ヌーソの皿の上

福祉とpc関係の記事です

これからの通所介護(デイサービス)に求められるもの

デイサービス(通所介護事業)というと、高齢者向けの保険サービスの話です。

 

デイサービスは楽しいところです

その昔、デイサービスの職員だったことがあります。デイサービスの想像がつかない方へ説明すると、高齢者の方々が日中の時間を過ごすところと思っていただければ。
高齢者が集まるといっても、デイサービス側はプログラムを用意する必要があります。お風呂に入ってもらったり、排泄介助をしたり、レクレーションを組んだりしています。多くの方々は、仲間と集まりワイワイしながら過ごしてくれますが、学校のクラスみたいなもので全員が全員参加してもらうというのはなかなか難しいものなんです。学校と違うのは職員は先生ではなく、サービス提供者であることです。そこに強制力は全然持っていません。それどころか気分を悪くされれば、デイサービスに来てもらえなくなってしまいます。
認知症の心配から、人が集まるところが苦手な方も利用されることがあります。それでも支える家族の方の負担を減らすために必要なのだと、ご本人を説得し契約するときには「週に数回会社に行くようなものだと思って利用してください」などと説明をしたりします。すると本当にお勤めだと思っていらっしゃるんです。一点の空を見続け、時にはため息をつきながら懸命に時間が過ぎるのを待っているようです。こちらも頃合いをはかりながら働きかけ、いろいろなことに参加してもらおうとしてますが、テレビを観るくらいが関の山でした。あのー、デイサービスは耐えるところではないんです・・・。


デイサービスのプログラム

サービスを提供する側もいろいろな手を考えて、利用者がたくさん来てくれ楽しい時間を過ごしてもらおうと頑張っています。
今のデイサービスはそのサービス内容に特化したものが多くなりました。

認知症対応型(これは介護保険が導入される前からありました)
・リハビリ特化型(お風呂などには入らず、フィットネスクラブのような感じです)
・趣味(カジノなど)

どれもとても考えられており、楽しいプログラムが組まれています。ですが、提供側は制度の壁に悩んでいるんです。その一例として、デイサービスを知っている方であればご存じかと思いますが、「買い物外出」がないんです。買い物はリハビリの一環として一部は認められていますが、買い物外出に特化することは「×」なんです。買い物はあくまでもリハビリの一環として紐づけられない限り、デイサービスとは別の介護保険外サービスと考えられ、買い物の手伝いが欲しいのであれば訪問介護の利用を勧められるのです。それが都市部でも増えてきている買い物難民だったとしてもです。


楽しそうなプログラムだけど・・・

普通に考えても、デイサービスというところで趣味やリハビリを行い続けるということ自体難しいと感じないでしょうか?記事を読んでいる方が健常者の方だったとして、もし明日から趣味のデイサービスに通うことになったとします。はじめは楽しいでしょう。でも5年10年先もいくら好きなことでも同じモチベーションで行うことができるでしょうか?その自信はありますか?できると思う方は、自分で目標などを工夫できる方です。でもその工夫をもってデイサービスに参加されるような方が多いと思うでしょうか?家族の負担をかけないよう距離感に気を付け、老後のお財布事情と相談しながら目標など持ち、モチベーションを維持するというのはなかなか難儀ではないでしょうか?
つまり、デイサービスには利用者のモチベーション維持をすることも責務になっているんです。

 

モチベーション維持をするには

デイサービスで趣味やリハビリのモチベーションを下げないための究極の方法があります。簡単です。発表会をするしかないんです。小学生がピアノを習いに行くと必ずと言っていいほど発表会があると思いませんか?発表会があるというだけで、それまでの期間があり、その課題曲に向けての練習の内容が組み込まれます。結果ではなく、発表会に繰り返し参加することが上達のカギになるというわけです。趣味は全て、人に見られることを意識すると上達するそうです。つまり絵だろうと、囲碁将棋だろうと発表会やトーナメントを行うと上達し、モチベーションが維持されるというわけです。
ここまできて、これをデイサービスでやってもらうことが果たしてどれほど効果があるでしょうか?モチベーションの維持だけに特化した考え方ですよね。そもそもこれが成功しているなら、全国大会などがなぜ行われるまで発展していないのでしょう?

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体操

デイサービスで求められるもの

結局は、デイサービスでできることは日常生活の延長だと言えないでしょうか?特別なことではないこと、つまりは買い物などに話が戻ってくると思うんです。「おいしい魚を買って、晩御飯のおかずにしよう」「ダイエット中だけど、甘いもの買ってこよう」などの生活の営みは、老後になってもあります。それがささやかな楽しみになると思いませんか?できればその楽しみの維持を手伝えるようなサービス提供者でありたいと思います。
そのためデイサービスはこれから、デイサービスでスーパーなどの移動販売車を呼ぶだけでなく、スーパーと共同で事業を行うような異業種での共存が必要なのだと考えます。デイサービス事業者は介護保険内でサービスが終始することばかりに目を向ける傾向にあります。制度上デイサービスで買い物が常時行えないと言っている以上、デイサービスでの提供時間を短くしてスーパーでの買い物時間を用意する、介護保険外サービスを視野に入れるべきなのではないでしょうか?