソの皿の上

福祉とpc関係の記事です

居酒屋けんざん(3)自己決定権

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はりえさん、そこはスワイプですって、さっき言ったやつ、それじゃ画面に指紋塗りたくってるだけですよ。力入れすぎ、手が震えるほど画面押さなくていいんです。

 

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だから嫌いなんだよこういうのは(怒)

 

 

 

「ご主人って

どんな人だったんですか?」

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「無口な人だったよ。

でも店では

ウェイターが

父ちゃんだったの。

私が飯炊きやってたんだ。」 

 
 

「飯炊きって

肴を作る人って

ことですね(苦笑)」 

 

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 「あんなに

しゃべらない人なのに、

父ちゃん目当てで

来るお客もいてね。

(お客からみると)

雰囲気がいいんだと。」

 

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 「でも頑固だったんだよ。

おらのいうこと

なんか全然きかないし。

意地っ張りなんだよ。

プライドが高いというか。

入院してたって、

居心地悪いんだか

何だか知らないけど

帰るってきかなかったよ。」

 
 

 「きっとそれは

プライドが

高いとかではなくて、

気を遣う人の

特徴な気がしますよ。

病室って多床室、

他の人と一緒の

部屋だったんでしょ?」

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「ん」 

 
 

 「気が回る分、

他の人といると

気が休まらないんですよ。

でも、昭和の男の人って

どうしてプライドが

高いんでしょうね?

自尊心が強いというのかな?」

 

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「家族で

出かける時だって、

おらがお伺いを立てて、

本人が納得しないと

出かけないんですよ。

娘たちは

よくぶーたれてたわ。」 

 

「男尊女卑というのかな、

家長として自分が

決めたことは家族全員が

言うとおりにしないと

ならないって

いうことですよね?

うちもそうでしたよ。

うちの父はなんでも

結果通知タイプで、

家族が知らないうちに

いきなり物事が

進んでいることが

多かったですね。」 

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バイスティックの7原則、

自己決定の原則ですね。

ジョン・スチュアート

・ミルという哲学者の

『他人に迷惑を

かけない限り人間は

何をしても

自由である』の言葉があり、

語源には

「自分で自分に

自身の法を与える者」

という

古代ギリシア語に

由来する概念が

元にありますよ。」 

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 「おらにはわからね」  
 

「人は内面に

自己実現したい

自分がいるそうで、

それが実現することで

心が満たされるそうです。

自己実現に向けた課題、

問題を解決するためにも

自己決定することが

何より大事だと

学校で習うもんです。」

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 「なにいってるか

わからんけど、

なんでもかんでも

決める父ちゃんだったけど、

そのプライド、

自尊心?

というやつがない

父ちゃんは

嫌だったかもしれない。

自分に自信のない人

っていうのは、

男性として

魅力がないようにも

思えるね。」

 
 

「それって、

ジェンダー

問題なのかもしれませんよ。

男は男らしく、

女は女らしく

ということ自体、

男女平等な考え方とは

いえませんからね。」 

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「女のおらからすると、

男性に尊敬を

求めている部分は

ある気がするね。

人によれば

母性本能を

くすぐるタイプの

男性が好きだ

ともいう人もいるよ。

これはジェンダーという

問題なのかい?」

 
 

「うーんごめんなさい。

これは私の専門外の

話なのかも。

ジェンダー(性別)は

デリケートな話で

うまく線引きは

できない話かな。

でもはりえさんが

話していることは、

夫という一人の

男性への思いだから、

ジェンダー

問題にはならないか。」 

 

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「でも旦那さんが

どのようにして、

そのように

人格形成に至ったか

というのはわかる気がしますよ。

特に当時の

時代背景からいえば、

『口数が少なく、気高い』

ことこそ男らしい

だった気がしますからね。」 

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 「時代背景ね。

それはあるかもしれない。

みんながみんな

こうでないとならない、

なんていう固定観念

というのが強い時代だったからね。

父ちゃんが

思い描いた通りに

生きられた時代じゃない、

自己決定権、

自己実現ができない

時代だったのかもしれないね。

社会全体が

そんな感じだから、

家でも家長以外の

意見という多様性は

認められない人に

なってしまったのかもね。」

 
 

「本当は気遣いの

できる人だったのなら、

娘さんたちの

意見を尊重する

気がしますが、

それをあえて

しなかったとしたら、

一種の娘さんたちへの

教育だったのかも

しれませんね。

『女はこうあるべき』

という。」 

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 「当時は今より

ずっとゆるーい時代だった

と思うんだ。

今のように

なんでもかんでも

白黒つけたりしない

部分もあったけど、

当時は当時で

生きづらい部分も

あった気がするね。」

 
 

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「ま、あの人は

そんなに

よく考えて生きてる

人じゃなかったけどね。」

 

 

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「スワイプってどこのボタンだっけ?」

 

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「もう(怒)」